ストーカーと殺人鬼

天川裕司

ストーカーと殺人鬼

タイトル:(仮)ストーカーと殺人鬼



▼登場人物

●小田美野里(おだ みのり):女性。26歳。独身OL。ストーカーに付きまとわれて困ってる。正体は殺人鬼。

●岡田淳樹(おかだ じゅんき):男性。27歳。美野里の会社の同僚。本編では「岡田」と記載。

●近藤優子(こんどう ゆうこ):女性。26歳。美野里の会社の同僚。本編では「優子」と記載。

●春野佳子(はるの よしこ):女性。26歳。美野里の会社の同僚。本編では「佳子」と記載。

●香川祐樹(かがわ ゆうき):男性。27歳。美野里の会社の同僚。本編では「香川」と記載。

●ストーカーの男2人:現在はその内の1人に付きまとわれる美野里だが、過去にももう1人同じ様なストーカーの男が居た。そのもう1人は既に美野里に殺害され美野里の部屋のクローゼットの中。そして残る1人(ストーリー現在で美野里に付きまとっていたストーカーの男)も結局同じ方法で美野里に殺されクローゼットの中に。両方ともセリフなし。


▼場所設定

●美野里の自宅:都内にある一般的なマンションのイメージでOKです。オートロック式。美野里は2階に住んでいる。

●街中:飲み会の店やマンション周辺などこちらも一般的なイメージでお願いします。


NAは小田美野里でよろしくお願い致します。



イントロ〜


あなたは、犯罪に身を染めた事がありますか?

