毒林檎は蛇だけが知る

蛇は神官である…と先の例え話から察する。

神官とは何なのか。

古代文明の中で神の化身とされる王の側近であり政治的権限を持ち、その知識・見識の多さから最も賢く神から啓示を授かる唯一無二の立場とされる。


では此処で、天地創造の七日間と楽園の所在、そして禁断の果実とされた智慧の実へと話題を戻そう。


人間の上半身を有する神話上の生物。

chimera《キマイラ》

とも言わざる翼人や人魚、獣人の存在意義は何か。楽園に生まれ堕ちた彼等の魂は蛇と同意義なのか。そもそも楽園エデンとは人間の求める楽土ではなく、神々と彼等キマイラの常世と考える方が正統なのだ。何せ人間は最初はなから地球上で生きることを強いられた生物。

此処、地球を離れては生き延びることが出来ない…否、地球上ですら生き永らえることも難しく共存共栄の意味さえ破壊し誤魔化しながら繁殖を続けた結果であろう。


加えて神官から失墜した彼の者はどうなる。

焦燥に駆られ疑念に押し潰され、王を世間を心底憎んだことであろう。

一滴の憎悪が薄まりながら世界へ流布された。


毒林檎はこうして芽吹き始める。

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