1246 オラオラオラオラ!!……って、あれ?

 演奏も去る事ながら。

眞子との「変則的なベース交換」っと言うパフォーマンスで、観客を熱狂させる倉津君!!


そして更に……


***


 ベースの交換後、まず最初に俺がやった事……それは?


エリアスとか言うスカタン娘を挑発するが如く。

奴のベースラインをソックリそのまま真似て、曲を演奏し始めてやったんだよ。


いや、これは、俺の意思でしている事だから『完全に挑発している』と言った方が正しい表現なんだろうな。


それ程までに俺は、このスカタン娘の音が気に入らなかったって訳だ。


……つぅ訳でよぉ。


おら?どうしたよ?

これを聞いて、少しでも『口惜しいって気持ちが残ってる』んなら、直ぐにでも掛かって来いよ、このスカタン娘がよぉ。


オマエの演奏じゃあ、奈緒さんを生かしきれてねぇって事を、俺がキッチリ証明してやんよ。



「ちょ!!クラ!!」

「突然、なにをするかと思えば。これって……エリの演奏じゃないか」

「まさか彼も、眞子と同じ事が出来るのか?」

「ほぉ、コイツはスゲェや。『中の下』って言ったのは、俺ちゃんが浅墓だったかな。コイツ……悪くねぇな」

「コイツ……なめた真似を」


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ほぉ。


表情が怒りに一転したと思ったら、俺の音に対して生意気にも対抗してきやがったか。


少しは上手く音を重ねてやがるな。


まぁ、これだけで判断するのは、どうかとは思うが、一応は【GREED-LUMP】の一員を名乗ってるだけの事は有るな。


やりゃあ、そこそこは出来んじゃねぇかよ。


ただ……そんな程度の音じゃ、全然物足りねぇのも事実だな。

まだまだこんなもんじゃあ、お話にもならねぇよ。


それにオマエ。

それだけ弾けるって事は、ヤッパリ、日本の音楽が遅れてるからなんて、いい加減な情報に流されてやがったな。


絶対に、今まで手抜きしてやがったんだろ。


だったら、今までサボってた分、此処でキッチリと返して貰うぜ。


奈緒さんの為に、もっと働きやがれ!!



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「ぐっ!!」


オラ……オラオラ……どうしたよ?もっと激しく弾いてみろや。


確かに、テメェはハードな良い音を出してるがなぁ。

テメェの音には、根本的に力強さが全く足りてねぇんだよ。


音が薄いんだよ。


女で力がねぇならねぇで、眞子みたいに技術面で上手くフォローして見せろや。


その程度の事【GREED-LUMP】の一員なら出来んだろ?


眞子が、この場で演奏してない以上。

オマエが、もっともっと、ちゃんとしたベースラインを作ったれや。


じゃなきゃ俺は、一生、オマエの演奏を認めないぞ。


奈緒さんの為にだけに最高の演出をして見せろ、このスカタン娘よぉ。



俺は、エリアスとか言うスカタン娘を嘲笑うかの様に、見下した様な視線を送った。



「こんのぉ~~~!!調子に乗って、なめるなよ小僧!!」


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おぉ……やるじゃん!!


荒々しく弾いてる分、リズムの正確さは多少落ちたが。

その感情をムキ出しにした弾き方は悪くねぇじゃんかよ。


マジでやりゃあ出来んじゃねぇかよ。


なら次は、ドラムのリズムだけ野郎だな。

テメェが、そのリズム感で、このスカタン娘の崩れたリズムを、なんとか整えやがれ。


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「ほぉ、今度は俺ちゃんを御指名する気かい?そりゃあいくらなんでも、ちょっとオイタが過ぎんじゃねぇの、アンちゃん?」


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いや……まぁ上手いなぁ。


いや?あれ?

なんか2人共、スゲェ息がピッタリ合ってるじゃねぇかよ。


なっ……なんだよ、マジで上手いじゃんかよ。


あれ?

……ってか、なんで俺、こんな良い演奏に対して不満なんか持ってたんだ?


あれあれ?

寧ろ、文句の付け所なんか何処にもねぇじゃんかよ?


