1255 地獄から脱出する為の下準備

 ホランドさんの反省会に参加したくない倉津君、奈緒さん、眞子。

そこで倉津君と奈緒さんで色々回避方法を出し合うが、どれも過去の経験上どうにも上手くいかない。


そんな中、黙っていた眞子に「なんかないのか?」っと聞いたら、アッサリと「あるよ」と答えられ……


***


「あっ、あんのかよ!!」

「うん。ご要望と有らば有るねぇ」

「本当に有るの、眞子?」

「あぁ、はい、有りますよ。但し、この手は一回しか使えませんけど。それでも良ければ今やりますよ」


……流石に一回限定の方法だったか。


まぁけど、あれだよな。

俺は別に【Nao with GREED-LUMP】のメンバーな訳じゃねぇから、どっちでも良いが、奈緒さんにとってはそうはいかない。

っと成ると此処は、自動的に奈緒さんが、どう判断するかが重要だよな。


なんて言ったって、一回限定だもんなぁ。


悩むだろうな。



「あぁ、そうなの?じゃあ、今やっちゃおう。決定決定」


ブッ!!悩むと思ったら即答ですか?

流石、即断即決女王の奈緒さんですな。


あまりにも潔が良過ぎですぜ。


けど……口ではそう言ってるものの、奈緒さん、それで本当に良いんッスか?


矢張り此処は、気を遣ってくれてるかもしれないので、一度キッチリと確認して置いた方が良いかもな。



「あの、奈緒さん。一回しか使えない手口なのに、今使っちゃっても良いんッスか?」

「そんなの良いに決まってるじゃない。なんで、そんな事を聞くのよ?」

「いや、なんで?って……一回しか使えないんッスから『此処一番の時』に使った方が良いんじゃないかと思いましてね」

「あぁ、そう言う事ね。じゃあ、今が『此処一番の時』なんじゃないの」


どこがッスか?


いやまぁ、聞くからに地獄の様なトッチャン坊やの反省会と言う名の説教から逃れたい気持ちは解からなくもないんですが。

どうにも今が此処一番の時とは思えないんだがなぁ。



「そうなんッスか?」

「そうだよ」

「どこがッスか?」

「うん。解んないかなぁ?」


解りませんなぁ。



「あぁ、すんません。一回しか使えない手を、わざわざ今、使う理由が解らないッスね」

「なんで?簡単じゃない。私が、クラと、眞子との時間を味わいたいからに決まってるでしょ。他の日なら、ホランドに付き合うのも悪くないからね」


またぁ……何を言うかと思えば。

また、そう言う嬉しい事をスラッと言ってくれるでしょ。


オィちゃん、その奈緒さんの言葉に感動しちゃいましたよ。



「……奈緒さん」

「うん?なに?」

「あの、そんな奈緒さんが大好きッスね。もぉ超大好きッスね」

「あぁ、そうなんだ。じゃあ、嬉しさのあまり『ちゅ~』とかしてみ」

「あぁ、ウッス。喜んで」


『チュ』


ホント、奈緒さんのこう言う所は素敵ですな。

いや、こう言う所じゃなくても全部素敵だからこそ、思わず彼女の言葉に従ってキスしてしまったわ。


そして、相も変わらず、奈緒さんの唇は極上ですな。


いやはやいやはや。



「あの、帰って良いですか?」

「ゲッ!!眞子が居たんだった!!……つぅか、オマエ、奈緒さんとの甘い時間を邪魔すんなよ!!」

「オマエ、一回殴ったろか?」


殴らんで宜しい。

そう言った暴力は反対だ。

大体にして殴って良いのは、イケメンに限定されてるからな。


故にだ。

俺は、そこのカテゴリーに分類されてないから、殴っちゃあいけないよ。


その代わりと言っちゃなんだが、後で『俺の代わりに、カジでも思いっ切り殴っとけ』


その権利をくれてやるから、それで今回の件は我慢しろ。



「暴力反対。暴力は良くない」

「あぁッそ。じゃあ、相手にするのが面倒臭いから放置ね。真琴ちゃんだけ放置プレイね」


構ってくれ。

ボケたのに放置するのは良くない。

最低限、それ相応のツッコミをしてくれ。


もし、してくれたら、後で『山中を一生無視する権利』をくれてやるから、俺は相手しろ。



「チッ……悪かったよ」

「謝っちゃうんだ。じゃあ、良いや」


軽ッ!!

折角、心の中で、この後のボケを色々と考えてたのに、その一言で全部潰しちゃう訳な。


これはまた見事なボケ殺しだな。


……ってか、んな事、いつまでもやっててもしょうがねぇか。


眞子の話を真面目に聞こ。



「……っで、結局、その一回しか使えねぇ手って、どうやんだ?」

「秘密。教えてあげない。あぁ、でも、真琴ちゃんの携帯、ちょっと貸して」

「なんでぇ?なにをする気だよ?」

「良いから、良いから。御代は見ての、お楽しみってね」

「なんだそりゃあ?」


……っとか、文句を言いながらも、眞子に携帯を手渡すと。

眞子は手馴れた感じで、俺の携帯のなにかを設定し、その後、直ぐ俺に返してきた。


うん?



「はい。これで準備完了。後は、奈緒ネェと、先に控え室に戻ってて」

「ちょっと待て、眞子。オマエなにをした?」

「もぉ良いからさぁ。面倒臭い事を言ってないで、奈緒ネェと先に戻ってて。これ以上ゴチャゴチャ言ったら、もぉやらないよ」


うわっ、脅して来やがったよ。


まぁでも、これ以上、此処で問答してても仕方ねぇから、眞子の指示通り、戻るとするか。

ただ最後に、一点だけ気に成る事があるから、それだけは聞いて置こう。



「わぁったよ……けど、なぁ眞子、オマエは、どうすんだ?」

「人の話を聞いてる?……良いから戻れつぅの」


教えて貰えんかった。



「わぁったよ。戻りぁ良いんだろ戻りぁ」

「そぉそぉ、素直に戻りなさい」


だから、戻るのは良いけどよぉ。

なんか納得出来ねぇままだし、非常に嫌な予感して成らねぇなぁ。


今の状態で俺は……本当にコイツの事を信用して大丈夫なのか?


このまま眞子の言葉に従ったら、俺にロクデモナイ事が起こる様な気がするんだが……気のせいか?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


下準備をすると言ったものの、結局の所、眞子の言う脱出方法は不確定のままなのですが。

倉津君の携帯を弄ったと言う事は、今回の脱出のキーマンは『彼である』事だけは間違いないみたいですね。


しかしまぁ、倉津君の携帯を弄っただけで、何故、あのホランドさんが納得してしまう様な理由に成るのか?


そんな謎を残しながら次回は、その解明部分を書いて行きたいと思いますので。

良かったら皆さんも、それを予測しながら、また遊びに来て下さいねぇ~~~♪

(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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