第4話 襲撃2

 ここは、北方戦線、連邦国軍第一特別機動連隊野営地第三ブロック。エリー機兵大隊ベースキャンプ設営四日目深夜。


 現在、エリー大隊は混乱に乗じた敵襲を受けている。

 

 エリーは士官用テントから出ると、すぐさま大隊本部周辺の敵兵10名を片付ける。

(時間が勝負だ! コイツらは我々を潰す事が使命、達成するまでは絶対引かぬ、残念だが、殲滅するのみだな)


 敵兵はショートレンジの通信機を持っている様で、エリーの仕留めた敵兵のヘルメット機器から通信会話が聞こえる。

《第二分隊通信途絶! 目標補足出来ず! こちら第三分隊、機兵格納庫破壊活動開始する!》


 エリーは周囲の感知範囲を広げて、敵兵をの位置を確認する。機兵整備ブロックに10名ほどの敵兵を感知、味方の部隊員も数人確認する。応戦している様だ。


 エリーは魔力量を更に増大させた、エリーの銀髪が輝きを放ち発光する。

 直ぐに、機兵整備ブロック入口に到着した。内部を確認すると整備カーゴを盾に3人が、歩兵銃と拳銃で応戦対応している。ボビーと整備下士官の様だ。そして周辺に四人ほどが倒れている。息があるのは二人、後の二人はマナエナジーの流れが確認出来無い多分もうダメだろう。


 エリーは機兵整備ブロック内に突入、敵兵と味方部隊員の間に割って入る。


「な・・・・・・!」対峙した敵兵の一人から声が漏れる。

 

 エリーは左手を挙げ、後方の部隊員に言う。「ボビー整備主任、味方だ! 撃つなよ!」

 

 ボビーが叫ぶ。

「どこの士官か知らんが応援感謝する! だが、それは無茶だと思うが!」

 ボビーは、前に立っている銀髪の女性士官の気配が尋常ではない事わ、周りに振りまく殺気で痛いほどわかる、だが武器といえば右手に持っている軍刀のみだ。


 敵兵は正面の4名が伏せた状態から、エリーに向け連続発砲、両サイドの六人も支援射撃した。そして、ライフル弾がエリーの前で潰れてポトポトと無数に床へ落ちて行く。

 

 エリーが微笑んで敵兵に向かって言う。

「お前達は、知らんだろうが‼ 魔法はテクノロジーの究極到達点なのだが、現世ではあまり重要視されていない残念だ!」


 「突撃!」サイドの敵兵の指揮官らしき声に、伏せていた敵兵四名立ち上がり、銃剣を構えてエリーに向かって行く。

 エリーが軍刀に魔力を通して中段から斬撃を放つ。〈グ――バ――ン!〉エリーに迫っていた四名の敵兵が胴のプロテクターを砕かれ血を吹き出しながら宙を舞て横に飛ばされて行く。


「有り得ぬ! キサマ何者ダ!」

 敵兵の指揮官らしき男が叫ぶ。


 エリーが軍刀を握り直して言う。

「我が名はセレーナ ブレッドリー!」

 エリーは微笑んでいるが赤い瞳は恐ろしい程冷たく光っている。


「我が配下がこんなに簡単に・・・・・・、死線を潜り抜けて来た可愛い奴らが! 有り得ぬ、キサマは俺がやる」

 

 敵兵の指揮官がサイドからアサルトライフルを発砲しながらエリーに接近しようとする。そこへ敵兵の部下が入って来る。


「クリフ様、退いて下さい! 相手が悪過ぎます、どうか、冷静にどうか!」


 エリーの前に出た敵兵はアサルトライフルを連射してエリーの気を逸らそうとするが、エリーの軍刀は容赦無く振り抜かれ、肩から脇腹まで切り裂かれる。


 敵兵の指揮官クリフはその様子を見て目を伏せる。「何で,アーマシールドが紙のように簡単に切り裂ける・・・・・・」


 整備ブロックサイドに居た残りの敵兵が素早く駆け寄り、指揮官クリフを引っ張り後に下げる。「無理です! 早く撤退を!」クリフを後に押し除けた敵兵が叫ぶ。


 敵兵三人は、クリフを更に後ろに押し下げ、アサルトライフルの銃剣を前に突き出して、エリーを牽制、連続発砲する。


〈パンパンパン〉ライフル弾はエリーの身体に当たる事なく、手前に幕があるかの如く、潰れてパラパラと下に落下する。


「ほう、主を守るか!」

 エリーは軍刀を左斜め上段に構えて、敵兵を睨む。


 クリフの横の敵兵一人は、クリフの脇を抱え無理矢理引っ張って後退して行く。前面の敵兵一人が叫ぶ。


「閃光弾! やるぞ! 目を防御しろ!」

 そして、瞬間に周辺が凄まじ光に包まれた。「離脱急げ!」敵兵の叫び声が聞こえる。

 

 エリーは神眼で視感しているので、閃光弾で敵兵を見失う事はない。エリーは軍刀を中段から右に振り抜く。エリーの前の敵兵三人は胴のプロテクターを切り裂かれ、横に吹き飛んで行った。


 後方に居た、ボビー達は前方で繰り広げられている戦闘に思考が追いついていなかった。「何が、起こっている! 信じられん?!」つい先まで、自分達が死を覚悟した敵兵を、銀髪の女性士官は軍刀一本で事もなさげに次々と倒して行く。そして、閃光弾が炸裂し眩い光に視界が奪われて周りが見えなくなった。


 

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