1235 眞子が倉津君の悩みを聞いてた理由
倉津君の悩みが少しづつ解決されていく中。
更に勇気づける為に「崇秀のギターの起源」の話をする眞子。
さてさて、効果の程は?
***
「そっか。アイツにも、そんな時代があったんだな」
「そう言う事。それにギターを手に入れた後もね。最初はHIDEさんの曲ばっかり練習してたらしいからね。それだけでも、立派なミーハーさんだよ。……これで、ちょっとは、なんか納得した?」
「まぁなぁ。事の始まりは、そんなミーハーな理由でも、たった数年で、あれ程の腕を持てたんだから。まだ必至さが足りない俺じゃあ、納得せざるを得んわな」
「そうだね。でも、音楽に貴賤なんてモノはないからさぁ。頑張れば頑張る程、上手くなると思うよ。だから奈緒ネェの件は、もぉ気に病んじゃダメだよ。追い付く事をヤメないのが重要なんだからさ」
「まぁな。そりゃあそうだわな」
結局は、最初から自分の中に答えは有った。
それでも納得出来無いから、人に背中を押して欲しくて、僻んでただけか。
実に馬鹿らしい結末だな。
「あぁ、それとさぁ。こんな事を、私が言う事じゃないんだけど。……奈緒ネェを、もっともっと笑顔にしてあげてね。これは、本当の意味で、真琴ちゃんにだけしか出来無い事だから、此処だけは切実にお願いしたいかな」
「やけに急だな。けどまぁ、そんな事は言われるまでもねぇけどな」
「だよね。それでこそ真琴ちゃんだよ」
ホント上手く持ち上げやがるな。
これが体を得て、まだたった1年しか経ってない奴の意見なんだから、マジでコイツはすげぇよな。
「あぁ、序に良い機会だから、言っておくとね。真琴ちゃんが昏睡してた1年。これは、私が、真琴ちゃんの代理を務めてただけの話だからね。本来なら、この私の立ち位置には、真琴ちゃんが立ってた物だったと思ってくれると有り難いね。私と、真琴ちゃんは、元が一緒なんだからさ」
「はぁ……オマエってさぁ。本当に、飽きれる位、人の気持ちを上げたり、下げたりするのが上手いよな。感心するわ」
「じゃあ、思ってくれるって事?勿論、思ってくれるよね?」
俺の悩みを解消する為だけに、そこまで言ってくれるのかよ。
オマエが散々苦労して手に入れた立場を『俺の代理だった』なんて言葉まで平然と言ってくれるのかよ。
本当に、まいったよ。
もぉ、心底ギャフンだギャフン。
オマエには勝てんわ。
「そうだな。オマエが、そう思えって言うなら、そう思わして貰うわ」
「ふふっ……言ったね。とうとう言っちゃイケナイ言葉を言っちゃったね」
「はい?なにが?俺なんか、変な事を言ったか?」
うん?オマエが求めるから、そう言っただけなんだがな。
なんで、この感動的な場面に、そんな不敵な笑みを浮かべる必要性なんかあるんだよ?
・・・・・・
……って!!
オイオイオイオイ、まさか……
ちょっと待てオマエ!!
その笑顔、この期に及んで、また、とんでもない事を言い出すんじゃないだろうな!!
「じゃあ、早速さぁ。奈緒ネェを喜ばせる為に、私の立ち位置で頑張ってみようか」
「ははっ……なに言ってるんだろうな、オマエさんは?言ってる意味が解んねぇぞ」
「そぉかなぁ?本当は意味なんてもぉ解ってるんだよねぇ。寧ろ、100%解ってるよね。私と、真琴ちゃんの思考は、今、共感してるよ」
「オイオイ、ちょっと君、君。あまり無茶な事を言おうとするんじゃありませんよ」
「はい、当然、そんなのダメェ~~~。男に二言なんて有っちゃいけないもんね。真琴ちゃん、男の子だもんね。……それに私が、奈緒ネェのライブに参加させて貰う以上、同じ立ち位置の真琴ちゃんが、ステージに乱入しないのは筋違いもいい処だよね。だからダメェ~~~」
この子、アホちゃうか?
脳味噌が蕩け切って、クルクルパーになってんじゃねぇかよ!!
正気を失ってるにも程があるぞ!!
つぅかオマエ!!
奈緒さんの為とは言え、オマエは、これだけの観衆の前で、俺に憤死を遂げろって言うのかよ!!
鬼過ぎんぞ!!
つぅか!!そんなもん、どう考えても不可能だ!!