なんじゃこりゃあ?


なんかの悪い魔法が解けたみたいに、この2人の音が、突然、良い音に聞こえ出したぞ?


あり?



「ふふっ……業界内でも屈指の相性を持つデクと、エリに単独で喧嘩を売るなんて良い度胸だね。それじゃあ、そろそろ僕も行かせて貰うよ。これ以上好き勝手されたんじゃ【GREED-LUMP】の沽券に関わるからね」


いやいや……ちょっと待て待て!!

そんなに興奮せずに、ちょっとは落ち着けな、そこの大きな体の子供。

演奏するのは構わねぇけど、これは奈緒さんにとっての大切な日本凱旋ライブなんだから、そう言う争いは良くねぇぞ。


……って、これを始めたの俺か!!


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ぎゃああぁ~~~っ、上手い!!


これはもぉ、上手いなんて可愛いレベルの演奏じゃねぇぞ!!


この大人子供のアンちゃん。

優しい顔に似合わない様な、とんでもなく凶暴な音を出しやがんな。


俺……付いて行くので、やっとじゃねぇかよ!!


ヤバイ!!誰かたちけてくり!!



「さぁ、それじゃあ、私も音入れをして、アンコールを再開しようか」


やみちくり……マジで音楽で殺される。


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……Ω\ζ°)チ~~~ン!!


倉津真琴は死亡しました。


……つぅか、このトッちゃん坊や、なんつぅ音を出しやがるんだよ。

流石に崇秀とまではイカネェが、コイツもハンパねぇ音を出してきやがるな。


それに、この4人、スゲェ練習してるのかしてシンクロ率がハンパじゃねぇぞ!!


なに、この地獄?


ってか!!ってか!!

なんで俺、こんな奴等に不満を持ったりして、わざわざ喧嘩売ろうなんて考えてたんだろう?


訳がわかんねぇぞ。



「ぷっ!!」


あっ!!コンニャロウ!!

眞子の野郎、なに、客席でニタニタ笑ってやがるんだよ!!


それにオマエ、なに不敵な笑みを浮かべながら『67 GUILD STAR-FIRE4』に付いてるスィッチを切ってやがるんだよ?


そのスィッチに、なんの意味が有るんだよ?


眞子、オマエ……絶対になんかしただろ!!


一体、俺に、何をしやがったんだ!!



「そんじゃま、クラの音で、全ての音が整ったんで行ってみようかぁぁ!!『They are these same days generally』!!」


にゃああぁ~~~ぁ、奈緒さ~~~ん!!そうじゃねぇんッスよ!!


俺、なんにも整ってねぇッスから!!


たちけちくり!!



「♪~~~~~」


……終わった。


奈緒さんが唄い始めてしまった。



皆さん……さようなら。


悪いけど……此処は禁断の手である。

無駄にテンションを上げて、意識を飛ばします。


この環境の中、精神的にも耐え切る自信が有りませんので……非常に申し訳ありません。


もう1度『さようなら』


Ω\ζ°)チーン


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


前回に於ける、眞子とのパフォーマンス。

あれには『呪いを解く』っと言う意味が含まれてたんですね。


眞子も、中々意地が悪いです(笑)


……っと言いたい処なんですが。

勿論、此処に悪意なんてものはなく。

呪いのベースは、悪魔で倉津君の乱入するプレッシャーを和らげる為に使わせたものであり。

その役目を終えたからこそ、あの時、交換をした訳だったりします。


だって……倉津君は、ステージにさえ上がってしまえば『後は野となれ山となれ』主義ですし。

なにより、彼自身の意志や音楽で『奈緒さんの凱旋ライブを祝ってあげなきゃ意味がない』ですからね(笑)


まぁ最後は対応しきれずに、意識を飛ばしてしまいましたが。

それもまた倉津君の演奏だと思えば、彼の音だと言いきれなくはないですからね。


さてさて、そんな中。

結局の所、眞子の陰謀で、こうやって暴走してしまった倉津君なのですが。


これをされた奈緒グリのメンバーは、一体、倉津君の演奏を、どう感じたのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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