地を這うもの

イヴは蛇にそそのかされ禁忌の実をもぎ取る。

芳香にいざなわれ一口また一口と囓る。

イヴはすっかり果実を飲み下し自分が人間だと知ると同族のアダムと恋に堕ちた。


これは有名な一説。

斯くして神は手足のない蛇を生み出し、楽園を彩る悲劇を造り上げた。

無用の長物ともされかねない蛇。

では何故それは必要とされたのか。


一つ例え話をしよう。


在るところに時の権力者が居た。

その王は側近である神官へ信頼を寄せ何事も相談をしていた。

更にその王を慕い逞しい身体で警護する臣下と王が婚姻を考える美しい女性が居る。

しかし、その女性は身分が低く王族との結婚は憚られる。神官も結婚に反対した。


すると若い臣下と女性が結ばれる。


王は嫉妬心を堪えられず二人を国外へ追放し、二人を結婚させた神官から役職を奪い王宮から退けた。


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