1つのミス

天川裕司

1つのミス

タイトル:1つのミス



イントロ〜


特ダネやスクープ、これを鵜呑みにしてはならないという教訓があります。

これは戦争関連の情報にしても同じ事。

事件が大きければ大きいほど、そのスクープネタになる情報は散乱するものです。

そして今回のテーマは1つのミス。

犯人は必ずその時点で何かしら1つからそれ以上のミスをしているもの。だから捕まる。

この1つのミスがどこにあるのか?これを見つけるのも警察や探偵、そして報道記者の仕事なのです。



メインシナリオ〜


俺の名前は早見信二(はやみ しんじ)。

今年35歳になる報道記者。

俺の得意技はスクープネタを誰より早く手にすること。

そしてその情報を自局に持ち込み、それを報道し、1人でも多くの市民に事の真実を伝える。


これを俺は仕事の1つの大きなモットーとし、これまで10年間、ずっと同じ姿勢で自分の信じる道を歩いてきた。

その繰り返しで俺は今や特定分野で「時の人」と呼ばれるまでになっている。


信二「よぉし、今日もやるぞ」


そして俺は今日も仕事に燃えていた。


ト書き〈遊園地で事件〉


そんな時、また或る事件が起きた。

開業したばかりの遊園地で事件が起きたのだ。

それも若い女子が3人殺されると言う巷を震撼させた事件。


俺はここぞとばかりにいつもの仕事根性を発揮して、

誰より早く現場に赴き取れるだけの情報を取材していた。


そして殺害された3人の女性の経歴を調べ、

その生い立ちから事件に至るまで、

彼女たちがどのような経過で過ごしてきたか?

なぜそんな事件に遭遇したのか?

その辺りのことを徹底的に調べあげ、スクープネタの1つにしていた。


警察と一緒になって動き情報をどんどん取得する。

そうすることで思わぬ貴重な情報を得られる事もあり、

その情報とは警察もまだ知らない未知の出来事・記録だったりもする。


そのまだ誰も知らない貴重な情報こそが

スクープネタを成り立たせる土台になったりもするものだ。


開業したばかりの遊園地とは、みんながイメージする明るい場所・空間。

そこで事件を起こしてこそ、その悲惨を際立たせる事ができる。

おそらく犯人は愉快犯。その愉快犯の狙いはそこにあったんだろうか。


そして俺は自分で取材したネタをもとに

早速スクープとして自局から報道していた。


俺も必死になって伝え、彼女たちがどのように殺され、悲惨な目に遭い、

最後はいつどの場所で殺されたのか?

そこまでを徹底的に調べあげたネタを全部暴露する勢いで報道した。


警察はこの事件を極秘捜査で展開している。

だから一般市民の中にこの事件についての真相を知る者はほとんど居ない。だからこそスクープになる。


でも1つ、俺はこの時ミスをしていた。

殺された彼女たちの内の1人の死亡推定時刻を間違えていた。

ようやく警察がメディアを通し、彼女たちの死亡推定時刻を伝えたのはそれから数日後の事。

警察の公式発表では、俺が伝えた1人の女性の死亡推定時刻より1日遅かった。


だけど更に数日後、警察のその報道も間違っていた。

その彼女の死亡推定時刻は俺が初めに公表した通り、

警察が公表したその推定時刻より1日早かったのだ。



解説〜


殺した犯人だからこそ正確な死亡推定時刻を伝える事ができた。

そもそも極秘捜査なのに、その段階で「いつどこでどのように殺されたか」など正確に分かる筈がない。

従来、犯罪者とは1つのミスを必ず犯すものだが、初めから犯罪そのものが過失(ミス)である。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=7Pj99s73T7k&t=67s

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1つのミス 天川裕司 @tenkawayuji

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