サンドイッチパーティー



「ただいま〜。」

「あら!、お帰りなさい……って?ロイドくんもいるのね!」

「あ、お邪魔します。」


オリヴィアとロイドは長い時間の決闘と言うなのじゃれあいを済ませるとオリヴィアはロイドを連れて家に戻って来た。


「あら、どうぉ……ってロイドくん!?なにその顔??」

「いえ、これは決闘でオリヴィアに……」


ロイドの姿を見たルィーダはひどく驚いた。

ロイドの顔は何かに殴れれた様にひどく腫れあっがっていた。


このケガはオリヴィアとの決闘でボコボコにやられた傷であった。

ロイドは決して弱い訳ではなく道内では上位に入るほどの実力者

だ。

そのロイドを簡単にあしらうオリヴィアの実力が異質であった。


「オリヴィア〜‼︎……って、あの子どこに言った見つけらた尻を…」

「あ、待って下さいこれは全て俺が決闘に敗れた結果なので気にしないで下さい。」

「まぁ、ロイドくんがそう言うならいいわ。………そのぐらいのケガならで治るからあとで使ってあげるわ。」


治癒石とは

魔法石の一種であり、魔力を加えると淡い緑色に光る意思である。その光には治癒効果があり軽い【切り傷、打撲、出血】程度なら数分間光に当てる事の出来る。


しかし、治癒石は希少な魔法石の為他の物に比べ高額で取引されている。

3.4ダラ程度で売られている炎の魔導石に比べて130倍以上で取り扱われていた。


「そんな、治癒石なんて高価な物を使って貰わなくてもこのぐらいのケガは………]

