血統

 馬体、歩様があるが、初めに血統から述べる。理由は最もあやふやで不明瞭であるが、その他要素と合わせることで血統の価値は浮かび上がり、馬の能力を見極める一つの尺度となるからである。馬体と合わせて見る事でどの血から影響を受けているかを推測でき、そこからレース適性の推測もある程度行える。

 重要な事として血統単体で語れる事は多く無い。もし、血統のみで馬の能力を推し量ろうとする場合、血統表に名を連ねる馬の個々の能力に加えて繁殖における傾向も把握しておかなければならない。例えそれら全てを網羅していようとあまりにも不確定要素が多く、その馬の能力を見極める事は出来ないだろう。


 では、どうやって血統を扱うかという話であるが、まずは両親との比較であろう。遺伝子的にも子は両親の遺伝子を半分ずつ引いているため、子を知ろうとすれば第一に両親に目を向けるのが早い。その次に母父とクロスであろう。

 子を血の近しい父、母、母父、クロス辺りと比較すれば、どのような適性があるか、パワーがあるのかスタミナがあるのか等を推測できる。だが、数世代前の馬の影響が強く見受けられる場合もあり、一概に近しい血の影響が最も大きいとは言えない。

 大系統も重要である。馬体や歩様に傾向が出るので、それら要素を見る際に基準となる。サンデー系とミスプロ系では筋肉量や歩様の柔らかさが異なり、サンデー系基準でミスプロ系を見るといった事をして誤った判断をする可能性がある。

 そして、よく血統ではニックス、いわゆる相性の良い血というものがある。これも配合実績として良い馬の排出率が高いのであって、必ず良い馬が出る保証ではない。例えば、ディープインパクト×母父storm bird系があるが、このニックスの最も良い結果として双方の高いスピード能力に加えてディープインパクトの柔軟性、心肺能力を持ちながら、storm bird系の馬格と筋肉量やパワーを持ち合わせたいいとこ取りの産駒が産まれる。生産者もそれを狙って配合を行っているが、当然ながら絶対に狙い通りの産駒が産まれる訳ではない。


 最終的に血統はあくまで馬を見る際の参考の域を出ない。血統表だけを見続けるのではなく、しっかりと馬そのものを見るべきであろう。

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