2-15.後始末
決闘騒ぎの数日後、私とセーナは学院に呼び出されていた。
一通りの厳重注意と、
今までの功績に免じて今回は見逃すというありがたいお言葉を頂いた。
私は休学扱いになっていたらしく、復学を認められる事になった。
幸い普段の勉強量のお陰で勉学の遅れ等も無いことから、留年も免れたらしい。
まあ、こっちはどうせ家での勉強が倍増するんだけど・・・
というか、どうせこき使われるだけなのに、偉そうに復学を認められるなんて言われてもな~
元々学院にも殆ど通って無かったんだし別に復学しなくても良いんじゃない~
なんて口にできるわけもなく、粛々と受け入れた。
そんな事したら今度こそ父様に見限られるわ!
訓練場も結構ボロボロになってた気がするけど良いんだろうか・・・
まあ、余計な事は言わんとこ。
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帰り際にレオン王子に頭を下げられた。
私が引きこもった最初の一週間の間にレオン王子含む全ての攻略対象は
本気になったセーナにあっさり陥落されたらしい。
セーナ様まじすか・・・
一応レオン王子だけは、セーナに好意を寄せるまでにはいたらなかったが、
私を置き去りにしていく時も止めようとしない程度にはセーナの事を信じていたようだ。
これがNTRってやつですか!?
婚約解消の方は、私の悪評と引き籠もりが問題だったそうだ。
流石に勇者の功績を奪って祭り上げられたという話に、本人も否定しに出てこないとなると庇いようが無かった。
これがまだ数週間程度ならともかく、数ヶ月も引きこもっていたのでは仕方ない。
まあ、私も特に思うところは無いので、今後はお友達でお願いしますという事で落ち着いた。
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セーナの爆弾発言は今のところ放置中だ。
今の私に受け止めて考えるだけの気力はない。
いずれは真剣に向き合わなければならないだろう。
あれからセーナは積極的になった。
身の危険を感じる時もあるので、もう少し手加減して欲しい。
レオン王子達、攻略対象組の育成状況は一応順調なようだ。
ただ、何人かは私とセーナの戦いに怖気付いてもうダメかも知れない・・・
魔王の攻撃なんてあれより遥かに強い筈なんだけどな~
セーナは全員陥落させつつ、誰とも懇意にはならない絶妙なバランスでチームを維持していた。
全員に信頼させ、依存させ、好きに操りつつも誰にも刺されないってどうなってるんだろう。
なんだったら攻略対象同士の仲までめっちゃ良いし。
ゲームでそんなに和気あいあいしてましたっけ?もう少し競いあってませんでした?
ほんと魔性の女ですね~
いっそ逆ハールート行けるんじゃない?興味ない?そうですか。
この先どうしようか。
セーナは私から離れるつもりは毛頭ないだろうし、
私がセーナの逆ハーチームに加わるの?嫌だよ?
かといって、セーナを引き抜いてしまえば魔王討伐までに仕上がらないだろう。
いっそ二人で倒す?
魔法少女の杖さえ入手できるなら、いけなくはないんだよな~
でも場所わからないしな~
この問題は一旦保留しよう。
ちょっといい案が浮かばない。
セーナと戦っていて気付いたことがあった。
魔力増幅の指輪はゲームと仕様が別物だった。
ゲームでは魔力量を増やすだけの効果だったが、
この世界では消費する魔力より大きな効果を得られるようになるというものだった。
こっちのほうが名前通りの効果になっているようだ。
どおりで指輪を付けてもなにも感じないわけだ。
魔法を使うときにしか効果は発揮されない。
考えてみれば当然かも知れない。
付けてる限り魔力が一定数増えるって、増幅というより電池みたいなものだ。
まあ、この違いが実戦にどう影響するのかはよくわからないのだけど。
魔力増幅の指輪を手に入れている事をうっかりセーナに話してしまい問い詰められた。
「ごめん。大蛇倒しちゃった・・・」
「リベンジしたかったのに!リリィのバカ!」
やっぱりセーナは負けず嫌いだな~
結果的にセーナのおかげで?
魔王討伐までかなり余裕が出来た。
当初は数ヶ月で仕上げなければならなかったのが、まだ二年近くある。
これだけは不幸中の幸いだったかもしれない。
もう二度とごめんだけど。
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