心の中の犯罪まで数え挙げれば、

1度ぐらいはあるかもしれませんね。

心の中でもし犯罪を計画できれば、

それはその犯罪を経験したと言う事。

そう考えれば、誰でもそれなりの

犯罪のエキスパートになれるかもしれません。

そして、犯罪に精通した者というのは

やはりあらゆる状況において

身の安全の確保にも卓越しているようです。



メインシナリオ〜


ト書き〈マンション周辺〉


美野里「…ヤダ、あいつ、また居るわ…」


私の名前は小田美野里。

今年26歳になる独身OL。


ところで私は今、ストーカーに悩んでいる。

知らず内に誰かに付け回されてるような感覚を受け、

初めはそれほど気にせず気のせいだと思ってたけど、

どうやらそれが違った。


私は本当に或る男に付け回されており、

また知らず内に住所も突き止められて、

その男は今、定期的に私が住んでいるこのマンションの

周りを徘徊するようになっている。


美野里「警察に言おうかしら…。いや、ダメよ。こんな状況で警察に言ったって何もしてくれない」


警察に通報する事も考えたが、

特にまだ被害が出てないこの状況で言ったところで…

「見回りを強化する」

「もし何かあればすぐに連絡して下さい」

なんて逃げ口上を言われるだけ。


私の友達も同じような目に遭った事があるらしいが

やっぱりこんなとき警察は頼りにならず、

「事が起きてからでは遅い」

これを寸分の狂いもなく実践する世の中なんだ…

という事を学んだと言う。


その友達は結局、そのストーカーに襲われ帰らぬ人となってしまった。


ト書き〈数日後〉


それから数日後。

私は会社の飲み会で、久しぶりに都内の飲み屋街へ来ていた。


「乾杯〜♪」


私の同僚はみんな仲が良く、こんな時は気分も紛れて助かる。


岡田「よぉ美野里、どうだ?今度みんなで一緒にドライブ行かないか?イイとこ見つけたんだよ」


香川「あっ、イイねぇ〜♪俺も行って良いか?美野里ちゃん、皆と一緒に行こうよ♪きっと楽しいよ」


今日もいろいろ誘ってくれて、私の心も弾んでくる。


美野里「そうね〜♪佳子と優子も誘って行こっか♪」


岡田「よし、決まりだ♪」


優子「ねぇねぇ何の話?」


佳子「え?ドライブ??良いじゃない!みんなで行こうよ♪」


今日も飲み会は楽しく終わった。


ト書き〈タクシー〉


そしてその帰り道。


美野里「ゔゔ〜…ダメ、また気分悪くなって来ちゃった。ああ、ちょっと飲みすぎちゃったみたいね…」


香川「おい大丈夫か?ちっ、しょうがねぇなぁ。どっかでタクシー拾ってやるから、それで家まで帰れよ」


美野里「ありがと…ゔゔ…」


私はその日、飲み過ぎてしまい、

帰りは本当に千鳥足になっていた。


香川「あっ、タクシー!」


つい先日提携社からうちの会社へ転属してきた香川君は

私の為にタクシーを拾ってくれて、私を優しくタクシーに乗り込ませ、

「じゃあお願いします」

と言ってその場を離れようとした。


でも、私はタクシーに乗った瞬間眠ってしまったのだ。

お酒が入り気分が悪くなった後は必ず眠くなってしまう私。

よほど体力を使い、疲れてしまうからだろうか。


そして香川君の「ちっ、しょうがねぇなぁ」

と言う声をまた聞いて、私は本格的に眠り、

香川君も一緒にタクシーに乗ってくれ、

そのまま私のマンションまで直帰してくれた。


マンションに着いた頃には私も少し目覚め…


美野里「有難う…もう大丈夫…」


と香川君に何度もお礼を言って、その場で別れた。

こうして無事に着いたのも彼のお陰。

私はその夜、香川君にもう1度感謝しながら眠りについた。


良い友達を持ったものだ。


ト書き〈ストーカー〉


でもそれから数日後。

また私はストーカーに悩まされ始めていた。


1度は諦めたのか。

マンション周りに余り現れなくなっていた奴なのに、

今日、2階の窓からまた外を見てみると

そいつの影がちらほら視界に入り、

やはり私の部屋をじっと睨みつけるように歩きまわってる。


普通ならそんな事で怯えないのだが

なぜこれほど怯えているかと言えば、

私は1度そいつに人目から離れた所で

襲われかけた事があったから。


でも人目を隠れているから

余りその事を何度も言っても人は信じず、

うやむやにされる形で結局事件は解決しない。


そんな形で日常を送っていたから

私は「またあいつに襲われる!?」とビクビクしており、

あいつを自力でなんとか駆除できないものか…

そればかりを考えていた。


ト書き〈相談〉


そして後日。

私はついにそのストーカーの事について

香川君に相談していた。


あの一件以来、私は少し彼を信用し、

「こう言う時こそ助けてくれる人かも?」

と勝手に思っていたのだ。


香川「で、警察には行ったのか?」


美野里「うん、ずっと前に1度だけ。でも何もしてくれないわ」


香川「そうか。…まぁ警察は事件が起きてから動くもんだからなぁ。でもそんな事になってるんだったら毎日不安だろう?」


美野里「うん…」


それから彼は親身になって私の悩みを聞いてくれていた。


香川「せっかく皆で一緒に楽しくドライブに行こうなんて言ってる時に、そういう奴が居るとホント邪魔だよなぁ」


美野里「ホントよぉ…」


それから私達は軽くお酒を飲み、少しして別れた。

香川君は最後まで、私についたストーカーの事を、

「邪魔な奴だ…」

と言っていた。


ト書き〈マンション周りをうろつくストーカー〉


それからだった。


毎日のように同じ男が

私の住んでるこのマンションの周りをうろつくようになり、

別に何をするでもないがただ私の行動を見張っているかのようで、

「また隙をついて私を襲ってくるかも…?」

この恐怖だけを突きつけてくる。


でもそいつが、前に私を襲ったストーカーかどうか分からない。

遠目からしか見てないからその容姿を確認できず、

ただ私は逃げ回るだけの毎日。


美野里「こんなんだったら、また警察入れる事を考えないと…」


何にもしてくれない警察だが、こんな不安と恐怖の筵にあれば、

ついその事を本気で考える。

まぁ当たり前の事なんだろうが、

私はそれでも警察を余り信用していなかった。


(そのストーカーを遠くから見ながら)


