1256 意外な脱出方法
ホランドさんによる地獄の反省会から脱出を試みる倉津君、奈緒さん、眞子。
そして、その作戦の立案者である眞子は、一体、どの様な方法で脱出をするつもりなのか?(笑)
***
……っとか思ったんだが。
結論的に打開策が見付からなかった俺と奈緒さんは、眞子の言葉に従って、これ以上は何も言わず、素直に控え室に戻って行く。
そんで控え室に戻ると、早くもトッちゃん坊や主催の反省会が始まっていた。
この時点で既に【GREED-LUMP】のメンバーは、みんな目が死んでるんだが。
これじゃあ確かに、こうなって当然だ。
だってよぉ。
トッちゃん坊やの反省会は、宣告通り、事細かにホワイトボード一杯に反省点が書き込まれており。
見ているだけで、学校の授業を思い出して気分が悪く成るレベルだ。
その上、口調が、学校の先公にソックリで、ただの面倒臭い説教なんだもんよ。
こりゃあ、誰だって嫌気が刺すってもんだよ。
***
……そんで学校の先公モドキの説教が続く中。
5分程して、眞子が、漸く帰って来るんだがな……
「遅くなって、すみません」
「眞子、どこに行っていたんだ?なにか用事でも有ったのか?」
「あぁ、お手洗いですよ」
「スッ、スマン。女性に野暮な事を聞いたな」
「あぁ、別に良いですよ。ホランドさんの、それには慣れてますから」
「重ね重ね、すまん」
……っと言った風に、簡単な質疑応答をするだけで、今現状では、なにか変わった様子はなく。
そのまま何事もなかった様に平然とした顔をして席に着き、先公モドキの話を真面目に聞いている。
なにかを仕込んだ後の筈なのに、見事なまでのポーカフェイスなんだが、なんじゃこりゃあ?
脱出は?
***
……んで。
更に5分程経った頃に、俺の携帯電話の着唄が控え室内に響き渡った。
その瞬間、此処に居る全員の視線が、俺に向って集まってくる。
まぁ当然、そうなるには、それ相応の、ちゃんとした理由が有ってだな。
俺の普段の着唄は、奈緒さんのFIRST-SINGLE『Serious stress』なんだが、何故か、特別に設定してある『魔王』が、設定した憶えの無い様な『大音量』で流れちまったんだよな。
こんなオペラっぽい曲が、突然、此処で流れる事自体が変だし、無駄な大音量だった為に、みんなの視線を集めちまった訳だぁな。
あぁ因みにな。
明らかにこの大音量は、さっきの眞子が折れの携帯を弄った時の仕業だろうな。
俺は基本、マナーモードだからな。
そんで序に言えば、電話の相手は言わずと知れた……崇秀だな。
奴以外で『魔王』の曲がピッタリ合う奴は、この世に存在しないからな。
アイツ専用の曲と言っても過言じゃない。
「うわっ!!吃驚した、なんだこりゃあ?」
……ってな訳で。
取り敢えずは驚いてみせたのだが、ワザとらしくなかったか?
上手く『驚き』を表現出来てるか?
「ふぅ……君、反省会中は、携帯の電源を切るか、マナーモードにするのが礼儀だぞ」
「あぁ、すんません。……あぁけど、出て良いッスかね?どうも、緊急みたいなんッスけど」
「ひょっとして、仲居間さん?」
正解ッスな。
……ってか。
曲名で解るって事は、アイツの認識って、誰であっても『魔王』って認識なんだな。
( ´,_ゝ`)プッ!!
「仲居間さんか。はぁ、なら仕方が無い。……まぁ良いだろう。君の話は、もぅ少し後だからな」
「いや、ホントすんません」
なんか上手く事が運んでるみたいだな。
この調子で行けば、万事上手く行きそうな雰囲気だな。
(↑後で聞いたんだが、先公モドキは、崇秀を尊敬してるので、この対応をしたらしい)
まぁ、そんな訳で、電話に出る訳だが、奴の一声目が……
「はい、俺だけど」
『おぉ、倉津。オマエ、俺に、なんか用か?眞子が電話しろって言ってたから、電話したんだが。なんの用だ?』
……ってな。
ったく!!眞子の野郎だきゃあ、最悪だよ。
此処に来て、俺に全投げしやがったよ。
これじゃあ、此処からは全てが俺の腕次第で、脱出出来るか?出来無いか?の瀬戸際に立たされてるって事じゃねぇかよ!!
オマエなぁ、こんな時に人選誤ってんじゃねぇぞ!!
こう言う大切な役回りは、俺じゃなくて、奈緒さんにしろ奈緒さんに!!
