1270 少し空気が悪くなったので

 崇秀との行為の最中、上手くいかなかったのでお口でしてあげた事を奈緒さんに伝えたら、どうにも変な雰囲気に。

そこで眞子は「元の自分の事」を奈緒さんが気に成ってるのではないかと思い。


***


「あぁ、はい。凄く幸せでしたよ。それって崇秀さんが、本格的に私の事を向井眞子だと認めてくれてる証拠ですからね。これ程、幸せな事は有りませんよ」

「あぁ……えぇっと、ごめん眞子」

「えっ?」

「私、まだ眞子の事を、そんな風に見てたみたいだね。……ごめん」

「あぁ、そんなの当たり前なんですよ。奈緒ネェは大切な私の元恋人なんですから。そんな風に成るとは、奈緒ネェとしては思いたくないのも頷けますよ。だから、なに1つとして謝る必要なんてないんですよ」

「そっか。……でも、ごめんね、眞子」


もぉ、可愛いなぁ奈緒ネェは。

そんなの、今更、なにも気にしなくても良いのに。

まずにして私自身も、自分が、こんな風に成るとは思ってもみませんでしたからね。

本人も解ってないのに、私じゃない奈緒ネェに解る筈が有りませんよ。


……けど、私のせいで雰囲気が悪くなっちゃったから、話題を変えよ。



「あぁそうだ、そうだ。そう言えば、奈緒ネェ。折角、お部屋で寛いでる時なのに、その格好って疲れませんか?」

「えっ?なに急に?」

「あぁ、いえ。折角、お泊りして貰ってるんだから、楽な格好をして貰った方が良いかなって、思っただけなんですけど。どうですかね?」

「それって、気ぃ遣ってる?」

「えへへ……バレましたか」


ヤッパ、これだけ話を急展開させたら、気付かれちゃうね。


見え透いてワザとらしいし。


まぁ真剣にやった所で、どうせ見抜かれるのがオチだろうけどね。


相手が奈緒ネェだし。



「そっか。じゃあ、早速で悪いけど、Tシャツか、なんか貸してくれる?」

「Tシャツはダメです。薄着だと、この時期は風邪を引いちゃいますから、Tシャツはダメです」

「えっ?ダメなの?じゃあ、トレーナーとか、ジャージとかは?」

「ダメです。そんなの、奈緒ネェには似合いません。可愛くありません」

「えぇ?じゃあ、どうしろって言うのよ?下着で寝ろって事?」

「いいえ。これを、どうぞです。これ、ウチでの奈緒ネェ専用のパジャマですから」


そう言ってから、箪笥から新品のパジャマを取り出して、お渡ししました。


ふふっ……寝る時は、ちゃんとした格好で寝ないとダメですよ。



「えっ?ちょっと眞子、なんで、こんなものが有るのよ?」

「えへへ……実はですね。崇秀さんに、この部屋を宛がって貰った時に、直ぐに買いに行ったんですよ。いずれ奈緒ネェが、必ず、此処に、お泊まりしに来てくれると思ってましたので」

「あらら、また可愛い事をしてくれるわね」

「えへへ……奈緒ネェの真似です」

「私の真似?私、そんな事したっけ?」


これ自体は、ちょっと奈緒ネェにして貰った事とは違うんですけどね。


サプライズ的な意味では、いつも、やって貰ってましたね。



「あぁ、はい。して貰いましたよ」

「いつの事?」

「あの、本当に憶えてないんですかね?去年のX`masの事なんですけど」

「去年のX`mas?……あぁ、あの料理を作って、クラを待ってた日の事?」

「そうです、そうです。あの時、すっごく驚いた上に、感動したんで。そう言う、思いも拠らないサプライズって言うのも、男女に関わらず必要なのかなって思いまして。前以て、お小遣いで買って置きました」

「なるほどねぇ。それで真似って事なんだ」

「そうなんですよ。それに、これって、奈緒ネェの話も踏まえても、実績の有る話なんですよ」


此処は崇秀さんのパジャマの件ね。


あれって、結構、崇秀さんに喜んで貰えたから『意外と良い感じだな』って思いましてね。

崇秀さんと同じぐらい好きな奈緒ネェにも、同じ事をしてみた訳なんですよ。


好きな人には平等かつ、公平なんですよ。



「実績って、なに?なんの実績?」

「いや、あのですね。実は、奈緒ネェ同様に、崇秀さんにも、以前パジャマをプレゼントした事が有るですよ。そしたら、意外と喜んで貰えたんで、奈緒ネェにも同じプレゼントをしようかなぁと思いまして」

「あぁ、もぉ……ホント、可愛いね、アンタって。けど、すっごく嬉しいよ」

「本当ですか?良かったぁ。こんな物でも喜んで貰えた」

「効果抜群だったよ」


ヤッタね!!


奈緒ネェに喜んで貰った上に。

これで、さっきの話も、何処かに上手く吹き飛んでくれたみたいだね。


お陰で、雰囲気も悪くないしね。


『プレゼント作戦』大成功ですね♪



「……けど、不満が1つ」

「えっ?なんの不満ですか?柄が気に入りませんか?」

「そうじゃなくてね。それならそうと、風呂に入らせて貰った時に渡して欲しかったなぁって話」

「えぇ、でも、あの時はですね。まさか奈緒ネェが、お泊まりしてくれるなんて思ってもみませんでしたからね。無理ですよ。今日は、絶対に帰ると思ってましたから」

「そうなの?でも、なんで?」

「えぇ~~~っ!!だって、そりゃあ、真琴ちゃんが一緒だったし……ヤッパリ帰っちゃうのかなぁって思うのが、順当なラインじゃないですか?」


帰るのに、此処の家用のパジャマ渡したって、意味なくないですか?


それじゃあ家で使って貰うしかなくなるし、完全に『お泊り用』の意味が無いじゃないですか。



「あぁ、そうかぁ。そう言われてみれば、そうだね。クラの事、スッカリ忘れてた」


あれ?そうなんですか?

2人で、もっとイチャイチャした時間を満喫したかったんじゃないんですか?


私はテッキリそうだと思っていたのですが、どうやら此処は違うみたいですね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


眞子の正体を知ってるだけに、どうしても奈緒さんはそういう思考に成っちゃいますよね。

ですが此処については、眞子自身も自覚している処なので、上手く話を誤魔化す事に成功しましたぁ♪


しかも、ちゃんとお互いが納得した形に成ったので、良かった良かったです。


さてさて、そんな中。

どうやら奈緒さんは崇秀の家に来た時点で、泊まる事を前提にしていたみたいな意見を言い出したのですが。

では何故、恋人である倉津君が一緒なのに、この様な奇妙な思考に成っているのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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