「なに言ってるの、そんなケガだとせっかくの男前が台無しよ………それに治癒石を持っているのに使わないのは損だしね。」

「………なら、お言葉に甘えます。」

「それと小麦を持って来てくれたお礼に何かしたいのだけど何がいいかしら?クレーちゃんには夕飯をご馳走する事になったけどロイド君もそれにする?」

「いえ、今日は用事があるのでポルドさんに挨拶したらお暇させていただきます。」

「そう……なら、さっき試作で焼いたパンが数個あるから持って帰りなさい沢山作り過ぎて大変なのよ。これはお礼とは別で手助けだと思って頂戴。」

「わかりました。それでは有難く頂戴します………それとお礼の

件ですが一つお願いしても良いですか?」

「えぇ!いいわよ」

「今度俺に剣の稽古をつけてくれませんか?」

「私?………」

「はい!元騎士団でさらにその中で3本の指に入るほどの実力者のルィーダさんに稽古をつけてもらいたくて。」


ロイドはルイーダを尊敬して慕っていた。

剣術の実力をさることながらその人柄も尊敬する素材としては十分であった。それこそ神を崇めるような感覚だろう。


グランからルィーダの実力を聞いていたロイドはいつかは手合わせを頼みたいと強く思っていた。


「分かったわ、今度稽古をつけてあげる。けどその代わりに次の決闘ではオリヴィアに勝ってもらうわよ。」

「それは言われずもですが………母親としては娘が負けてもいいんですか?」

「まぁ~、複雑な心境じゃないと言えば嘘になるかしら………でも、あえて試練を与えるのも母親の務めと思うわ、ほら獅子は断崖絶壁から子供を突き落とすと言うしね。」

「いや、そんな殺人行為聞いた事無いですが………オリヴィアのあの強さの片鱗を味わいました。それと同時に稽古を申し込んだ事を少し後悔し始めました。」

「それはともかく、ポルドに用事があるのよね、ユウリと一緒に寝ているから起こして話しかけていいわよ。」


ルィーダが指を指すとそこには背もたれ付きの長椅子に座り背もたれ全体重をかけるように眠っているポルドとそのポルドの膝にを枕にしてスヤスヤと眠るユウリの姿が見えた。


ロイドはまだ幼いユウリはともかくいつも忙しそうに何かをしているポルドが眠っている異常な状況に違和感を覚えた。


「チビ………ユウリが眠っているのはいつもの事ですがポルドさんが寝てるのは珍しいですね。初めて見ました。」

「あぁ、ポルドは魔力を使いすぎて軽い魔力切れを起こしているのよ。」


魔力切れとは

この世界の人々は体内に魔力があるがその体内の魔力が枯渇すると【倦怠感、めまい、吐き気】と言った症状が現れ最悪の場合は気を失ってしまう事もある。


基本的には魔力は寝たり体を休めると自然と回復していくのでポルドも体を休めて魔力を回復させていた。


「今日は魔道具を作ったりと色々大変だったからねぇ~、極めつけはあれね」


ルィーダが指を指した方向は庭であった。その庭には大きなドーム型の石で作られ物が置いてあったそのドームの中は薪などが火で燃えていた。


「あれはなんですか?」

「あれはと言うそうよ。なんでもパンを焼く時に必要みたいであれを作る際に土魔法を使って魔力を浪費してしまった様ね。」

「そうなんですね、確か土魔法は他の魔法より魔力量が膨大と聞きました。……なら、今話しかけるのも恐縮なので俺は帰ります。」

「あら?いいの?」

「はい、親父が魔剣制作でポルドさんに聞きたい事があるって言ってたんで来たついで聞いてやろうと思っていましたが………お疲れ様みたいなのでまたにします。急ぎの様でもないので」

「そう、わかったわ。ならその怪我を治してあげるからこちらに来なさい。」


ルィーダは家の奥から治癒石を持ち出すとロイドの腫れ上がった顔の傷に近づける。

そして治癒石に魔力を込めるとエメラルドグリーンの様な神秘的な色に光るその光をロイドに近づけると1分も経たないうちに怪我が治り奇麗な素顔にもどった。



怪我が治ったロイドはルィーダからの紙袋に入ったまだ暖かい丸みを帯びたパンが何個か入ったら紙袋を受け取ると日が暮れはじめた街へと姿を消した。


居なくなったロイドと入れ替わる様に部屋の奥からオリヴィアが現れた


「あれ?…ロイドは?」

「さっき帰ったわ。」

「なぁ~んだ。つまんないな。」

「そんなに暇ならユウリとお父さんを起こしてきてもらえる?」

「いいよ!」


ルィーダはクレーと一緒に夕食の準備に戻りオリヴィアは母親の言う通りにユウリと父親を起こしに向かった。


長椅子に座る二人の前に立つオリヴィアは父親の肩を揺さぶりながら『お父さん~、起きて』と声を掛けると閉じていた目をゆっくりと開けて目を覚ました。


「おぉ~、オリィか、おはよう!」

「今は夕暮れだからおそようだけどね。」

「ははっ、そうだな………って!?ユウリいつの間に俺の膝に!?」

「寝ぼけてお父さんの膝を枕にしたんでしょ。」


ポルドはユウリを揺さぶり『起きろ~飯だぞ!!』と声を掛ける

がしかしユウリは一向に起きる気配がないむしろ深い眠りへと落ちていく。


普通ならこれだけ揺さぶり声を掛ければ誰でも起きるがユウリはこの程度では反応しない、


鼻をつまみ呼吸を阻害するが意味はない

ほっぺたをムニムニ揉むが嬉しそうに笑うだけで意味はない

首筋をくすぐるが軽く微笑む程度で意味はない。


「………ユウリってこんなに起きない子なのか?」

「ユウリは熟睡したら絶対に起きないよ。………まぁ、くすぐれば起きるけど」

「はぁ?、くすぐりってさっきから首筋をくすぐってるぞ?」

「違う違う、そこじゃ起きないよ。を責めないと」


オリヴィアはそう言うと靴を脱ぎ真っ白の素足の状態のユウリの足の方へと移動すると長椅子に座り父親と自分でユウリを挟む様に長椅子に腰を下ろすとうつ伏せで寝ているユウリの足を自分の膝の上に乗せる。