……って、文句を言っててもしゃあねぇか。
取り敢えずは、このままって訳にもいかねぇだろうし、崇秀に話を合わせてみっか。
「あぁそうか、そうか。それは大変だな」
『はぁ?オイオイ、突然、なに言ってんだオマエ?訳わかんねぇぞ』
「あぁ、そうなんか。そりゃあ、困ったなぁ」
『いや、そりゃあ、困るけどよぉ。どう考えても、困ってるのは、オマエの脳味噌の方だぞ』
「あぁ、だったら、どうしたもんかなぁ」
『いや、突然『んな事を、どうしたもんか?』って聞かれてもなぁ。どれだけ悩んでも、オマエの頭は、元から、どうにもなんねぇじゃねぇのか?』
「あぁ、そうかぁ、じゃあ、せめて奈緒さんと、眞子を連れて行った方が良いか?」
『いや、向井さんと、眞子を病院に一緒に連れて行っても、オマエの頭はどうにも成らんぞ。もぉ既に手遅れだ』
「あぁ、あぁ、わかった。じゃあ、取り敢えず、相談してみるわ」
『誰にぃ?』
「OKOK」
『なにが?』
「おぉ、じゃあ後で、結果が解ったら、もぅ一回電話するわ」
『なんのだよ?』
「おぉ、おぉ、じゃあなぁ」
『はぁ?』
くっそぉ~!!あの糞ッタレのアホンダラァ!!
訳が解ってないクセに……好き勝手言いやがって。
しかも、話が微妙に噛み合ってるから、余計にムカつくわ!!
けど、計画を進行する為にも、此処は我慢だな。
我慢の子だ。
「……まいったなぁ」
「うん?真琴ちゃん、どうかしたの?」
なるほど。
こうやって崇秀との電話の終了後、漸く、眞子のフォローが入る訳か。
なら、早期に話を合わせて、たすけちくり。
「あぁ、ちょっとな」
「うん?……あぁ、ひょっとして、崇秀さんから電話って事は、あの件の事?」
「そうなんだよ。あれだよあれ」
「じゃあクラ、仲居間さんから、直接電話があったって事は、なにか問題が生じたって事なの?」
「そうなんッスよ。しかも、結構な量で、問題山積みッスね」
奈緒さん上手いなぁ。
俺と崇秀の電話の内容だけで、あんなに神妙な顔が出来るもんなんだな。
スゲェな、この人。
「そっかぁ。問題山積みかぁ。折角、企画したのに、このままじゃ、お流れになっちゃうかもね」
「ねぇねぇ、鞍馬。さっきから、なんの話をしてるの?」
あっ、エリアスの姉ちゃんが、此処で眞子に話し掛けて来たな。
「あぁ、すみません。反省会中にする話じゃないですよね。だから気にしないで下さい」
「でも、鞍馬。このままじゃあ、問題が有るんでしょ。行かなくて良いの?」
「あぁ、はい。行きたいのは山々なんですけど。折角、参加させて貰ってる反省会を置いて行くのは良くないです。それに、そうなったら、奈緒ネェも、真琴ちゃんも連れて行かなきゃ成らなくなりますから。だから後で、私が、なんとかして置きますよ」
感心する位、上手いなぁ。
まるで、本当に企画があるみたいな言い様じゃねぇかよ。
どこを、どうやったら、そんなに嘘がベラベラと出て来るんだ?
しかも、断り難い言葉を上手く混ぜやがって……コイツだけは、ホントなんて奴だよ。
それにしても、あれだな。
そんな眞子の話に付き合って心配してくれるなんで、エリアスの姉ちゃんは、スゲェ優しい人なんだな。
好感触やわぁ。
「姫ちゃん行きな。反省会なんぞ、いつでも出来るんだからよ」
「あぁ……でも」
「そうだよ。今行かないと後悔するんじゃないの」
「そうですけど……折角、参加させて貰ってるのに……」
「良いから行きなよ。反省会は、後日すれば良いんだからさ。奈緒も、その子も連れて行きなよ」
「本当に……良いんですか?」
「あぁ、行きなさい。我々も、仲居間さんには散々世話に成ってる身だ。それを無視する様な無粋な真似は出来無いからな。早く2人を連れて行きなさい。それに眞子には、また手伝って貰う事も有るだろうからな。此処は1つ貸しにして置くよ」
「あの……すみません。ありがとうございます。今週は、どうしてもダメですが、いつか必ず、また、お手伝いさせて貰います」
「うん。だったら、もぉ良いから、早く行きなさい」
「あぁ、はい!!本当に、ありがとうございます。お言葉に甘えさせて貰います。……奈緒ネェ、真琴ちゃん、行かせて貰お」
「うん、そうだね。行くよクラ」
「あぁ……はいッス」
「あぁ、倉津君……君も、また手伝ってくれるね」
「あぁ、はい、勿論ッスよ。喜んで」
俺が、そう言った後。
慌てたフリをしたまま、3人で外に出て行くんだがな……
……スゲェなぁ眞子。
人間って、あんな真顔で嘘を付けるもんなんだな。
眞子って、マジでおっかねぇな。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
眞子の考えた一回しか使えない地獄からの脱出方法とは『崇秀を利用する事』でしたね。
まぁ、これをやられたら流石のホランドさんも、普段から崇秀にお世話に成ってるだけに納得せざるを得ないですよね(笑)
特に崇秀の場合、普段から打ち出す企画には「数億円」掛かっててもおかしくはないだけに、下手に干渉のしようもないですしね。
なので、ある意味、見事な作戦だと言えると思います。
そして同時に、人としては、どうかとは思いますが……
さてさて、そんな中。
なんとかホランドさんの説教部屋から脱出に成功した3人なのですが。
この後は、どうするつもりなんでしょうね?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます