1242 眞子の策略の前に、奈緒さんの陰謀
シッカリとベースの呪いを喰らった倉津君。
いつもの冒頭以上に、奈緒グリに対してブゥブゥ文句を言い放っていただけ。
(但し、奈緒さんと眞子の対してだけは文句なし(笑))
***
まぁそんな感じでだ。
相も変らず満額の文句を言いながらも、眞子の指示通り、ステージに続く花道の出入り口で自分の出番を待ってる訳なんだが。
そうやって1人で、無駄にイライラしているとだな。
「「「「「「わあぁぁあぁぁぁぁぁぁ~~~~~~!!」」」」」」
奈緒さんと、眞子以外、なにが良いのかわからねぇ様な演奏に、ドームが揺れる程の拍手大喝采が起こる訳だな。
「うわっ、マジかよ?コイツ等って、頭おかしいんじゃねぇの?」
……と言う様に、当然の如く、この大喝采にさえも、俺は大いに不満だ。
……って言うかよぉ。
これって寧ろ、新曲の発表だったから盛り上がってるだけなんじゃねぇの?
若しくは、奈緒さんの声と、眞子の演奏に感動したかの、どちらかとしか思えないよな。
だってよぉ……なぁ。
もぉ良いや、そろそろ文句を言うのも面倒臭ぇわ。
なんて悪辣な批評を、1人でブツブツと繰り返しながら。
真っ直ぐに伸びたステージへの花道の手前で、俺は乱入の機会を待ち侘びていた。
そうしていると……眞子の予定通り、奈緒さんがアンコール一曲目だと言うのに、次の曲に行かず、此処でマイク・パフォーマンスに入った。
……とうとう、この時間が来たな。
ならもぉ1人でイライラしながら、四の五の考える時間は本気で終わりの様だ。
眞子の、ご希望通り、奈緒さんを喜ばす為に、此処に居る全員を、残さず全部、綺麗に喰い散らかしてやる!!
俺のパフォーマンスでな。
***
「「「「「「パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ」」」」」」
「「「「「「パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ」」」」」」
「「「「「「パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ」」」」」」
鳴り止まない拍手の渦。
ボルテージ最高で盛り上がりをみせる観客達。
会場の雰囲気は、一応の所だが、実に満足気な雰囲気だ。
去れど、これは奈緒さんと、眞子にだけ向けられた喝采だからな。
変に自分達が喝采を浴びてるとか勘違いすんなよ、雑魚の【GREED-LUMP】諸君。
「はいはい、いつも、盛大な拍手ありがとうね。今回の新曲『Blood-Rain』は、どぉだった?」
「奈緒様最高ッスよ!!今回も、超良い曲だったぞ!!シングルカット希望!!」
「完璧だぁ~~~!!奈緒グリ!!完全に世界一最強最高のバンドだぁ~~!!」
「これからも、もっと、もっと良い曲を聞かせ続けてくれぇ~~~~~!!」
まぁ、奈緒さんが唄ってるんだから、これは当然の結果だな。
彼女が唄うだけで、どんな曲だろうと、名曲に早変わりするからな。
『批判が起こる』なんて考える方が間違ってる。
それに付け加えて、眞子の演奏もスゲェ良かったからな。
普通に演奏するんじゃなくて、アイツだけは、ズッと曲のメインとは真逆の音を出してやがったからな。
あんな器用な真似は、早々に出来たもんじゃねぇ。
故に、眞子も完璧だったぞ。
まぁ……但し、眞子が1人、そうやって孤軍奮闘して、あんなに奈緒さんの為に頑張ってたと言うのに【GREED-LUMP】の連中は、何所まで行っても、普通の演奏だったがな。
コイツ等、マジで奈緒さんと、眞子の足をドンだけ引っ張り続けりゃあ気が済むんだよ。
少しは恥を知れ!!この痴れ者共が!!
「ホント?」
「マジ!!マジ!!」
「マジで?良かったぁ~~~」
「奈緒様なんでぇ?不安だったのぉ~~!!」
「あぁ、いや、不安って訳じゃないんだけど。実はね。この曲って、昨日、完成したばかりの曲なのよ。しかも、此処で、今も演奏を手伝ってくれてる鞍馬事、ウチの妹の眞子が上手くアレンジしてくれたからこそ、昨日中に完成に至ったのよね」
うむうむ、その通りですな。
眞子のアレンジが完璧だったからこそ。
奈緒さんとの相性がバッチリになり、この曲の成功が成し得れたんですからな。
アイツ無しでは、幾ら奈緒さんと言えども、上手く行かなかったかも知れませんからね。
流石、奈緒さん……よく解ってらっしゃる。
「スゲェ!!じゃあ、奈緒グリと、鞍馬の完全初コラボじゃん!!」
「そうなのよねぇ。まぁ、そうは言っても、実際は、ドラムのデクが作った曲だから、デクと、眞子のコラボなんだけどね」
「けど、奈緒グリと、鞍馬のコラボには変わりないじゃん!!最高だよ!!」
「まぁ、そうだね。……だったらさぁ、そのコラボって言葉を消したくない?」
「????」
「あっ!!奈緒ネェ」
奈緒さんの、あの言い様、あの表情。
それに、あの眞子の隠しきれていない動揺。
奈緒さんは、この場で、またなにか一悶着を起す気だな。
「解んないかなぁ?コラボって言葉を消すんだよぉ」
「『!!』……まさか、奈緒様!!」
「ちょ!!奈緒ネェ!!」
出たよ。
そう言う事か。
無理してまで眞子を緊急招集してステージに上げた理由は、そう言う裏事情が有ったんですね、奈緒さん。
ナイス・パフォーマンス!!
「そぉ。我々【Nao with GREED-LUMP】は、メンバー満場一致により。今までの様な噂話ではなく。此処で正式に『眞子争奪戦』に参戦する事を表明します!!」
「マッ、マジで……うわ……うわあぁぁぁぁあぁぁぁあぁ~~~~~~!!」
「「「「「「うわあぁぁ~~~!!熱烈大歓迎!!鞍馬ちゃん参入してぇ!!」」」」」」
「「「「「「待ってました!!正式発表!!この瞬間をどれ程待ちわびたか」」」」」」
「「「「「「伝説的瞬間!!キタァ~~!!鞍馬ちゃんの絶対的参入希望!!」」」」」」
「ふふっ……だってさ、眞子」
「うぅ、やられたぁ。まさか、このタイミングで、それを言うとは……」
おぉ……完全に諦めてましたが、矢張り、それはグッドアイディアですな。
眞子が【Nao with GREED-LUMP】に参入するって事は、今の腑抜けた【GREED-LUMP】を田舎に送り返してやる事が出来ますもんね。
それにオィちゃんもだな。
奈緒さんの手元に眞子を置いて置けるから、色々な意味で安心出来るしな。
悪い提案じゃないッスな。
いや、寧ろ、これは、完璧な提案と言うべきだろう。
けど……なんか俺は、どことなく複雑な心境だな。
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
おやおや、倉津君の乱入が始まると思っていたら。
なにやら奈緒さんサイドもまた、なにか企んでいたようですね(笑)
っで、その奈緒さんの企みと言うのが、この大舞台での『正式な眞子争奪戦への参戦表明』だったのですが。
今回に至っては、凱旋ライブのこの機会ですから、この表明は世間には絶大なインパクトを与えられたと思いますです。
矢張り、奈緒さんは策士ですな(笑)
さてさて、そんな中。
この奈緒さんの表明に、眞子は、何と答えるのか?
そしてそこから、倉津君の乱入へ、どうやって持って行くのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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