1250 崇秀を倒す方法(笑)

 会話が進む中。

奈緒グリのメンバーは、自身達の弱点を克服する為に、崇秀に興味を持ってる事に気付く倉津君。


そして最後には『そんな弱点のない崇秀を倒す事が出来るのか?』っと言う疑問を、ホランドさんから投げ掛けられるのだが……


***


「あぁ、ありゃあ、もうどうにもなんねぇッスよ。あんな規格外の化物を、まともに相手しようって方が、どうかしてるんじゃねぇッスかね?全体的な話で、アイツの倒し方は、この世には存在しねぇし。ゲームみたいに攻略本もねぇッスよ。ある意味、諦めも肝心ッス」

「なっ!!では君は、やる前から、潔く負けを認めると言う事か?」

「いや、そうじゃねぇッスよ。今、言ったのは、言葉通り『全体的』な話ッスからね。けど、得意分野に磨きをかけて、一点突破なら勝てなくもねぇって話ッスから」


いやな。


さっき眞子と廊下で話してて思ったんだけどな。

なにもアイツを相手にして、全体的に勝つ必要性なんてないんだよな。


……って言うか。

あんなナンデモカンデモ、直ぐに自分の糧にしちまう化物と、まともに遣り合って勝とうと思う方が、どうかしてる。


なら、どうすりゃ良いか?って考えた時にな。

自分の得意分野で、アイツを羨ましがらせさえすれば、それは『ある意味、勝ちなんじゃねぇかなぁ』って安易な結論に至った訳なんだよな。


どうしても勝ちたいって執念があるなら、こう言うやり方も、ありだと思える。


勿論、この場合は音楽でだぞ。


まぁ、少々セコイ考え方ではあるんだが。

これを積み重ねた方が非常に効率が高いし、嫌な事をしていない以上、自分に掛かってくる負担も思いっ切り少ない。


故にまずは、これを目標にすれば良いと思うんだがな。


この提案で、どうッスかね?



「そいつは良い意見だな。俺ちゃんも、ほぼアンちゃんの意見には賛成だな」

「解ってくれるか?」

「あぁ、解るぜ。なんせ俺ちゃんは、アンちゃんと一緒で、自分の嫌な事は極力避けたい性分だからな。アンちゃんの意見には激しく賛同する」


おぉ……俺同様の単純馬鹿が、こんな所にも居る。


けど、それだけにな。

そう言ういい加減な方法ってのも有りだと思うんだがな。


インテリ兄ちゃんはダメッスかね?



「ふむ。確かに、意見としては悪くない。だが、それでは結果的には、永遠に欠点が補えないままなんじゃないか?」

「ひゃはは……なにを言うかと思ったら、そいつは違うぜ、旦那」

「なにが違うって言うんだ、デク?」

「欠点なんざ、誰かの真似をして補えば良いんだよ。全部が全部、自分で考える必要性なんて、どこにもねぇんだよな。パクりゃあ良いんだよ、パクりゃあ」

「あぁ、そうか。しかしだな。逆に言えば、誰かの、それが見つかるまでは、欠点を放置すると言う事に成るんだが、そこは大丈夫なのか?」

「いや、大丈夫も糞も、放置なんてしねぇよ。確実に、欠点を直す方法が有るからな」


おぉ……そんなに確実な手法を手に入れてると言う事は。

アンタ、お馬鹿ちゃんだと侮っていたが、実は、意外にも頭に良い系なのか?


……っで、どうやんだ、それ?



「確実な方法?どうやるって言うんだ?」

「わかんねぇかなぁ?答えは殆ど、その椅子に座ってるアンちゃんが、前以て説明してるんだがな」


俺?


俺、なんか言ったか?



「うん?」

「オイオイ、意外と頭の回転が悪いなぁ旦那。自分の欠点はな。そのパーフェクト超人の仲居間ちゃんから、全て学べば良いんだよ。そうすりゃあ簡単に、欠点なんぞ補えるんじゃねぇの」

「はぁ?倒すべき人間から、学べと言うのか?」

「はぁ?って、なんよ?……なにを驚いてるんだ?倒すべき相手だからこそ、それなりに学ぶべき技術を持ってるんじゃねぇのか?そっから学んで何が悪い?」


まぁそうだな。


俺は、崇秀に対して、そう言う見方をした事が1度もなかったから、これは意外な盲点だったな。


けど、そう言われれば、そうだよな。

確かにアイツは、ある程度の答えを、全身に持ち合わせてる様な気がしないでもないな。


現実的に俺も、無意識の内に「崇秀なら、どうする?」って考えた事が数回あるし、その思考に救われた事もある。


なるほどなぁ。

意外と答えが近くに有るもんだな。

(↑実は、初めてのライブでそれをやって成功してるのをスッカリ忘れてた俺(笑))



「かも知れんが。自ら解決していない以上、プライドも何も有ったものじゃないな」


今度は自尊心か。


これも確かに、逃れ難いものだな。


ツンツン頭のアンちゃん、此処は、どう解決する気だ?



