第3話 襲撃1
ここは、北方戦線、連邦国軍第一特別機動連隊野営地第三ブロック。エリー機兵大隊ベースキャンプ設営四日目深夜。
軍管区内無線の警報が鳴り音声を発する。〈こちら第10師団、15地区守備中隊! 只今、原因不明の爆発事案発生中! 各隊に告ぐ! ! 警戒を厳にせよ! 繰り返す〉
大隊本部テント内にいた、当直士官のアラン中尉が慌てて、軍用電話を取る。
「エリー少佐、緊急事案発生しました! 起きてください!」
『何でしょう・・・・・・』
電話の向こうからエリーの声がする。
「アランです! 15地区物資集積場周辺で、原因不明の爆発が発生しています!」
『じゃあとりあえず、第三戦闘配備をお願いします』
「はい、了解致しました! 第三戦闘配備発令します!」
エリーが電話で指示を出す。
『連隊本部に指示確認して下さい』
すると突然、電話が途切れ、照明が消える。電話は無音状態でノイズも無い。
エリーは、(どうしたのかしら? とりあえず確認ね)
エリーは、非常灯を点け簡易ベットから立ち上がり、素早く軍服を着用する。手前の棚から軍刀と拳銃を取り出し着用した。
(敵襲・・・・・・?)
取り敢えず、エリーは士官用宿泊テント内から、魔力感知スキルを発動、周囲の様子を確認する。(周囲100m以内に動いてる人間が20人くらい、私の知っている者では無い! 殺気を感じる! これはマズイ!)
隣のカーテンのを開けて、エマを揺り起こす。「起きてエマさん! マズイ事が起こっている見たい!」
エマがはっとして目を覚ます。
「エリーさん、なんですか?」
「敵襲の様です! 早く服を着て下さい!」
エリーは、士官用テント入口付近に三人が接近して来るのを感知して、非常灯を消した。エマをベットの陰に抑え込む。
「静かに、敵が来ます」
エリーは更に、女神スキル神眼を発動して敵のマナエナジーを視感する。
(3人! かなりの手練! 一般兵士のレベルではない)
エリーはベット横に身を潜め、そして、軍刀の鞘をゆっくりと下に抜いていく。
敵は、テント内に入って来た、全員完全装備、灰色の軽量フルアーマだが擦れる音がしない、腰に拳銃ホルダーと弾倉ホルダー、手にはアサルトライフル先端に銃剣装着。一名が背後を警戒、二名が距離を保ちながらテント内部をチェックしている。
エリーは、現世において直接、人に手を下した事が未だない。エリーの手が少し震え、軍刀がベットの金具触れ〈かった〉と音がする。そして、エマがエリーに覆い被さて来る、次の瞬間〈パンパン〉小さい閃光が走る。前の敵兵の一人がエリーの方向に発砲した。
「うう――――」エマが唸っている。
(え――、どうしたの?)
エリーがエマを抱えて顔を見ようとするが暗くて見えない。手に生あったい液体の感覚。(これって血・・・・・・!)
エリーの深層から声がする。(代われ! ヤラレる! 今行くぞ!)
エリーの意識が一瞬薄れて、瞳が朱色から真っ赤な色に変わり目が若干吊り上がり、髪色が紫色から美しい銀髪に変わっていく。
そして、エリーは、エマの傷口を魔力を通して塞いでいく、心臓は動いているが弱い。エリーは心臓に魔力を通して動きを整える。(何とか、持ちそうだな)
エリーは、エマの防弾ジャケットを脱がせ床にゆっくり下ろした。(これからの事は、エリーがやるのではない、執行の女神セレーナが全て引き受けてやる)
エリーは、ポニーテールの髪留めフックを外し髪が下に広がった。そして、全身に魔力を通して、立ち上がる。
〈パンパンパン〉前方の敵兵がエリーに向け発砲、閃光が走る。
エリーは、一気に驚異的なスピードで敵兵の前に到達すると、斬撃を繰り返した。
次の瞬間、左側の敵兵の首が飛び、右側の敵兵は胸が裂け血を吹き出しいる。
後方の敵兵は気付き振り返ろうとしたが、エリーの軍刀の突きが背中から正面のプロテクターを貫通して絶命した。
(苦痛は与えぬ、死すら感じる事なく仕留めやるから、安心するとよい)
エリーは、エマの寝かせてせている位置まで戻りエマの様子を視感する。
(大丈夫だな、良かった。私とて死んでしまったら生き返らせることはできんからな)
エリーはエマの血に染った防弾ジャケットを羽織って、テントの外に行く。
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