2-10.新学期
夏季休暇が明け、新学期が始まってもセーナとの間に壁を感じていた。
話しかければ普通に答えてくれるし、いつも一緒にいるのは変わらない。
なのに会話は極端に少なくなっていた。
私がなにかしてしまったのだろうか。
そう聞いてもセーナは答えてくれない。
何もありませんよと相変わらず変な笑顔を浮かべるだけだ。
それでも多忙な日々は変わりなく過ぎていき、
忙しさのお陰で私も気が紛れるなと思考を鈍らせていった。
そんなある時、再び学院に呼び出された。
話を聞くと今後はレオン王子を始め、数人の生徒を連れて討伐に行くようにとのことだった。
そういえば、普通の生徒にもそろそろ魔物討伐の義務が生じるころだった。
数人の生徒とは攻略対象達の事だろう。
このあたりはゲームの時と殆ど同じなんだなと呑気に考える。
一応レオン王子だけ、先に仲間になってチュートリアル戦があったはずだから微妙に変わってるけど。
その時、セーナが発した言葉に衝撃を受け思考が止まる。
「ならば、リリィ・アランシアとのチームを解消してください。」
セーナは今度は私にむかって続ける。
「今のお嬢様では足手まといです。
ただでさえ王子達の面倒も見なければならないのです。
それに、メンバーが増えるのならお得意の飛行魔法で飛んでいくこともありません。
あなたは必要ないのです。」
「なに・・言ってるの?」
あまりにもあんまりな言葉に私の口は上手く動かない。
「ご不満ですか?
ならば今から模擬戦をしますか?
私に一撃でも有効打を与えられれば連れて行くと約束しましょう」
なにも言えない私を放ってセーナはその場を立ち去った。
その日からセーナは屋敷に帰らなくなった。
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あの日、いつの間にか帰宅していた私は一週間程塞ぎ込んでいた。
どうやって帰ったのか記憶がない。
まさかセーナに突き放されるとは思ったことも無かった。
様子のおかしいセーナにもっと気を使うべきだったのに・・・
そんな事をぐるぐる考えている内に、もう一度話をしようと思い。
なんとか学院に向かった。
学院で聞いて回ったところ、セーナは次の討伐指示で移動するところだと聞き
慌てて馬車乗り場に駆けていく。
私が駆けつけると王子達を引き連れたセーナが待ち構えていた。
「やっと復活したのね。思ったより長かったじゃない。待ちくたびれちゃったわ」
セーナは制服姿だった。
「セーナ!家にも帰らないでどうしたの?
その格好は?メイド服脱いじゃったの?」
「リリィが制服を着てくれって頼んだのよ?忘れたの?」
本当にメイド辞めちゃったの?
なんでそんな馬鹿にするような言い方をするの?
私そこまで酷いことをしたの?
言いたいことは沢山あるのに言葉が出てこない。
「まただんまりなのね。用も無いようだしもう行くわ」
そのまま私を置き去りにして、セーナ達は去っていった。
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