第2話
ハロルドがとぼとぼと歩いていると、自分の家が見えてきた。
客をもてなすキッチンもない、ありふれた赤い塗料で塗られたちいさな家だったが、ハロルドが以前に研究で成果を成して王さまからもらった報償金をすべてなげうってもまだ5年のローンが残っているそんな家だ。
だが、いつもとはちがって、煙突から白い煙がもくもくとたっている。
おかしい。この時間には自分を含めて誰もいない。
しかも、あの煙のつよさ。このままでは、家中灰だらけになるどころか、下手すれば家が燃えてしまう。
まさか、最近問題になったいる放火強盗犯だろうか。
ハロルドは身構え、箱を左手に持った。
強盗犯に立ち向かう運動能力はないが、気絶させるくらいの術なら自分は持っている。
ハロルドは静かに石段の上を通って、雨水ですこしだけ茶色く錆び始めたドアノブを右に回してドアを開けた。
「おかえり!」
「うわぁっ!!」ハロルドはおどろいたひょうしに木箱をおとした。
箱の中に入っていた研究書はじめのページがちょうつがいが壊れていたのか、ひらりと空中をまう。
「あっ!!」
ひらりとまうページをハロルドが手にとる前に、エミリーが手にとり彼にわたす。
「挨拶くらいしてよー」
そういってわたされた書類は手にすすがついていたのか、なぜが少し黒ずんでいた。
「ただいま。今日は早かったね。」
ハロルドがそういうと、
「うん!!今シチュー作ってるからあとでいっしょに食べよう!!」
とエミリーは言った。
キッチンの方をみてみると鍋が不半身を炎でやけどしており、ひ めいを上げるかのように黒い煙が上へ上へとよがっていた。
「いただきま〜す。」
「いただきます」
二人は手を合わせて、パンとレタスのサラダ、そして、なでからフライ返しで強引に引きは がして皿にもりつけたシチューを食べはじめた。
始めは顔がひきつっていたハロルドだったが、シチューとエミリーがいっているそれの味はそこにあるこげをうまく取り除けばそこまでは悪くないと言った感じであった。
シチューをフォークで刺しながらハロルドはエミリーに聞いた。
「今日はいつもより早いね。いつもだったら7時半くらいになって帰ってくるのに。」とハロルドが聞くと、
「うん、実は今日騎士の仕事を首になったんだ。」エミリーはサラダを食べながらそう言った。
「うそだろ」
「いや、本当だよ。朝いつも通り王宮の裏からはいったら、ロッカールームに大きく紙に張り出されてたんだけど、そこに解雇者の欄にエミリー·マクドレアって名前が書かれてたし、私のロッカーの中に解雇通知が、入ってしたよ。」
といい、エミリーは豊満な体によって内側から押し潰された胸ポケットから八枚おりにされた黄色い書類を取り出した。
それは、ハロルドと同じ書体で書かれていてたがそこにははっきりと「成果不振による契約満了」という言葉がかかれていた。
「私、がんばって街の見回りだったり、街に現れた魔物を退治してたんだけどさ、最近上手くいってなかったの。」
「そうだったんだ。」
「特に魔物退治はさ、半年くらい前までは一瞬で倒せてたけど、最近は他の騎士と同じくらいかかってたからさ、クビになっちゃったのかなぁて思ってる。」
「へぇ、君の特技が?」
「うん。」
エミリーはくびを下に振った。
普通魔物は魔力を細胞にまとっているため、 魔力を持たない者であれば、普通の動物より二倍ほど攻撃をしないと倒せないのだが、エミリーは特別で剣を一振りするだけで敵を倒せるのだった。
「ともかく私も年だったのかな?。 同期はかなり前から婚約だったり、クビになったりしてて、未だに働いてたのの私とフレアだけ だっただし。仕方ないんだよ。」
エミリーはコップの冷たい水を飲んで、ため息をはいた。
「そういえばさ、ハロルドはなんで今日帰ってくるの早かったの?」
エミリーが聞いた。
「あ、え、実はその・・・・」
ハロルドは紙を箱から取り出してエミリーに見せた。
「実は僕もクビになりました。」
「嘘!?なんで?」
「王宮がいうには僕の実験にお金が出せないだってさ」
ハロルドがいうと、
「そんなことはないって!!! ハロルドの魔物の研究、私あんまりしららないけどおもしろいと思ってたよ」
「そういってくれるのはありがたいけど、王宮は僕のこといらないっていってたし、何より真の軍神といえるマックもクビだったからさ。」
ハロルドのいるキルハイド王国は5年前、隣国のメダルモ国と戦い、勝利した。
兵150万人対240万人という大きく不利な戦いに勝てたのは天才軍人アルカドの指揮もあるが、一番の活躍はなによりマックによる銃のライフリング構造の発明であり、それによる遠隔攻撃や敵将への狙撃がなけれは戦には勝利できなかった。
そんな英雄 ともいえる人さえ首になったのだ。
「それでも!!」エミリーは話を続けようとしたが、
「それでも、だめだった。僕も抗議しようと思った けど、荷物は研究室の外に置かれて閉め出されていたし、それに、王宮の守り人が目のまえで立ってて、今にも攻撃だった。」
「そんなぁ。」エミリーは悲しそうにハロルドを見つめ たが、ハロルドはだまっているしかなかった。
そこから数時間がたって太陽が山の頂に足をふれはじめた頃、ハロルドはエミリーに話しかけてみようと、自分のへやから出た。
エミリーはソファーの上で寝ていて、ハロルドがみつけていたときはあまりにも気持ちよさそうに眠っていたので、ハロルドは声をかけたらいいのかどうか30分くらいまよったあと、エミリーにはなしかけた。
「おはよう、エミリー。」
ハロルドがエミリーの背中をゆっくりさすって、話しかけると、
「う〜、おはようハロルドー。」ともうすこしだけ寝たそうなエミリーに、
「晩ごはん、シャベルでたべない?」と話しかけた。
シャベルはハロルドが住む街のなかで一番活気のあふれた大衆居酒屋で、肉、酒、肉。の三拍子がそろった美味しいお店だ。
「いいけど、どうして?」目をこすりながらエミリーが聞く。
「いりいろと気持ちを整えたかったんだけど、いろいろと心残りがあってね。
おいしいごはんとお酒でその気持ちをなんとかわすれようかなとおもったんだ。」
「それに・・・僕たち忙しすぎて、この前一緒にご飯食べに行ったの結婚するまえだったからちょうどいいかなって?」とハロルドが照れくさそうに言うと
「やるじゃん!!」といって、エミリーはハロルドの体に軽くタックルをした。
「よし、いこー!」
とノリノリではりきる、エミリーに、笑いながら、
「お酒の飲み過ぎには注意してね。」と言ってハロルドは微笑んだ。
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