1238 同じ様な感性を持つ者同士だからこそ

 眞子とのベースの練習をしていたら。

何故か奈緒グリの演奏に対してのクレームばかり頭に浮かんで来てしまう倉津君。


果たして、その真相は?

(前回は話が脱線してしまったので、同じ様おさらいに成ってしまった……(笑))


***


 あぁ、唯一心当たりがあるとすれば、実は名ばかりで。

そんなに実力が足りてねぇだけの下手糞な連中だから、俺も批判的に成ってるんじゃねぇの?


それ以外はパッと浮かばねぇから、此処は解らんと言う事にして置こう。



「わからん」

「アホだ、この人」


そこに関しては心配するな。

そこだけは、十分な程に弁えてる。


自慢じゃねぇがな、オマエと比べたら、俺は相当な劣等蛸助だからな。


ホント、自慢じゃねぇんだがな。



「そんなもん。とっくに知っとるわ」

「そっ、そう……なんだ。ねぇねぇ、でも真琴ちゃん。それはそれとして、ホントに、この質問の意図が解んないの?」

「わからん。ってか、下手だって以外、皆目見当も付かん」

「あぁっそ。じゃあ、一応言って置くね。正解は、このたった数時間程で、真琴ちゃんの演奏レベルが格段に上がったからだよ」

「はぁ?なんだそりゃ?」


なんだそれ?


なんの魔法だ?


ひょっとして俺。

1年で、1日しか経たないと言う噂の、ドラゴンボールに出て来た『時の部屋』にでも閉じ込められたか?


東京ドームに、そんな奇妙奇天烈な機能が有るとは知らなかったな。


……んな訳ねぇか。



「うん?これでも、まだ解んないの?」

「サッパリ解らん。毛の先程も解らんな」

「あっ、そうですか。……はぁ、自分の身に起こった事も解りませんか」

「いや、ハッキリ言って解らんのぉ。俺は、ただ単に、眞子の真似をしてベースを弾いていただけだからなぁ。なんも見えてねぇよ」

「あぁ、なんだ解ってんじゃん」


うん?



「はぁ?どう言うこったよ?」

「まぁ、そうだね。完結に言っちゃうとね。『私の真似=多人数の感性を自分の中に取り込んだ』って事に成るの。何故なら、私の演奏は、真琴ちゃん同様、全てが他人の演奏のコピーから成立してるからね」

「マジで?」

「マジで。早い話、経験値のお裾分けって事」


オイオイ。

もし眞子の言ってる事が本当なら、俺って、実はスゲェんだな。


まぁ、それも本当だったらの話だがな。


からかわれてる可能性は否めない。



「いや~~~っ、しかしだなオマエ。そんな漫画みたいな真似が、現実に出来るもんなのか?」

「うん。出来るよぉ。根本的な部分では限定はされるけど。世の中には不思議な事なんてなにも無いんだよ。……まぁ但し、この経験値のお裾分けについては、真琴ちゃんと、私にのみ限定された技だけどね」


じゃあ、嘘じゃねぇんだ。



「へぇ、じゃあ、俺って、何気にスゲェんだな」

「うん。普通に凄いねぇ。……けど、世の中、そんなに甘くもないのも重々承知の上だよね」

「はい?それ、どう言うこったよ?」


??



「はぁ……ヤッパリ、此処も解んないかぁ」

「そりゃあ、解らんさぁ。解ると思う方が間違ってる」

「あっ、あのさぁ……あんまり、自信有り気に、そう言う事を言わないでくれるかなぁ。私、真琴ちゃんの元体の一部だからさぁ。情けなくも、悲しくなってくるから」

「あぁ、悪ぃ。じゃあ、そこは、完全に別人格と言う事で」

「うわっ……なんて調子の良い人なんだろ」


すまんな。

だが答えは、それで正解だ。


俺は、ご都合主義のみで生きてる、ただのボンクラだからな。



「ハハハッ、それが俺たる所以だ」

「……死ねば良いのに」


生きる!!



