1240 最後の仕上げ(笑)

 眞子と話してる内に、気分はリフレッシュ出来たものの。

不思議と奈緒グリの演奏に対する疑念だけが晴れないままの倉津君。


さてさて、どうなる事やら?(笑)


***


 まぁ、そんな風にだな。

眞子とベースの練習をしながら、少々駄弁ってたんだが。


いつの間にか結構な時間が経っていたのか、会場の方から……



「「「「「「わあぁぁぁぁあぁ~~~~~!!」」」」」」


……っと、凄まじい歓声が巻き起こり。

とうとう俺は、奈緒さんの姿を見る事無く、ライブの本番を終わらせてしまった。


( ゚д゚)ハッ!

やっちまったよ。

マジで、またやっちまったよ。


一応、楽屋に聞こえてくる音には耳を傾けてはいたのだが……生で唄う奈緒さんの姿を見損ねてしまった。



「ふふっ……どうやらライブのメイン部分が終わったみたいだね」

「なぁ、眞子。俺……こんな所で、なにやってんだろうな?」

「うん?そんなの決まってるじゃん。真琴ちゃんはバンドマンなんだから、聞くのが本業じゃないでしょ。バンドマンの本業は、演奏してなんぼ。奈緒ネェも、真琴ちゃんに聞いて貰うより、一緒に演奏してくれた方が嬉しい筈だからね。その為の練習だったんじゃないの?」

「オマエ……まさか、本気でやらす気か?」

「当然。それが今現在、奈緒ネェに送れる最高のプレゼントになるんだからさ」

「……マジなんだな」


まぁ、つってもな。

俺も、さっきの奈緒グリの音楽を聞いて、なにも納得出来なかったんだから、それを言う以上の演奏をアソコでするのが筋ってもんだよな。


それ以前にだ。

あの程度の演奏で、臆面もなく東京ドームで演奏出来るんなら、俺みたいな雑魚が演奏してもさして問題ねぇか。


それによぉ。

この眞子に借りた『67 GUILD STAR-FIRE4』は、訳の解らんスィッチが無駄に沢山付いてっけど、木の乾いたスゲェ良い音出すんだよな。


この辺は、流石ビンテージ商品と言ったところ。

乱入する相棒としては、これ以上の一品はないって感じだ。


だから、コイツで、ひと暴れしてやるのも悪かねぇやな。


どうなるかは知らねぇけどな。



「まぁ、そう言う事だね。此処まで来たら、もぉ諦めも肝心だね」

「へいへ~い、解りやしたよ。やりゃあ良いんだろ、やりゃあよぉ」

「ふふっ。お利口さん、お利口さん。流石、奈緒ネェの飼い犬だね」

「やかましいわ!!オマエだって、馬鹿秀の飼い犬同然じゃねぇかよ」

「そうだね。確かに飼い犬だね。でも、忠実な犬だよ」

「認めんな!!アホタレ!!」


オマエなぁ。



「なんでよぉ。私が良いって言ってるんだから、別に良いじゃない。それとも解り易く首輪とかした方が良いかな?……だったら、今度のクリスマス・プレゼントに、可愛いのを買って貰おうかなぁ」


この馬鹿野郎が……


ただでさえ奈緒さんのバックバンドの事でイライラしてるのに、ツマンネェ事を言ってんじゃねぇぞ!!



「あのなぁ、いい加減にしろよ、眞子」

「へっ?なにが?」

「オマエは、そう言うんじゃねぇだろ。オマエ、なんの為に体を得たんだよ?そんなツマンネェ事をする為に、体を得たんじゃねぇんだろに」

「えっ?ちょっと待って。なになに?冗談じゃない。そんなに怒らなくても良いじゃない」

「怒るわアホ!!大切な家族であるオマエを、冗談でも、そんな風にされて堪るかよ!!もしオマエが、冗談でも首輪なんか付けたら、アイツを問答無用でブッ殺すからな!!そこんとこ、良く憶えておけよ」


ホントに、ダメだぞ眞子。


これは前々からズッと思ってたんだがな。

オマエ、ちょっと崇秀に依存しすぎじゃねぇか?


冗談を言うにしても、今のは流石に度が過ぎちゃいないか?


