1268 可愛い物のカテ違い

 眞子の部屋が可愛い物だらけな事に驚く奈緒さん。

どうやら眞子は、倉津君の時から「可愛い物が好き」だったらしいのだが。

そこを追及して行く内に、奈緒さんは「可愛いのカテ違い」だと気付き……


***


「どういう事ですか?」

「どうもこうもないわよ。クラの好きな可愛いモノって言うのは、基本的に美少女系フィギュア系なんじゃないの?別にぬいぐるみとかが好きな訳じゃないんでしょ」

「あぁ、そうですね。確かに、当時もぬいぐるみとかが欲しいとは思いませんでしたね」


まぁ、そうは言っても。

当時もUFOキャッチャーとかの美少女ぬいぐるみは取ってましたがね。



「でしょ。結局、可愛い物が好きだと言っても、あの子が好きなのは、何処まで行っても可愛い女の子のフィギュア。それに対して眞子は、本格的に女子が好きそうな可愛い物。だったらこの時点で、可愛いのカテが違うのよ」


そっか。

確かに、そうですね。


当時の私は、密かに可愛いフィギュア収集してましたけど、ぬいぐるみとかを買おうとは一度も思いませんでしたしね。

それに、小物類を可愛いと思っても、自分に需要がなかったから、買わなかったって言う結論にも至ってましたしね。


なるほど、なるほど。

そう言われてみれば、確かにカテ違いですね。



「あぁ、本当ですね」

「でしょ。……あぁ、因みになんだけど眞子」

「あぁ、はい、なんですか?」

「アンタ、今現在、フィギュアとかに興味ある?」

「全然ないですね。微塵も欲しいとは思いませんね」


そう言えば、それも、そうですね。

眞子に成ってからと言うもの、一気にフィギュアに対して興味もなくなったし、世間で話題に成っていても、全くと言って良い程、興味がそそらないので、1つたりとも買ってませんね。



「ほらね。男女の違いって、そう言うもんなのよ」

「ですね。言われるまで気付きませんでしたが、今は全然興味が無いですね。……けど、なんで、なんですかね?あんなに好きだったのに」

「なんで?って、そこは簡単でしょ」

「えっ?そうなんですか?そんなに簡単な話なんですか?」

「そうだよ。簡単だよ」


う~~~ん?ひょっとして、あれかなぁ?



「あの、それって、女の子で生活してる間に、完全に女子思考に成っちゃってたって事ですかね?」

「そう言う事。女の子が、女の子を求める事自体が、基本的にはナンセンスな話だからね。それに……」

「それに?」

「それに眞子は強烈なナルシストでしょ。だから、そう言うモノが可愛いと思えなくなってるのよ。自分が一番可愛いと思ってる証拠だとも言えるかもね」


えぇ~~~っ!!そりゃあないですよぉ!!

幾らなんでも、フィギュアを集めなくなった理由が、ナルシストだったなんて嫌だなぁ。


しかも『強烈』とか言われてるし……


せめて『ちょっと』って言って下さいよぉ。



「そんな事ないですよぉ。ちゃんと、そう言うのも可愛いと思ってますよ」

「ふ~~~ん。じゃあ、最近アニメ見てる?」


あれ?そう言われたら、これも観てませんね。


アニメ処か、漫画も読んでないや。


あれあれ?おかしいなぁ。

あんなに好きだったのに、最近はファッション誌ばっかり読んでる気がする。


あれれ?



「えぇっと……観てないですね。全くと言って良い程、観てないです」

「ほらね」

「あの、でも、その、えぇっと……ナルシストはヤですよぉ」


最悪だよぉ。



「あぁ良いの、良いの。そこは問題なし」

「なんでですか?ナルちゃんは嫌ですよぉ。ナルちゃんじゃないです」

「そんなに嫌なんだ。じゃあ、考え方を変えてみたら」

「どういう風にですか?」

「『仲居間さん色に染まってきた』って言う方向に転換してみれば。そうすれば、ナルシストも、自分磨きをしてるって方向に見れるんじゃない」


あっ……本当だ。


こう言うのって崇秀さんの影響が大きいもんね。

特に崇秀さんは、情報収集以外では、深夜アニメとかも観ない人だもんね。


それに私も、大事な用事でもない限り、美容の為にも深夜に起きてる事が少なくなった。


なら、なんとなく、納得な理由ですね。



「あぁ、そう言う考え方かぁ。良いかもですね」

「でしょ。……けど、ちょっと君は、此処数ヶ月で変わり過ぎてるかもね」

「うぅ……確かに、そうですね。私、崇秀さんの事バッカリ意識して生きてますもんね」

「うん、そうなんだよねぇ。眞子、ちょっと仲居間さんに依存しすぎてない?」


そうなのかなぁ?

常に意識をしてるのは認めますけど、依存まではしてないと思うんですけどねぇ。


真琴ちゃんにも、そんな事を言われましたけど、私って、そんなに依存して見えますかね?



