1247 気付いたら拉致られてました

 眞子の策略に嵌ってしまい、奈緒グリメンバーに音楽で喧嘩を売ってしまった倉津君。


だが、途中で正気に戻り。

まともに相手を出来ないと判断したのか、意識を飛ばし、なんとかアンコールを最後までこなしたのだが……


***


 ……あぁはい、只今ですね。

ライブのアンコールが終了をしましてですな。


会場が熱気覚めやらぬ間に、わたくし倉津真琴はですな。

ライブ終了後【奈緒グリ】メンバーに強制的に楽屋に連行されてですな。


意識が戻って、気付いた時には、既に控え室の椅子に座らされておりました。


(´;ω;`)ブワッ


あぁ……因みにですがね。

今現在の更なる状況を、お伝えするとですな。


奈緒グリのメンバー以外は完全シャットアウトで、怖い顔したメンバーの方々に廻りを囲まれてるのは言うまでもありやせん。


誰か、こんな哀れな俺を、たちけてくれ。


まぁ普段なら『男衆を殴り飛ばして、記憶を失わせた上に逃亡する』なんて、恒例の超絶暴力至上主義的な逃亡方法もある訳なんでございますがね。

【GREED-LUMP】の皆さんは、奈緒さんにとっては、とても大切なバンドのメンバーだから、そんな暴力的な解決方法は使えないんッスよね。


それにッスな。

世界中が注目する様なバンドの人間をシドみたいに殴っちまったら、世間的にも後々面倒だから、大人しくするしか手立てがないんッスわ。


まぁ、それ以前に、この【GREED-LUMP】の皆さんはですな。

日本での凱旋ライブの忙しい合間を縫って、真菜の為に集まってくれた、とても親切な人達な訳でござんすよ。


故に、無条件で、そんな無粋な真似は出来無い。


んで、そんな劣悪な状況の中。

唯一の助け舟である筈の奈緒さんだけが、この場に居ない。


故に、本気の本気で、たちけてくれ……な訳だ。


それとな……こんな時になんなんだが、緊張が解れたのかしてションベン行きてぇんだが、ダメッスな。


そうッスな。


それになにやら、表の扉の前にはSPらしき影が2人も居るみたいだしな。

幾ら俺が腕に自信が有るからと言っても、SP相手に上手く逃げられたもんじゃねぇッスからな。


全部ダメだ、こりゃあ。


万策尽きた……



「えぇっと、倉津君さぁ……」

「いや、あの、ホント、すんません」


早速、今回の一件に関しての謝罪を求めて居るんじゃな。

なら、まずは、相手が四の五の文句を言い出す前に、コチラ側としては誠心誠意を見せて謝罪する事が一番大事。


これが、事を穏便に済ます大人の態度ってもんだからな。


俺、完璧!!



「あぁ、いや。そうじゃなくて……」

「いや、ホント、マジで反省してるッス。勘弁して下さい」

「いや、だから、そうじゃなくて」


大人ガキのアンちゃんは、ライブを無茶苦茶した俺を怒ってらっしゃるんじゃろ。


だからこそ、こうやって大人しく謝ってるんだから、ここは寛大な心で、お馬鹿な俺を許してやっておくれよ。


子供の悪戯と認知しちくり。

此処だけは、大人になっちくり。


まぁ……どう考えても、この程度で許される問題じゃねぇけどな。


早期解決は無理な相談でしたな。


はい……また万策尽きましたぁ。



「まいったなぁ。話を聞いてくれないよ」

「ねぇ、エド。それって、エドの言い方が悪いんじゃないの?」

「そうかなぁ?僕は、普通に話してるつもりなんだけどなぁ?……じゃあ此処は、エリが僕の代わりに彼と話してくれるかい?」

「OKOK」


うぇ……マジですか?


一番温厚そうな美樹さんの彼氏から。

一番怒られそうな姉ちゃんにチェンジっすか?