「ハァ?自尊心なんて糞っ喰らえだな。そんな糞重たい物をぶら下げて悩み続けるなんざ、俺ちゃんは御免被りたいもんだ」

「しかしだな、デク」

「あのなぁ、旦那。俺ちゃんはな。自分の好きな事以外で苦労するのが嫌いなんよ。だから、簡単に手に入る『良い例』が目の前にあるなら、どんな物だって吸収する。手軽で、早いに越した事はないからな」

「まぁ、そうだが」

「つぅかな、旦那。『プライドを持って悩む続ける』のと『簡単に解決する』のと、普通に考えて、どっちが良いんよ?そんな単純な話じゃね」

「……そうか。まぁそうだな」

「けどデク。仲居間さんが答えを持って無い場合は、どうするんだい?」


俺も、それは思った。


幾らアイツが完全無欠のパーフェクト超人だからと言っても、全ての質問に答えれる訳じゃない。


なら、どうする?って話なんだよな。



「あぁ、それなぁ。それは、基本的にないな」

「ない?無いだって?……仲居間さんは、全ての答えを持っていると言うのかい?」

「まさかな。幾ら仲居間ちゃんとは言えども解らない事はある。けど、解らなくても、答えを導き出させる方法はあるぜ」

「導き出させる?それ、どうやるんだい?」

「なぁにな。仲居間ちゃんに、その問題を定義すりゃあ良いんだよ。そうすりゃ勝手に、仲居間ちゃんが答えを導き出してくれんよ」


あぁ、なるほどなぁ、そう言う理屈か。

このツンツン頭のアンちゃんの考えてる事が、俺には完全に見えたぞ。


間違ってなかったらだがな。



「ちょっと待ってデク。それじゃあ、仲居間さんにオンブに抱っこじゃない。それに、明確に答えてくれるもんなの?」

「いや、急に口を挟んで悪いが、それなら大丈夫なんじゃねぇッスかね」

「えっ?」

「ほぉ、ソッチのアンちゃんは、どうやら、一早く解ったらしいな」


いや、解ったつぅかな。


それってよぉ。

崇秀の性格が解ってれば、誰だって、簡単に引き出せる答えなんじゃねぇか?



「まぁなぁ」

「えっ?それって、どう言う事なの?」


あっ……必死になってるこの子って、可愛いッスな。

あまりの必至な表情に、チンコがピクッて動いたッスよ。


関係ないッスね。


しかも、不謹慎でしたな。


すんません。



「いや、まぁ、これも単純な話なんッスけどね。崇秀の馬鹿は、人から相談をされると、まずは、なにを差し置いてでも、直ぐに、それを解決しようとする傾向があるんッスよ。だから、奴に相談する事は、いち早く、解答を導き出す方法の1つで間違いないッスよ」

「そうかも知れないけど。仲居間さんが、そこまでする理由は?」

「あぁ、それも簡単じゃないッスか。仮にアイツが相談された事の答えが解らなかった場合、アイツは、それを調べる事が楽しくて仕方が無い。なんせアイツは、自分の知らない事があるのが大嫌いな人間ッスからね。故に、その知らない事を教えてくれた人間には、感謝の念を持って誠心誠意で接する。アイツの中で、こう言う利害関係が一致してるんッスよ」

「そういうこったな」


だな。



「だとしてもだ。そんな直ぐに、答えが見つかるものなのか?」

「まぁ、相談した物にも拠りますけど。大半の事なら、直ぐに解答を導き出すでしょうね。アイツは、そう言う生き物ッスから」

「何故、そんな真似が出来るんだ?」

「いや、まぁ、俺は、崇秀じゃないッスからハッキリとは言えませんが。アイツは、足元を固めながら、先を見据えた地道なパイオニアな奴なんッスよ。此処解るッスか?」

「あぁ、確かに、そこはそうだな」

「そうッスよね。……って事はッスな。要するに、あの馬鹿は、全てに置いて、ある程度の知識を有しているって話が=関係になるんッスよ。っで、その持ってる知識に、その相談された事の知識を軽く上乗せするだけで、直ぐに解答が導き出せる。そう言う原理だと思いますよ」


多分、そんな感じッスな。

いや、アイツの行動パターンから言って、これで間違い無い筈ッスよ。


まぁ、早い話ッスな。

アイツは、果てしない知識マニアのイカレタ野郎なんッスよ。



「そう言う理論か。なるほど、それは常人では勝てない筈だな」

「だしょ。だからッスね。全体で勝つ事が難しい故に、さっき俺が言った、一点突破が必要になるって訳なんッスよ」

「なるほど。そう言う理屈だったんだな。しかしだな。そう簡単に、過去に得た知識を引き出せるものなのか?相当、興味がないと、知識は忘れ去る可能性すらあるぞ」


まぁ……普通は、そう思うわな。


けどな。

それに対しても、アイツの異常性を明確する答えが有ったりするんだよな。



「あぁ、そりゃあねぇッスわ。アイツは、1度でも過去に憶えた事は、なに1つ忘れないッスよ」

「はぁ?そんな馬鹿な。それは人間業じゃないぞ」


それ以前に人間じゃないッスな。


アイツは間違いなく人外の生き物ッスよ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


倉津君の考える、崇秀を倒す方法とは……『奴を羨ましがらせる事』や『感心させる事』だったみたいですね(笑)


結局の所、崇秀が羨ましがると言う事は、その知識は自分にはなかったもの、っと言う判断に成りますし。

感心させられる、っと言う事は、その知識自体は自分も所有はしているが、相手が自身の力で、そこまで能力を切り開いたと言う事にもなりますので、ある意味、倉津君の中では勝ってると言う事に成るのかもしれませんね。


まぁまぁ、この思考自体は、去年の文化祭で『奈緒さんが言った事』に非常に似てはいるのですが。

彼女はあの時『なんでも勝てればいい』っと言う思考でしたので、少し似て非なるものだったりします。


さてさて、そんな中。

話題は、その勝たなければいけない崇秀の膨大な知識の話に成って行ってる様なのですが。


此処を倉津君は、どう答えるつもりなのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾



……それにして倉津君、意外と反省会を上手くこなしてますね(笑)

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