だから今回、良い機会だったから注意させて貰ったんだけどな。



「……ごめんなさい」

「あぁ、いや、解ったんなら良いけどよぉ。冗談を言うのも程々にしとけよ」

「うん。ホント、ごめんね」

「あぁ、もぉ、そんな顔すんなよ。俺も言い過ぎたからよぉ」

「うん。でも、ごめん」


素直なやっちゃな。



「もぉ良いってばよ。……つぅかよぉ。オマエそろそろ出番だろ。準備しなくて良いのか?」

「あぁ、そうだね。準備しなきゃだね」

「オイオイ、間違っても、そんな面で観客の前に立つなよ。奈緒さんの凱旋ライブだぞ」

「あぁ、ホントだね。これはないよね」

「そうだな。まぁ兎に角だ。俺を巻き込んだんだから、オマエがシッカリしないでどうするよ」

「だね。ホントそうだよね」


それで良いんだよ。


それでこそ眞子だし。


その調子で、あの会場で演奏してた阿呆共に目に物見せてやれってもんだ。


マジでシッカリ頼むぜ姉弟。


俺は、なんとしても【GREED-LUMP】を、ギャフンと言わしたいんだからな。



「あぁ、因みにだが、俺は、どのタイミングで乱入すれば良いんだ?」

「あぁ、うん。それについてはね。アンコールの一曲目が終わったら、私がコールするから、その時にタイミングよく乱入して……イケる?」

「おぉ、もぉ覚悟を決めたから、それぐらい余裕だ。目に物見せてやんよ」

「OKOK。んじゃあ、私は準備が有るから行くけど、ギリギリまで、そのベースの感触を掴む練習をしておいてね。結構、癖のあるベースだから」

「おぅ!!任せとけ!!」


そう言って眞子は、控え室を後にしたんだが……このベース、癖なんか有るか?


スゲェ音が良いだけの、ビンテージのベースとしか思えんのだがな?


なんか良くわかんねぇな。


……まぁまぁ、そんな事を思いながら。

自分の最終調整をする為に、時間いっぱいまで、借り物のベースを弾き続けた訳なんだがな。


けど……上手く弾けてるにも拘らず、満足はいかないわ、なんか妙にイライラするな。


なんだこれ?



『ふふっ……どうやらこれで【最後の仕上げも上手く行ったみたい】だね。こんな時だからこそ、思う存分『スタファちゃんの呪い』喰らい給え』


うん?

なんか今、非常に、ヤナ言葉が聞こえた様な気がするな。


気のせいか?


まぁ気のせいだろう。


***


次回予告。


ムキーーー!!なんか知らんが無性に腹が立つなぁ。

最終調整の為に、控え室で必至にベースをかき鳴らしてたんだが、弾けば弾く程、満足はいかないし【GREED-LUMP】の事を思い出しただけで、何故か酷くイライラする。


けどもぉ、こうなったら、どうしようもない。


ドイツもコイツも、完膚なきまで叩き潰してやるってなもんだ!!

(↑奈緒さんと、眞子は除く)



そんな訳で次回……


『⑥Well Come to Special-Live【Nao with GREED-LUMP③】』

「⑥ライブにようこそ【奈緒グリ編③】」


……をお送りするぜぇ。


【GREED-LUMP】の奴等、なめた真似しやがってよぉ。


なんか知らんが、妙にオマエさん等には腹が立ったので、八つ当たり的に後悔させてやるぜ!!


俺が全員成敗してくれるわ!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>

これにて第一章・第七十四話【⑤Well Come to Special-Live【Nao with GREED-LUMP②(⑤ライブにようこそ【奈緒グリ編②】)】はお仕舞に成るのですが、如何でしたでしょうか?


私的には『この倉津君の乱入を成立させる為』に、敢えて、今現在行われている奈緒グリのライブ状況を一切書かなかったのですが。

本編でも書きました様に、倉津君には「奈緒さんの凱旋ライブを観戦して楽しんで貰うより」「奈緒さんと一緒にライブを楽しんで貰った方が良い」っと判断しまして、こんな展開にさせて頂きました(笑)


いやはや、いやはや、アホな真似をして申し訳ないです<(_ _)>


さてさて、そんな中。

次回から始まる第一章・第七十五話【『⑥Well Come to Special-Live【Nao with GREED-LUMP③】(⑥ライブにようこそ【奈緒グリ編③】)】では、とうとう倉津君が東京ドームデビューを果たす予定な訳なのですが。


これって冷静に考えると『眞子がやらかした横浜アリーナデビュー』よりエゲツナイ状態だったりするんですが。


倉津君、ホント大丈夫なんですかね?(笑)


まぁ、なる様に成るでしょう。


ってな訳で。

そんな倉津君の動向が気に成りましたら、また是非、遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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