1251 崇秀が人外と呼ばれる所以

 ディックさんの意見により『弱点克服には、崇秀に相談する事が一番手っ取り早い』っと言う話に成ったのだが。

それを聞いたホランドさんが『何故、そんな風に出来るのか?』っと疑問を持ったみたいなので。


『それは崇秀が、過去に得た知識を1つたりとも忘れない人外の化け物』だからっと答える倉津君。


***


「いや、ところがッスね。アイツにだけはそれが可能なんッスよ」

「はぁ?ちょっと待ってくれ!!一体どうやって、そんな真似が?」

「あぁっとッスね。アイツって生き物はッスね。自分で憶えた事を、一旦、脳味噌の中で全てを暗号化した上で、カテゴリー別に分類してるんッスよ。だから仮に、何かを忘れた事があっても、その暗号を切欠にして全てを思い出す。そう言う奴なんッスよ」

「そんな馬鹿な……人類の歴史上、そんな馬鹿げた人間は聞いた事が無いぞ」


いや……それだからこそ、アイツが世間から人外の生き物って呼ばれてる所以って話なんッスよ。


大体にして、あのアホを人類と認めちゃいけませんぜ。



「いや、まぁ、そうなんッスけどね。それでもアイツが、そうやってる以上、事実は事実だと思うッスけど」

「……なんて人だ。あの人は、どこまで貪欲に出来てるんだ?」

「まぁ、果てしなく貪欲な奴ッスな」


その内、あれじゃないッスかね。

余計な事に手を出して、魔法とか使える様に成るんじゃないッスかね?


元々が漫画みたいな奴ッスから。

それ故に、元祖『時の魔術師』でもあるッスしね。



「まぁ、そんな訳だからさぁ、旦那。自分のツマンネェ悩みに、いつまでもグジグジ言ってる時間は微塵もねぇって話に繋がんだよな。そんな奴を敵に回してるんだから、プライドなんか持って、まともにやりあうって方が、元々無謀な意見なんだよ」

「ウグッ」


それはマジで正解だと思うわ。


下手な自尊心を持ってたんじゃあ、一生アイツには勝てない処か、寧ろ、勝機すら見えない。

俺も、それを、今、自分で口で話してて実感してた所ッスから。



「それに旦那。仲居間ちゃんは、他人の技能に興味を持ったら、直ぐに自分のモノにしたがる様な奴で、その上、異様なまでに飲み込みが早い。しかも、それを自身に取り入れてから昇華させるのも上手い。故に、意識的には敵だろうと、なんだろうと、仲居間ちゃんから奪える物は、遠慮なく、なんでも奪わねぇとドンドン差を広げられる。奴を敵だと認めてる以上、悠長な時間はないぜ」

「グッ!!」

「それになぁ。そうやって仲居間ちゃんも、他人の技術をパクッてんだからさぁ。こんなのお互い様じゃん。俺ちゃんは、そう思うけどな」

「グゥ!!……確かに、仲居間さんは人の技術を直ぐに盗むな。それに、それ程の差が有るなら、悩んでいる時間などないな」

「だろ」


これは完全に折れたな。


今、インテリ兄ちゃんの心がポッキリ折れた音が聞こえた気がする……



「……しかし、デク。何故、そんな意見が自分の中から出たんだ?」


おっ!!俺も、それ思った。


だってよぉ。

中々此処まで、崇秀を上手く利用しようと考える奴は居ないからな。


一番世話になってる俺ですら、もっと安易に考えてた部分もあった訳だしな。



「うん?んなもん決まってるじゃんか」

「なんだ?どういう見解だ?」

「いや、見解も糞も、ただ単に俺ちゃんが楽してぇからだけど」

「「「「ブッ!!」」」」


なんじゃそりゃあ?

なにを言うかと思えば、完全なまでの人任せ思考だったとは!!


……あぁ、けど、そう思う気持ちも解らなくもないなぁ。

アイツって、そう言う意味でも色々と便利な部分が多いもんな。



「なんで噴くんだよ?苦労すんのなんか、誰だって嫌に決まってるじゃんかよ。当然だろ」

「けどデク。それだけで、この思考に行き着いたのかい?」

「まぁなぁ。俺ちゃんは楽する為の苦労は厭わない主義だからな。それぐらいなら考えても、罰は当たらねぇだろ」


うわっ……マジで、なんて他人任せな奴なんだ。

此処まで臆面もなく、自分の本心を言える奴は珍しいよな。


……けど、俺も、このツンツン頭の兄ちゃんとドッコイドッコイの下衆な考え方を持ってるから、なに1つとして人の事を言えた義理じゃねぇんだけどな。


つぅか、この兄ちゃん、思った以上に良い感じじゃねぇかよ。


何故か、変に仲良く成れそうな気がする。


勿論……人に頼ろうとする、ダメ人間同士としてだけどな。



「なんとも言い難い解答だな」

「そうか?俺は、苦労する方向を、旦那みたいに間違っちゃ居ないと思うけどな」

「何故だ?自身で解決する事は、そんなに愚かな事か?」

「いや、そうは言わねぇよ。けどな。悩んだ結果と、人から聞いたものと結果が同じなら、どっちでも良いじゃんかよ。なら、楽して何が悪いって話じゃね?」

「だが、それでは、いずれ己の思考が止まるぞ。そんな事を続けていれば、最後には、仲居間さんに依存するだけの存在になるんじゃないか?」


いや、そこはそうじゃねぇだろ。

この透かしたインテリ兄ちゃん、ちょっとツンツン頭の兄ちゃんの意見を履き違えてやがるみたいだな。


この意見ってのは、恐らく、そう言う意味じゃねぇんだよな。



「ふむ。どうやら、旦那は、まだ解ってないみたいだな。……なぁ、ソッチのアンちゃん。アンちゃんは、このホランドの旦那の意見、どう思うよ?」


おっ、此処でアッシを御指名ですかい?



「俺かぁ?俺は悪いが、思考が止まるとは思えないな」

「だよな。普通は、そう思わねぇよな」

「だな」


俺も、そうは思うけどな。


けど、パターン的に言って、このインテリ兄ちゃんに『何故?』って聞かれる可能性が高そうだな。



「何故だ?他人に思考を依存したら、思考が止まるのは当然だろ。それとも、この案件に関しては、そうじゃない要因でもあるのか?」


ほら、案の定、この質問が来たよ。


まさに予想通りの展開だな。


んじゃまぁ、単純な話ではあるんだが、そこら辺を説明して納得させてみるか。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


ディックさんの人任せな思考が爆発しましたね(笑)


まぁでも、事実、この方法って言うのは非常に合理的ですし。

実際、パクるにしても「自分の弱点をキッチリ把握してなきゃいけないです」し、なにより「パクる際に、それがどう弱点の克服に成るのかを理解していないと使えない方法」なので、意外と頭が悪いと出来ない方法だったりしますからね。


一概にパクると言っても、案外、難しかったりするんですよ(笑)


さてさて、そんな中。

今度は『それをし続ける事による依存問題』を提示された訳なのですが。

なにやら倉津君は、これに対する明確な答えを持っているらしく、最後には「ホランドさんを納得させる」とまで言い切りましたね。


果たしてそれは、如何なる答えなのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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