1254 見えて来ない地獄からの脱出する道筋

 ホランドさんの長時間(最長8時間)にも及ぶ反省会を耳にした倉津君。

これは付き合い切れんと判断したのか、再び逃亡を図ろうとするのだが……奈緒さんが。


***


「あぁ、ズルイ。私だけ地獄に置いて、自分は逃げる気?信じられない」


地獄とか言われてるし。


まぁ、最低3時間以上説教なんざ、誰が受けても間違いなく地獄だろうけどな。

なので、まさに此処が『地獄の一丁目へ行くか?行かないか?』の分水嶺でもある訳ですな。



「いや、まぁ、そう言うつもりは毛頭ないんッスけど。一応、俺、受験生ッスから。それにッスね。今の学力じゃ、勉強しないと、かなりマズイんッスよね」

「あぁ、そうだよね。私も、そう言えば受験生だった。じゃあ、私も帰りますね」


うわっ!!

眞子の奴、自分は余裕が有るクセに、奈緒さんをアッサリ裏切ってまで、俺に便乗しやがった。


そんな事したら怒られるぞ。


けど……逆に言えば、そこまで嫌なもんなんだな。



「酷~~~い。眞子まで、私を1人、地獄に置いて行っちゃうの?2人共、冷たいんだぁ」


あっ……此処は予想に反して、怒らずに凹んだ。


っで、そんな奈緒さんの反応を見た眞子はと言うと……



「あぁ、嘘ですよ嘘。ヤッパリ、私は残りますね。奈緒ネェ1人を、あの地獄には残して行けませんよ」

「ホント、眞子は残ってくれるの?」

「あぁ、はい……物凄く嫌ですけど」

「眞子は優しいね。何処かの誰かさんと違って」

「まぁ……不本意なんですけどね。奈緒ネェの為なら仕方が有りませんよ」

「ふふっ、眞子好き♪」


ってな態度を取りやがる訳だ。


って!!オイ!!汚ねぇなオマエ!!

今度は俺を悪役に仕立てて、また裏切りやがったよ!!


前世が趙雲子龍のクセに、コロコロと簡単に人を裏切るんじゃねぇよ!!


そんな優秀な奴に裏切られたらなぁ。

武力しかない許楮軍は、アッサリ全滅してしまうわ!!


なんて言ってる場合じゃねぇな。

此処は1つ、俺も眞子に便乗しねぇと立場がねぇ。



「あぁっと……」

「あぁ良いよ、良いよ。真琴ちゃんは、そんな無理しなくても良いよ」


うん……あのなぁ眞子よ。


仕舞には、マジで泣かすぞオマエ。

そう言う嫌な言い方されたら『残る』って言い難くなるだろうがぁ!!


ヤメイ!!



「あぁ、いや、ヤッパ、俺も残るわ。受験なんかより、大切な奈緒さんや、大切な姉弟である眞子を、そんな地獄には置いて行けないからな」

「ふふっ。さっきまで帰ろうとしてたクセに、上手い事言うね」


う~~~わっ!!コイツだけはマジで信じられねぇ。

一回裏切るだけに留まらず、遠回しに俺を批判までしてきやがったよ。


つぅか!!オマエも、さっき、同じ様なニュアンスの事を言ったじゃねぇかよ!!



「……オマエなぁ」

「でも、奈緒ネェさぁ。真琴ちゃんが、そんな風に言ってくれたから嬉しそうだね」

「そうね。嬉しいわね。そうやって2人が残ってくれたから、尚更、嬉しいかな」

「奈緒ネェも上手い事言いますね」

「でしょ」


なるほど。

あぁ言う時は、下手に反論しちゃダメなんだな。

下手に反論しようとするから、からかわれて山中(オチ要員)みたいな目に遭うんだな。


よし!!此処は完璧に学習したぞ。


……ってか、こんな事位、前から知ってるんだがな。

つい、反論しようとしてしまうのが、俺の悪いクセなんだよなぁ。



「けど、あれだよね。本当に2人共受験生だから、あんまり遅くまでは良くないよね。……クラ、眞子、なんか良い手はない?」


心配し始めちゃいましたか。

それとも、本気で帰りたいんですか?


恐らくは両方なんでしょうが、後者の方にやや強い意思を感じますね。



「あぁ、だったら、こう言うのはどうッスか?」

「どう言うの?」

「端的にッスな。反省会を終わらせちまうってのは、どうッスかね?」

「あぁ、アイディアは悪くないけどね。ホランドが、それで納得する筈ないね。絶対に粗を探してくるから」


面倒臭ッ!!

ってか、マジで面倒臭いなあのトッチャン坊や!!

反省会で粗捜しまでするなんざ、超が付く程の無駄な時間じゃねぇかよ。


馬鹿なんじゃねぇのか?



「あぁ、だったらッスね。最終日に纏めてやるって言うのは、どうッスか?」

「あぁ、それも無理だね。ホランド自身が、反省会は毎日やるものだと言う認識を持ってるからね。反省点を忘れない様に、練習日でさえ、毎回反省会をするんだから、そう言う纏めてやるって概念が無いのよ」


マジで面倒臭ッ!!


あのトッチャン坊やだけは、ドンだけ拘りが有るんだよ?

もうちょっとだけでも、お気楽な気持ちに成れないもんなのか?


融通が利かないにも程があるぞ!!



「面倒臭い奴ッスね」

「うん。でも、しょうがないよ。それがホランドだから。それに、それをやるからこそ、あのレベルをキープ出来るんだと思うしね」

「はぁ……じゃあ、打つ手無しッスか?」

「う~~~ん。そうだねぇ。そんな風に正攻法で責めたんじゃ、打つ手は無しだね」


最悪だな。



「そうッスか。……つぅか、眞子」

「うん?なによ?」

「さっきから黙ってるけどよぉ。なんかねぇのか?」

「うん?あるよ」


そうか……

矢張り、オマエを持ってしても、あのトッちゃん坊やの撃破は難し……い……うん?


・・・・・・


なにぃ~~~!!そんな方法があんのかよ!!

あまりにもアッサリと「ある」って言いやがったから、一瞬、無いのかと思っちまったよ。


……で、どうやんだ、それ?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


再確認の為に、正攻法を語った倉津君でしたが。

矢張り、正攻法ではホランドさんの牙城を崩す事は難しいようですね(笑)


まぁ、元々ホランドさんはこだわりが強い人ですし、なにより根が真面目なだけに、こう言った正攻法では、簡単に聞き入れて貰えないでしょうしね。


……っでまぁ、此処で眞子がなにやら「そんな正攻法じゃない攻略方法がある」みたいな事を仄めかしているのですが。

一体、どうやって、この場を脱出しようとしているのでしょうか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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