そして暴れても良い様に揃えた両足の足首片手で掴み拘束する。


ユウリの幼くまだ発達していない足の裏をオリヴィアは意地悪な笑顔を浮かべ『フフフ』と悪いながらもう一方の手をワキワキとしながらユウリの敏感な足の裏に近づく。

もし、ユウリが起きていたらこの絶望的な状況に暴れていただろう。


悪さをしたお仕置き、

秘密を聞き出すための尋問、

普通にくすぐりたくてくすぐるなどの理由で良く姉からくすぐりを受けていた。

時には自分からおねだりする事もある。

しかし足の裏だけは非常に弱く少しくすぐられるだけで大笑いする程である。


そんな足の裏を人質に取られてしまったユウリ。


「おい、………さすがにそれは可愛そうだろ。」

「でも、こうしないとこの子起きないし………そう、これは仕方ない事だよ。ぐへへへ。」

「オリィ………それはお前の私的な感情も入ってるだろう。」

「いやぁ~相変わらず可愛くてぷにぷにの足してるなぁ。なんか犬や猫の肉球を触ってる気分だよ。」


オリヴィアは父親の話を無視して、目の前の柔らかい足をぷにぷにと触る。

それだけ十分くすぐったい様子でユウリの口から「くふっ…」と笑いを堪えるような声が聞こえる。


ポルドもこれは止めても意味がないと気が付いた。

そもそも普通に起こしても起きないユウリも悪いなと考えたポルドはせめて椅子から落ちて怪我をしない様に見守る事にした。


「げへへ………ユウリちゃ~ん。覚悟しなさい。」

(オリィってこんな変態だったか?)


自分の知らない娘の変態性に少し戸惑いを見せるポルド。

オリヴィアはユウリの無防備な足の裏を人差し指で踵からつま先にかけてツツゥ~となぞり上げた。


「ツッ~////」

「へへへっ、くすぐったそうだね!」

「おい!変態おやじ‼早く済ませてやれよ。」

「ちぇ~、わかっ………………今、変態おやじと言った?」


変態おやじオリヴィアはユウリを起こそうと足の裏をコチョコチョと軽くくすぐり始めたその瞬間ユウリの体がビックン!!と大きく跳ねた。


「ツツゥ~///………くふぅぅぅぅ………へにゃあ………へへ…あははははははは」


最初は何が起こったか分からなかった測らずに小さく笑いを堪える声を出していたが数秒で自分の足から脳天へと貫く凄まじいくすぐったさに訳も分からずに大笑いをと共に目を覚ました。


あれだけ目を覚まさなかったユウリは少し足裏をくすぐるだけで目が覚めるのだからユウリがどれだけこの責めが効くのか一目両全である。


「ほら?目が覚めた?」

「ふにゃああああ、あはははは」


ユウリの足の指がギュギュと閉じたり開いたりして『くすぐったい~』と訴えかける

もはや笑うのに手いっぱいで何も考えられずにいた。


◆◇◆◇◆◇◆◇


「三人とも来たわね………って?ユウリの顔なんでそんなに赤いの?しかも呼吸も少し乱れてる』

「あぁ~、ちょっと楽しくてやり過ぎた。」

「ハァ…ハァ…、ちょっとじゃないよ!まだ足の裏がくすぐったい」

「あぁ~、なるほど。………あの笑い声はそう言う事ね」


ユウリはくすぐったそうに両足を擦り合わせる。

ルィーダはユウリの証言と先程の大きな笑い声で何が起きたか分かったのでとりあえず軽くオリヴィアの頭を軽く小突いたら『ごめんなさい』と一言謝罪を入れた。


「ユウリもごめんね。」

「………ねぇね、ちょっと嫌い。」


ユウリ達は食卓に座ると目の前には綺麗に切られた野菜や果物に肉や魚や見た事のない食べ物も並んでいた。

そして食卓の中央には焼きたてのホカホカのパンが食卓の真ん中でカゴに入っておいてあった。


「すごぉ~い!、かぁか、ごめんね。ユウリ寝ちゃって一人で任せて。」

「いいのよ、ユウリの仕事は寝る事だからね………それにユウリが作り方を教えてくれなかったら作れなかったのよ。」

「にへへ、ユウリいっぱい寝て早く大きくなるかね!………かぁか大好き。」


ユウリは隣に座る母親に飛びつき愛を伝えた。

そんな愛しい我が子の頭を優しく、その愛情に答える様に撫でた


「ユウリ~!お姉ちゃんも今日小麦取るの手伝ったよ?」

「うん!ありがとう………ちょっと嫌い。」


オリヴィアは先程の一件でユウリに一時的に嫌われてしまったようです。


ルィーダの『食べましょう』の一声がかかるとクレーを除く4人は手を合わす、その異質な状況にクレーは驚きを隠せないでいた。

オリヴィアは一昨日に学んだ【いただきます】と言う食事前にする感謝の儀式をクレーに教えた。


5人は仲良く両手を合わせて『いただきます』と言う。


「すごい~これがパンね!」


オリヴィアは目の前にあるパンを一つとる今まで触れた事の無いフワフワな触り心地に鼻をくすぐる優しい小麦本来の香りが嗅覚をから脳へと流れ空いたお腹を刺激して思わず腹の虫が泣き始める。


オリヴィアは誰よりも早く焼きたてで香ばしいパンを一口食べる。


外の皮は少し硬いがふわふわで少し噛み応えのある歯ごたえだったが柔らかくフカフカした触感が楽しく咀嚼が止まらない。

噛めば噛むほどパンのほのかの甘さが溢れ出す


「すご~~く、おいしい!!」

「にへへ、気に入ってもらえて良かったよ。………でもこれを付けるとさらにおいしいよ。」


と言いユウリは瓶に入ったジェル状の謎の瓶を三つ手渡した。それぞれ『赤、紫、黄色』とカラフルな色をしていた。


「これはジャムだよ!………これを付けるとパンがさらにおいしくなるよ。」


ユウリが渡した物の正体は【ジャム】であった。


赤のジャムはイチゴ

紫のジャムはブルーベリー

黄色のジャンはオレンジで出来ていた。


オリヴィアはパンにユウリからもらった赤い瓶のイチゴジャムを塗り再び口に運ぶ。

口の中に小麦の香りに混ざりイチゴの甘さずっぱい香りが口いっぱいに広がる。


「さっきも美味しかったけどこのジャムを塗るとさらにおいしい。………これはどうやって作ったの」

「砂糖と果物とレモン汁を入れて煮込んだだけ………」

「………………それだけ?」


ジャム作りはものすごく簡単です。

材料を入れて煮込めばジャムが出来るのです。


某有名パン漫画では

ジャム歴史の深いオーストリアでは【オーストリア人は幼稚園児でもジャムくらい作れる】と言ってました。

それはジャム作りが身近にある環境であれば幼稚園児ですらジャムが作れるほど簡単と言う事でしょう。


「ユウリちゃん?私たちが準備したこの材料は何に使うの?」


クレーはルィーダの手伝いをして作ったパン以外の材料を指さした。

せっかく準備した材料をどうやって使うのかが謎であった。


「にへへ、今日はねパンを美味しく食べる為にねを作るんだよ?」

「サンドイッチ?」


サンドイッチとは


フランスで生まれた食べ物であり1760年頃に誕生したと言われています。

「ジョン・モンタギュー」という伯爵はが作ったと言われており、伯爵はボードゲーム(チェス)を好んで遊んでいました。

そのチェスをしながら食事を済ませる為に片手で食べれる食べ物として作ったのがサンドイッチだある。


ちなみにサンドイッチの定義は肉や野菜などをパンで挟んだものを指しますそのために形や種類は様々あります。


アメリカのソウルフード【ホットドッグ】もサンドイッチの一種といわれます。


「へぇ~、サンドイッチ美味しそうね………でも、その話ならなんで具材を挟まないでそのままでおいてるの?」

「にへへ、かぁかは良い所に気が付くね!、今回はそれぞれ好きな具材を挟んで貰って自分だけのサンドイッチを作ってもらう。をするからだよ!」」


サンドイッチパーティーとは

日本の手巻き寿司の要領で好きな具材を自分で選んで自分だけのサンドイッチを作る物である。


出来立てのサンドイッチや自分だけのサンドイッチが作れるメリットがある半分意外なデメリットがあるのがこのサンドイッチパーティーの欠点である。


それは


「でも、私達何を挟んで食べればいいか分からないわ。」


【何を挟めばいいのか分からない】

サンドイッチは何を挟んでも美味しいですが、それだからこそ何を挟めばいいのか分からない状況が生まれます。


好きな物をたくさん挟んで食べるという方法もありますが具材が増えれば増える程に崩れやすく食べずらくなります。

そのため入れる具材は多くて5種類にまとめるのがいいでしょう。


「にへへ、みんなそう言うと思ったからユウリがみんなの食べたいサンドイッチを聞いてブレンドしてあげる。」

「えぇ!いいの?」

「いいよ~、じゃあまずはクレーお姉ちゃんから作ってあげる。何が食べたい?」

「じゃあさっぱりしてるけど食べ応えがある物を食べたいわ。」


ユウリはクレーから要望を聞くとパンを片手に持ちサンドイッチを作り始めた。


【トマト、玉ねぎ、キュウリ、茹でたマグロの身、マヨネーズ】をパンに挟むとクレー専用のサンドイッチが出来る。


「じゃ~ん、完成!ユウリ特製野菜たっぷりツナマヨサンド」


【ユウリ特製野菜たっぷりツナマヨサンド】

マグロの身を茹でた物(ツナ)とマヨネーズのツナマヨにキュウリの触感と水にさらし辛味を抜いた玉ねぎの風味、トマトの甘酸っぱさがマッチしたさっぱりでありながらあえて身をほぐさずにそのまま茹でたマグロの身を使った事に食べ応えがアップしたサンドイッチである。