「そうですかねぇ?これでも、自然な感じで振舞ってるつもりなんですけどね」

「それで自然なんだ」

「あぁ、はい。でも、崇秀さんと一緒に居る時間が楽し過ぎるのも否めない話ですね。これって、依存してますかね?」

「あぁ、そこは、そうじゃないよ。好きな人と一緒に居て楽しくない訳がないからね」

「ですよね」

「でもね。アンタの場合は、仲居間さんの言う事なら、なんでも影響を受けちゃいそうなのよ。そこが、ちょっと気に成っただけの話なんだけどね」


うぅ……確かに、なんでも聞いちゃいますね。


だって、求められたら嬉しいんですもん。


抵抗なんて出来ませんよ。



「ですね。私、崇秀さんに求められたら、直ぐに喜んじゃいますからね。ちょっとでも役に立てると思ったらテンション上がっちゃいますし……」

「まぁ、仲居間さんが、あれだけ理解してくれてたら、そう言う気持ちに成っちゃうのも解らなくもないよ。でも、ちょっとぐらいだったら我儘言っても良いんじゃないの」


あれ?そこは、いっぱい我儘ばっかり言ってますよ。

寧ろ、比率的に言えば、私の方が圧倒的に我儘を言ってる量が多いですよ。



「あぁ、我儘は、いつも一杯言ってますよ。それに、その我儘を全部叶えてくれてます。だからこそ、求められると余計に断れないんですよ」

「そっかぁ。それなりに我儘は言ってるんだ」

「そうですね」

「それに、相手が仲居間さんだから、なんでも簡単に願いを叶えちゃうよね」


そうなんですよ。

どんな無理難題であっても、崇秀さんは眉1つ動かさず、当たり前の様に私の願いを叶えてくれるんですよ。


だから、恩返ししたいって気持ちが、人より倍増しちゃうんですよね。

その上で『捨てられたら、どうしよう?』なんて意思が働いちゃうもんだから、余計に依存してる様に見えるのかも知れませんね。


本当は、そんな事もないんですけどね。



「ですね。だから実際は、依存してるんじゃなくて、等価交換以上に私を大切にしてくれてるんですよ。なら、そんな人の役に立ちたいと思うのは、極自然な流れだと思いますよ」

「ふ~~~ん。仲居間さんって、思った以上にマメなんだね」

「もぉ、マメ処の騒ぎじゃないですよ。なにをするにも、前以て準備してくれてるし。私の望む事も、前以て察知してくれます。なにもかもが完璧過ぎるんですよ」


そこが良いんですけどね。

崇秀さんと一緒に居るだけで、毎日が充実してて、サプライズ満載ですからね。


楽し過ぎて死んじゃいそうです。


でもですね。

1日でも逢えないと、この方が簡単に死んじゃいますけどね。



「辛くないの?」

「はい。私は厚かましいですから、それは断言して辛くはないですよ。それ処か、もぉ幸せ過ぎて、毎日死んでしまいそうですから。ウスバカゲロウみたいな人生ですね」

「そっかぁ。辛くないんだったら良いけど。仲居間さんが、毎日そんな調子だと大変だよね」

「あぁ、はい。それについては、大変と言うより、後ろめたいですね」

「後ろめたい?」

「あぁ、はい。毎日の様に、あれだけの幸せを貰ってるのに。なにもお返し出来ていない自分には、正直、心底後ろめたいですね」

「そっか。なら、私は、少し勘違いしてたみたいだね。眞子が、もっと仲居間さんに酷使されてるのかと思ってた」


そんな訳ないじゃないですか。


あれ程、優しい人はいませんよ。

敢えて言うなら、奈緒ネェぐらいのもんですよ。


こんな、なにを仕出かすか解らないお馬鹿ちゃんな私を、目一杯可愛がってくれるんですから、酷使なんて言葉は何所にも無いですよ。



「あぁ、そこは勘違いしても、しょうがないですよ。崇秀さんの与えてくれる幸せは、傍から見ると解りにくいものですし。基本が、命令口調に聞こえなくもないですからね」

「だね。でも、それだけに、にくいなぁ仲居間さんは」

「ですね。あの人は、そう言う人ですからね」


自慢の彼氏です。

そして、目一杯惚気られる彼氏です。


だから、聞いて下さい。

もっと、いっぱい自慢と惚気話がしたいです。



「羨ましい事で……じゃあ眞子。それだけ幸せにして貰ってるなら、もぉアッチの方は済ましたの?自分の全てを、仲居間さんに預けちゃった?」


うぅ……話が急に、嫌な方向に変わっちゃったよ。


なので、あまり、そこは……深く追求しないで下さい。

馬鹿みたいに惚気ようとしていた直後の私にとっては、天国から、地獄の落とされた気分ですよ。


なんて言ったって昨日、私の体に問題が有って、成就しなかった所ですからね。


……しくしく。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


一重に『可愛い物好き』と言っても、色んなカテゴリーがありますからね。

なので、全ての可愛い物を混同する訳にもいかない訳ですよ。


まぁ早い話、眞子はそれらの物を全て混同してしまい、勘違いしてただけだったんですね(笑)


……っで、眞子が美少女キャラクターに興味を失ってしまった理由についても。

本編でも奈緒さんが語った様に『眞子自身が可愛いものだから、それらの物が可愛く見えなくなってしまった』

若しくは『それを可愛いと思う暇があったら、自分磨きをした方が有効』って思ってしまっている感じでしょうか。


ですので、再び眞子にアニメ系に興味を持たそうとするなら、コスプレイヤーにするしかないかも知れませんね(笑)


さてさて、そんな中。

漸く、そんな可愛い系の話にケリがついたのですが、次なる話題は「アッチ方面の話」


昨晩、上手くいかなかっただけに、眞子は、これ等の話をどういう風に語るつもりなのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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