岡田「なるほどあいつか。…美野里ちゃんのマンション周りをいつもうろついているストーカーの男。…やっぱ邪魔だなぁ、あいつ…」


ト書き〈数日後〉


私がストーカーに襲われたのはこれが2度目。

前のストーカーはいつしか姿を消して、

もう私の前に現れないようになっていた。


と、思っていたその矢先だ。

また私のもとに別のストーカーが現れて、

こんな事ばかりに悩まされ続ける毎日。


美野里「なんで私の人生ってこうなのよ!ストーカーと一緒に生涯を終える人生なの!?冗談じゃないわ!」


そう思ってしまうのも無理は無い。


でもそれから更に数日後。

1人でマンションに居た時。


今日は会社が休みだったのもあり

私はゆっくり日頃の自分の生活の事を考えたりしていた。


この先どうしたら良いか?

どうすれば幸せな将来がやってくるのか?


そんな事をずっと考えていた時。

ふと、或る疑問に打ち当たった。


香川君の事。


あの飲み会の日まで彼とは1度も遊んだ事がなく、

お互いの家を行き来する仲じゃなかった。


美野里「あの人、なんで私の家を知ってたの…?」


タクシーに乗ってすぐに眠った私は

運転手にも自分の家の住所を伝えておらず、

まさかそんな形でタクシーに乗るなんて考えてなかったから

香川君にも当然言ってなかった。


美野里「まさか…」


私はすぐ香川君の携帯に連絡を入れてみた。

すると…ピリリリ…と、途中で切れたが、

かすかな着信音が私の部屋のクローゼットの中から聞こえた。


それを聞いた瞬間、私は恐怖に襲われ、すぐに部屋を飛び出した。


(クローゼットから出てくる香川)


香川「…チッ、しょうがねぇなぁ。勘づきやがったかw…まぁいいや。あとはもうあの会社には行かないようにして、計画通り家を引っ越して、別の土地で生活を始めりゃイイんだからなw」


香川「ふぅ。その前に、頂くものは頂いとこうかwあいつの下着から写真でもあれば、夜のお供にできるからなw」


(玄関に行く香川)


香川「へっ、このマンションはオートロック式wでも2階程度の部屋なら、その気になりゃロープ使って簡単に入れるんだよなwチェーンまでかけて俺を閉じ込めたってかwへへ、その閉じ込められた部屋で俺は俺で自由に行動させて貰い、盗(と)るモン取って、そのままとんずらさせて貰うぜw」


(リビングへ戻ってくる香川)


香川「えーと、ダンスはここか♪おぉ、あるあるwムッチムチしたあいつがいつも身に付けている下着だぁwたまんねぇなw他に写真とかねぇかな?」


香川「ん?あ、こっちは別のクローゼットか。どれどれ、こん中にアルバムでもねぇかなぁw」


(別のクローゼットの扉を開けた香川)


香川「ん、なんだこれ…?…う、うわあぁ!!こ、これ、し…死体…!?」


香川「はっ、さっきの玄関のドア…なんでチェーンなんてかかってたんだ…オートロック式だろ…?」


美野里「…死ね香川あ!!」


香川「ぐはあ!!」


美野里「ふぅ。アンタも今までのストーカーと同じねぇ。私の部屋に入ってきて、ここで同じように殺されるなんて…」(うす笑みを浮かべて)



エンディング〜


結局、これまでのストーカーと同じように香川を殺した美野里。

そう、美野里の正体は殺人鬼でした。


自分にとって邪魔に思える人間はわざと部屋に誘い込み、

その場で隙をつき、被害者ともなるストーカーを

少なくとも2人、殺していました。


まぁ色仕掛けでも使ったんでしょう。

もともと美野里の魅力にやられていたストーカーですから

色仕掛けで迫られたらあとは早かったでしょう。


香川も実はストーカー気質を秘めた男で、

前から美野里の事を気に入っていました。

まぁ形は違えど、同じ場所で同じように美野里に殺されてしまった香川。


自業自得とは言え、この世を去って行こうとするそのさなか、

さぞ驚いた事でしょうねぇ。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=LP-X7vA-Y78&t=276s

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ストーカーと殺人鬼 天川裕司 @tenkawayuji

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