「うぅ~、おいしい!!」

「にへへ、気に入ってもらえて良かったよ。………次はとぉと。」

「俺は肉が食いたいが油がくどくないさっぱりしたのが食いたいかな」


ユウリは再びパンを片手にサンド一致を作り始めた。

「薄く切った牛肉、レタス、レモン汁、トマト、】さらにを振りかけて完成した


「完成!香ばしく焼いた牛肉レモンの黒胡椒サンド!」


【香ばしく焼いた牛肉レモンの黒胡椒サンド】

下味をつけ香ばしく焼いた牛肉とレタスなどの野菜を乗せ上からレモン汁と黒胡椒を振りかけて完成したサンドイッチ。

牛肉の脂身をレモンでさっぱりさせ、さらに黒胡椒のスパイスの香りと辛味が良い刺激になる。


「美味い!ピリッと舌を刺激する胡椒?と言う調味料がレモンの酸っぱさとマッチしている。」

「にへへ、胡椒は凄いよ!料理の幅が膨らむね」


胡椒には【黒と白】の2種類が存在します。


黒胡椒は熟成していない緑の胡椒の実を乾燥させて物で強い風味と辛味を持っています。


白胡椒は熟成した赤い胡椒の実を乾燥させたもので上品な香りが特徴です。


「今回はしっかりと辛味が欲しかったから黒胡椒を選んだの………次はかぁかだね。何が食べたい?」

「私は野菜だけのサンドイッチを食べたいわ。」


ユウリは再度パンを片手にサンドイッチを作り始めた。

【少し多めのレタス・トマト・キュウリ・ゆで卵】それにすり胡麻を混ぜたマヨネーズに入れて完成


「出来た!特製ゴマソースの太陽の恵み野菜サンド」


【特製ゴマソースの太陽の恵み野菜サンド】

沢山の野菜と卵を挟み、胡麻とマヨネーズの混ぜた特製ゴマソースのサンドイッチ。

野菜が沢山でダイエット中の人も安心して食べる事が出来るヘルシーなサンドイッチである。


「うぅ~、おいしい!これ私好み!」

「へへっ、かぁかが喜んでくれて良かった。………次はねぇねか、はぁ~。………」

「ため息!?、私の事嫌いなの?」

「うん!ちょっと嫌い!」

「ユウリ~、ごめんって。」

「で?なに食べたいの?」

「じゃあ……」

「はい!適当に作ったチキンと卵の親子サンド」


(((ユウリ、怒ってるなぁ。)))


予想以上に弱点をくすぐられた事を根に持っているユウリであった。


「う~ん、ユウリ物凄く美味しいね!」

「よかったね、………静かに食べてね。」

「………………ねぇね、悲しい」

「ぶはっ~」


クレーは二人の掛け合いを面白く感じたのかついには噴き出してしまった。


「あら、クレーちゃん、口からツナマヨが」

「くっ………ふふっ、すいません。」


【適当に作っチキンと卵の親子サンド】

蒸したチキンをほぐし卵とサンドしたサンドイッチ。

シンプルでありながらおいしいサンドイッチである


「よし、次はユウリのサンドイッチを作ろ………」

「あ!私が作ってあげるから何が食べたいか言って!………さぁ、ユウリ様はお座りください。」


(((いや、機嫌を直すのに必死過ぎ!)))


オリヴィアはユウリの言う通りにサンドイッチを作り始めた。


「ユウリは卵サンドが食べたいから茹で卵を潰してマヨネーズとあえてサンドして。」

「それだけでいいの?」

「確かに……これだけ具材があるし、あと一つ何か入れようかな………あ!、じゃあを入れて!」

「チーズ?」

「そう、その白いのがチーズ。カッテージチーズだよ!」


カッテージチーズ

モッァレラチーズと一緒のフレッシュタイプチーズでありボロボロとそぼろ状のチーズである。


本来のカッテージチーズはお酢で作りますがお酢がないので代用で大活躍レモンを使って作った【レモンカッテージチーズ】です。


(お酢があればモッァレラチーズも作れたのになぁ………はぁ、お酢欲しいなぁ。お酢があればチキン南蛮って料理を真っ先に作ろう。)

