第一回さいかわ水無月賞 特別賞について
第一回さいかわ水無月賞にご参加いただき、誠にありがとうございました。
主題、開催時の宣言通り、「犀川の独断と偏見と気まぐれ」の結果、下記を特別賞とさせていただきます。
雨を集めるヌメメ/しぇもんご
https://kakuyomu.jp/works/16818093079583481574
(敬称略)
個別評
「雨を集めるヌメメ」 しぇもんご卯月賞者
今回のテーマ「雨」はあまり話が広がらなかったのか、テーマを真正面から使いこなせた作品が非常に少なく、しぇもんご卯月賞者が参加される前の時点までは、本賞は「該当なし」を覚悟していました。
しかしながら、あるいはさすがというべきか、しぇもんご卯月賞者はテーマ「雨」で、わたしが参加者に期待をしていたラインのひとつ上を見せてくれました。以降発表する優秀賞以上の作品も大変見事ですが、「雨」の使い方においては、しぇもんご卯月賞者が一番「上手」であるかはさておき(卯月賞者なのでベタ褒めはしないスタイル)、間違いなく一番「面白い」出来でありました。
しぇもんご卯月賞者の最大の強みは「とにかく話が面白いところ」であり、小説の構成がどうとか流れがどうとかという設計図を書いて「上手さで勝負する作家」に対して、「面白さで勝つ」というアドバンテージを持っています。これはもう天性や才能の部類ではないかと思うくらいで、もちろん本人の地道な努力の賜物なのかもしれませんが、余人をもってかえがたい作家であるとしか言いようがありません。
しぇもんご卯月賞者の小説において、その面白さを支えるのは説得力です。冒頭から「ヌメメ」という不思議なものを持ってきても、違和感を覚えさせないというのはすごいことです。その人柄もあるでしょう。
内容はとにかく面白かったです。普通の面白いだけの青春ドラマに終わらず、少し影のあるところを作り、話の濃淡を出す。上手な小説にありがちな「上手すぎて話の凹凸がない」という点もキチンとカバーしております。しかも暗い部分を「使い捨て」にせず、ちゃんと明るく終わらせているあたり、全体への配慮が見事になされており、やるなぁーと思った次第です。
(結局)これだけ褒めてしまうと、もう水無月賞も大賞でもいいのではとも思うかもしれませんが、そこは新たなる方に道を譲っていただきまして(笑)、かわりにといってはなんですが、しぇもんご卯月賞者には、卯月賞からの連続受賞という栄誉を称え、「卯月賞者・水無月特別」の称号を贈り、次回の予選も免除させていただきます。
おめでとうございます。(犀川 よう)
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