第2話 襲撃計画

 ここは、北方戦線、連邦国軍第一特別機動連隊野営地第三ブロック。エリー機兵大隊ベースキャンプ設営四日目夕方。


 エマは、大隊本部テント内、中央テーブルに座り、兵站資料に目を通し問題ないか確認していた。


「副長よろしいかしら?」

 テントにパイロットスーツの金髪女性が入って来た。


「セーヌどうしたの珍しい?」

 

 ダークグリーンの重装機兵用パイロットスーツ上下セパレート形状、左胸に機兵章、所属部隊章天使が微笑んでいる、襟に略式階級章、灰色に黒枠、黒線一本、星3つ、階級は大尉だ。

 

 エリー大隊、機兵第二中隊長、セーヌ アクセル大尉である。

「今日は、警戒任務なんだけど、ここに来てから戦闘らしい戦闘がないから、ちょっとね・・・・・・」

 セーヌはちょっと不安そうにエマを見て言った。


 エマがセーヌを見上げて言う。

「私達が投入されるて事は、参謀本部はここで大規模作戦を展開する予定てことじゃないの? 近いうちに、作戦発動されるから暇じゃ無くなると思うよ」


 セーヌのブルー瞳がエマの茶色の瞳を見つめる。

「違うんだよ、なんか今回は、空気感て言うか、雰囲気が危ういて言うか・・・・・・」

 セーヌが不安定そうに言った。


 エマは少し微笑んで言う。

「帝国軍は戦線を10km程後退してから強い押し出しは、ここ2週間程無い、向こうも戦力集約を図っている状況みたいだけど。まあ、うちはエリー少佐がいるから心配しなくても大丈夫だよ」


「それに、前衛には国軍屈指の第12師団ネロ大佐の歩兵連隊がいるんだよ」


 エマは立ち上り、セーヌの肩を軽く叩く。「心配し過ぎだよ、もっと楽観的に考えた方が良いよ、じゃあないとね、部下も不安になるでしょ」

 

 セーヌはエマの顔を見て頷く。

「そうだよね・・・・・・! ありがとう、じゃあ戻るから」

 セーヌは軽く敬礼してテントから出て行った。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 ここは、べランドル帝国 帝都ドール中央省諜報局長室。


 執務机に座っている黒髪短髪の男が言う。「問題は無いのだな」

 反対側に立っている30代後半くらい、黒縁メガネのインテリ風の男が目を細めて言う。「はい、局長、我が精鋭強襲部隊にて魔女狩りは成功させます、間違い無く!」


 局長はメガネの男を少し睨んで言う。

「しかし、今まで所在が掴めなかった、【グランの魔女】が戦線に出て来るとは、我々が軍部を出し抜く好機ではあるのだが、何か、不安もある。失敗すれば精鋭を失い、摂政殿の信用も失うことになる、諜報工作部長! 失敗は許されん」


 メガネの男、諜報工作部長はメガネを手で上げ自信に満ちた顔をする。

「クリフ大佐は今まで失敗したことがありません。それに、今回選りすぐりの精鋭揃い、帝国最強と言えましょう。【グランの魔女】を仕留めれば、我らの発言力は帝国内において無視出来無くなります。そして、局長は内務卿にも手が届くと・・・・・・」


「作戦開始は、明日0:30となっております」

「揺動は、諜報局直轄予備軍を前線後方物資集積地撹乱攻撃と、目標ポイントの三キロ北東部で小規模攻撃を予定しております。帝国中央軍には直前に、諜報活動を行うと事前通告を予定しております」


 局長は、頷いて椅子から立ち上がる。

「成功を祈る!」


 諜報工作部長は不適な笑みを浮かべ、局長に頭を下る。

「吉報をお待ちください! それでは、失礼致します」


 諜報作戦部長はそう言うと、局長室から退出して行った。



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る