そんなデリヘル的なチェンジは求めてねぇッスよ。


大体、この姉ちゃんには、ライブ中、散々失礼な事をしたからなぁ。


故に、なにか言葉を発した瞬間!!謝罪じゃあ!!



「えぇっと……」

「すんませんした!!もぉ2度としませんから、勘弁して下さい」

「えぇ~~~っ!!私、まだなにも言ってないんだけど」

「いやいや、お怒りは御尤もです。勿論、謝って済む問題じゃないのも重々承知しておりますが。此処は1つ穏便に済ませて下さいな」

「えぇっと……」

「君、私達は、そう言う事を言ってるんじゃないんだが」


うぇ……今度は、なんか一番苦手っぽいインテリ兄ちゃんが、話に介入してきたよ。

こう言うインテリ系の話し方をする奴って、大概、頭が良いと相場が決まってるから、マジで苦手なんだよな。


……って言う事なんで。


この後にですな。

ウチの崇秀と言う名の高性能弁護士が謝罪に参りますので、俺だけは勘弁してくだせぇ。

(↑俺なりの新しい策。人呼んで『人任せ』)


つぅか、もぉ無理!!GIVE・UP!!


ションベンもしてぇし。

そっちもGIVE・UP寸前だ!!



「いや、ホント。俺みたいな馬鹿でも、皆さんに迷惑を掛けた事ぐらい十分に解ってますから、もぉ勘弁して下さいよぉ」

「あぁ、いや、そうじゃなくてだな」

「ホント、解ってますから。スゲェ反省してますから」

「あのねぇ君。そうやって謝るのも結構だが、いい加減、私の話を聞きなさい」


嫌だぁ~~~。

この後も続くであろう、インテリっぽい先生の説教染みた話なんか微塵も聞きたくねぇよぉ。


どうせ、この後、朝礼の時の校長みたいに、長々とネチネチ説教されるのがオチなんだろ。


そんな事されたら、色んな意味でションベンが漏れちまうよ。


まぁそりゃあなぁ、俺だって心の底から悪いとは思ってるけどさぁ。

こんなもん、過去を振り返った所で、未来は変わらねぇ訳じゃねぇッスか。

今更どうにもならねぇ、終わった事じゃありませんか。


故にですな。

此処は、お互いの為にも、コチラも、今回の件の失態は、ある程度なら賠償しやすから。

オタク等も早くホテルに帰って、明日のライブに向って、もぉ体を休めた方が良いんじゃないッスかね?


特にッスな。

インテリっぽい先生は話が長くなりそうなので、ホテルに、お帰り下さい……


ダメッスな。


そうッスね。



「あぁ、はい、すんません。なんッスかね?謝り足りないッスかね?」

「いや、そういった謝罪は必要ない。だが、少し君と話をしたいのだが」


怒ってないんッスか?


なら、なんかインテリっぽい先生は、直ぐに怒りそうなヒステリックな雰囲気を持ってらっしゃるから、奈緒さんを連れて、俺はもぉ帰って良いッスかね?


ダメっすね。


少し話がしたいと言ってましたね。


はい、すんません。


だったらせめて、長説教をする前にションベン行かせてくれ!!


冷静に話をしてるが、漏らしちゃうぞ。



「話ッスか?謝罪じゃないなら、なんの話ッスかね?」

「いや、聞きたい事は1つだけなんだが。君は、いつ【GREED-LUMP】の弱点に気付いたんだ?」


はい?なんッスか、それ?

そんなもんが、天下の【奈緒グリ】に有るんッスか?


もし仮に有ったとしても、あっしには、なんの事やらサッパリ身に憶えの無い話ですな。


大体にして、なにを言っとるんだ、このインテリあんちゃんは?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


はい、矢張り捕まりましたね。


まぁ、これだけの大舞台で喧嘩を売ったのですから、そりゃあこう成っても当然なのですが。

どうやら奈緒グリのメンバー(奈緒さんを除く)は、その行為に対して怒っているのではなく。


なにやら倉津君に、自分達の弱点を聞きたい様子。


一体、何が起こっているのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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