神々の疑惑

蛭子の前置きをしたが、天照大神の別名を与えられているならば、二神は双子か兄妹に該当してしまう。本来、天照大神の片割れである太陽神の説が有力ならば矛盾が生じる。

蛭子は伊弉諾と伊弉ミの嫡子だが、天照大神は第六孫に当たり、誕生した年代のズレが大きく更に天照大神に男と女の二役を課したと考察され、前代未聞の雌雄同体の皇帝が誕生する。

国を治めるための機密なのか。

其のため天照大神は弟神の月読尊、素戔嗚尊を率いて高天原を統治していた。弟二神に支えられ女太陽神である天照大神は、過大な役柄と重責に耐え兼ねていた筈だ。

そんな最中、素戔嗚尊が例の事件を起こす。

天の岩屋戸に隠れもしたくなるだろう。


更に考察は続く。


先ず蛭子を日留子、昼呼のように解釈する。

此処でオオヒルメノミコトに使用された旧漢字を分解すると、雨冠に升形が三つ、加えて下に女が入る文字。つまり、蛭子は女性天皇であった可能性が非常に高い。何故なら神道形式上、盃を意味する升形が三つ並んでいるのは最高神への供物に他ならないからである。

蛭子はイザナギ、イザナミ夫婦神の嫡子として充分な位と玉座が用意されていたに違いない。加えて蛭子が国生み初めの失敗作として淡路島に置かれ、捨てられたのではなく四肢不全ながら太陽神へと即位継承し、子孫である天照大神を祭神とする伊勢神宮が増設された事実を裏付けるものではないだろうか。

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