「はい!、ユウリ出来たよ。」

「うん!ありがとう。」


ユウリは出来たサンドイッチを一口頬張ると卵の甘さとマヨネーズの酸っぱさにチーズのクリーミーさが交わり口いっぱいに上品なハーモニーを奏でる。


(うぅ~、確かに美味しいけどパンがまだ硬いなぁ………やっぱり酵母なしだと発酵不十分だなぁ~、作る物が沢山で大変だぁ。………にへへ、面白くなってきたよぉ~。)


ユウリはサンドイッチを食べながら今後やる事をまとめていた。


「ユウリ~、おいしい?」

「うん!」

「ねぇ~、ユウリ………このサンドイッチを作ったんお姉ちゃんじゃん。」


オリヴィアは両手を後ろに隠しながらユウリに尋ねる。

ユウリはこの瞬間姉が何を求めているか分かった。


ユウリは笑みが零れ落ちた。


「そうだね。」

「それであの~………お姉ちゃんの事好き?」

「うん!………ちょっと嫌い!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ、ユウリに嫌われた。」


オリヴィアはユウリに許してもらえずついには泣き出してしまった。

大好きな妹に嫌われてしまった今となっては生きがいを無くした抜け殻と化した。


「くふっ、あはははは!」


それを見ていたユウリの口から笑い声が零れる。

それを見てオリヴィアは涙目のまま不思議そうにユウリを見つめる。


その状況で今まで薄々感づいていたルィーダは違和感を確信へと変えた。


「あぁ~、やっぱりユウリ全然怒って無かったでしょう。」

「にへへ……かぁかにはバレてたか。」

「はへ?怒って無いの?」


実はユウリは一切怒っていなかった。

しかし、意地悪をされたのでその仕返しを考えていた。

その時に【もし、怒ったフリを続けたらどうなる?】と考えた。

その結果がこれである。


「うん、あれぐらいじゃ怒らないよ!」

「そうなの!?」

「でも、あれはやり過ぎたから次は優しくしてね。」

「分かった………うぅ、ごめんね。」


こうして仲良し姉妹に戻った二人と他の三人で食事は続いた。


「次わたしはチーズとトマトとレタスのサンドイッチにする。」

「じゃあ俺はツナマヨを食べようかな?」

「あぁ!、ユウリも食べたい。!」

「じゃあ、またお姉ちゃんが作ってあげる。」

「お母さんは次お肉を食べようかしら?」


◆◇◆◇◆◇◆◇


「すぅ~…すぅ~…」

「クレー寝ちゃったね。………しかも私のベットで、」


食事を終えたユウリ達は気が付くと夜が遅くなったのでクレーを今晩泊める事になった。

ユウリ達は3人で仲良くお風呂に入り自室で遊んでいた。

途中でクレーはオリヴィアのベットの上で読書を始めた。


それに伴いオリヴィアもユウリに絵本の読み聞かせを始めた。

少し時が経つとクレーの方から寝息の様な呼吸が聞こえ、そして今に至る。


「だね………でもクレーお姉ちゃんを起こすのは可愛そうだよ。」

「そうね………少し狭いけどユウリのベットで寝る?」

「うん、いいよ!」


大きなベットで眠るクレーに風邪にならない様に掛け布団を掛けると部屋の電気を消しユウリのベットに寝転がる。


ユウリが寝る分には十分の広さがある子供用のベットはオリヴィアにとってはギリギリで少し体をたたみベットに入る。

いつも同じベットで眠っている二人だが今回はベットが狭いためにいつも以上に引っ付き抱きしめ合い眠っていた。


「にへへ、ねぇね!いい匂い。」

「お風呂に入ったばかりだからね。………ユウリもいい香りだよ。」


オリヴィアのユウリの香りを嗅ぐ、石鹸の良い香りとユウリ特有の赤ん坊の様な香りが混じり合う落ち着く安心のする香りが鼻をくすぐった。


ユウリはどこか恥ずかしそうに、嬉しそうに姉を上目遣いで見つめる。


「どうしたの、ユウリ?」

「にへへ、ねぇね、大好き!」

「私も大好きよ。………明日は何を作る?」

「明日はね………」


姉妹は狭いベットの中で抱き合いがなら明日にする事を話し合う。

ユウリの口からは聞いた事の無い様々な料理の名前が出る。

ユウリの言う全ての料理が魅力的で好奇心を駆り立てられる。

2人は明日の事を考えながら夢の世界へと入るのでした。



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