「この程度では死なんよ。奈緒さんのライブを見るまでは、堕ちる訳にはイカンのだよ」

「此処でシャアか!!」

「いや、正確に言えば。FIRSTでご出演されていた頃の赤い彗星のシャアさんだな。……っで、さっきの答えって、なんなん?」

「あぁ、そうですか。左様でございますか。……そう言う事を言うんなら、もぉ良いや。真面目に話すのも疲れてきたし」

「まぁまぁ、そう邪険に扱うなよ。それにオマエも、話の途中だと気持ち悪かろうに」


気持ち悪い上にだな。

中途半端に話をするのは良く無いぞ。


世界一いい加減で中途半端な俺が言うんだから、ここは間違いなく良くない筈だぞ。



「あぁ、そうですか。んじゃあ端的に言うけどね。真琴ちゃんが、私のコピーが出来るのは、この一緒に弾いた3曲だけ。他の曲は、自分の感性でしか弾けないから、気を付けてねって話。ただそれだけの事」

「グハッ!!なんだそりゃあ!!上手く弾けるのも、レベルアップしたのも、この3曲限定かよ!!期待外れもいい所だな」

「当然でしょ。今後、真琴ちゃんも、私の敵に成り得る存在なんだから、此処で全部を出し切る訳ないでしょ。私には、まだまだ隠し玉は沢山有るよ」

「うわっ……コイツ、マジで有り得ねぇ」


けど……マジかよ、この女?

まだまだ、なにか奇妙な事が出来ちゃうんだなオマエって。


それにしても、なんなんッスかねぇ、この子?

その自分のスペックを惜しみなく生かし切った生き方は?


それは……どうやるんじゃね?


同じ細胞構成なら、ワシにも出来る可能性はある筈じゃからのぉ。


教えてたもれ。



「あぁ、因みにだけど。今、教えた演奏方法を独自で解析出来たら、私が言う、この隠し玉の意味も、ある程度は見えてくるよ。……但し、解析出来たらの話ね」


Oh!!My God!!


なんてこったい!!

声に出して聞く前に、自分の口からは教えないと、先に釘を刺された。


その上、馬鹿には一生掛かっても解らないねぇって、やんわり言われた様な気がする。


まぁ……そこは正解なんだけどな。


てか……眞子の言い分も当然だよな。

自分が必至に成って培ってきた技術を、そう易々と他人に全部曝け出す馬鹿は居ねぇわな。


けど、それだけにだな。

この眞子の言う解析とやらには、相当な価値が有ると言う裏返しでもある、とも取れる訳だな。


なら、取り敢えず、今後の為にもジックリ解析してみるのも悪くねぇな。


理解出来ねぇ可能性は、非常に高いけどな。


まぁ、それでもだな。

会場で流れている、糞バックバンドの演奏よりは上手くなんだろ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


今回のお話は、少し現実離れしたお話に成ってしまいましたので「何故、こんな真似が出来たのか?」について、此処で追加の説明をさせて頂きますとね。


皆さんが思われている様に、普通なら、当然、こんな「経験値のおすそ分け」みたいな事は出来ません。

……ですがね。

とある条件が揃えば、少しだけその可能性が出て来るんですよ。


それがなにか?っと申しますと……此処では「倉津君と眞子の関係」が重要になってきます。


まぁこれだけじゃあ、意味が解らないかも知れませんが。

この2人って、元が同じ人間なだけに、現状では「双子と同じ様な関係」なので【双子同士の共感】っと言うものが出来る可能性があるんですよ。


まぁ、オカルティックな部分は否めないのですが。

こう言った双子同士の共感と言うものは、世界各国でも確認されている事なので、此処を上手く利用する事が出来れば「経験値のおすそ分けが出来る」のではないかと考え、今回のお話を書かせて頂きました。


まぁ勿論、意図的に教える側がやらないと出来ない事なので『ただ単に眞子の真似をすれば上手く行く』なんて事はありませんがね。


さてさて、そんな中。

それを理解した上でも、何故か『奈緒グリよりは上手くなるだろう』っと言う妙な確信を持ってる倉津君なのですが。


一体、どこから、そんな自信が来るのでしょうか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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