「無理。俺、今日、ベース持って来てねぇもん」
「大丈夫、大丈夫。私専用のベースだけど、調整済みのベースが2本も有るから、そこは問題なし」
「でも、無理。俺、文化祭以来、受験勉強で長い事ベース弾いてねぇもん」
「大丈夫。真琴ちゃんは熟成型じゃなくて、短期型決戦型だから、短時間で、簡単に曲のコードぐらい憶えられるから、30分もあれば大丈夫。これも私が立証済み」
「去れど、無理。こんな大勢の観客の前で、どうやっても、あっしは弾けませんからな。精神的にも無理ですじゃ」
「そんなの大丈夫だよ。真琴ちゃん、そう言うシュチュエーションが大好きだから、本当はテンション鰻登りなんでしょ。やりたくてウズウズしてるんだよね」
「ごめんなさい。もぉ許して下さい。奈緒さんのライブを潰したくないから、マジで勘弁しちくり」
「まぁまぁ、そんなに心配しなくても、本当に大丈夫だからさぁ。真琴ちゃん、私を信じて」
「信じれるかぁ!!」
……このアホ。
なんの確証も無い事クセに、強引な説得だけしようとしてんじゃねぇよ!!
こんなもん、誰がどう聞いても、無茶苦茶にも程が有るぞ!!
「あぁ、もぉ、うっさいなぁ!!四の五の言わずに、やれちゅうの!!男、倉津真琴が、ゴチャゴチャと女々しい事を言ってんじゃないの!!」
「オマエが男らしすぎるわ!!」
「あぁっそ。私が男らしいって言うなら、じゃあ、体交換してよ。私は、どうやってでも、奈緒ネェ喜ばしてあげたいからさぁ。……って言うかさぁ。実は、今の真琴ちゃんがXXの染色体の正体なんじゃないの?女っぽいよ」
「違うわい!!俺は、れっきとしたXYの男じゃい!!ってか、それ以前に、んな奇妙奇天烈な真似が出来る訳ねぇだろ。なんのファンタジーだよ!!」
「そぉかなぁ?本当にそうかなぁ?実は、崇秀さんに頼んだら出来るんじゃないの?私の生まれって、元々そうなんだからさぁ」
あぁ確かに、そうかも知れんがなぁ。
断る!!
「だが、断る」
「なんでよぉ。今の女々しい真琴ちゃんより、私の方が、奈緒ネェを幸せに出来るんだよ。それに私なら、奈緒ネェだったら100%の愛を持って愛せる自信がある。だから問題なし。……そんで、私に成った真琴ちゃんは、崇秀さんに愛されれば良いじゃん。熱烈なチュ~とかして貰ったら、メロメロになるんじゃないの」
おえぇぇぇ~~~!!
なんちゅう、恐ろしい事を口にするんだよオマエは!!
そんなもん、ただの生き地獄に直行便なだけじゃねぇかよ!!
SANチェック失敗で……発狂してまうわ!!
「嫌だぁ~~~~~~!!崇秀に愛されてる眞子になんか成りたくもねぇよ!!」
「なんでよぉ。こんなに可愛い子になれるんだよ。なんも問題無いじゃん。その上、世界一格好良い崇秀さんに愛して貰えるなんて、女にとっては、これ以上の幸せはないよ。そんで私は、奈緒ネェと永遠に結ばれて幸せに成る。お互い完璧じゃない。なにが嫌なのよ?」
「アホか!!そんなもん嫌に決まってんだろ!!なにが悲しゅうて、馬鹿秀に愛されにゃ成らんのだ!!却下だ却下!!気持ち悪ぃ!!」
想像しただけで、全身にサブ疣出たわ!!
そんで俺が『崇秀の為に、私、女の子になったよ。これで愛し合えるね♪』とでも言えば、オマエは満足なのか!!
奈緒さんが言いそうな意地の悪い事を言ってんじゃねぇぞ!!
有り得ねぇつぅの!!
「あぁっそ。じゃあ、ちょっとは男らしく生きて見せてよ。じゃないと、明日、朝起きたら、本当に女の子に成ってるかもよ」
「いや、オマエなぁ。……それ、擬似的にでも、オマエの体験をしてたから、リアルに怖いわ」
「だよね。そう成りたくなかったら、もぉ答えは1つだよね。……さぁさぁ行くよ」
「オイ!!コラ!!なに無理矢理引っ張ってやがんだ!!嫌だぁ~~~!!こんな所で演奏なんかしたくねぇ!!」
「うん。ダメだから、諦めれ」
「鬼かオマエは!!」
「こんなに可愛い鬼は居ないから。それに元来、鬼には女性と言う性別はないからね。女の人が鬼に落ちて、始めて鬼女に成るんだよ。此処よく憶えて置くように」
「NOおおおおぉぉぉぉ~~~~!!なんの薀蓄だよ!!」
「うっさいよ!!」
眞子は、俺が女に手を出せない事を良く知ってやがるから、コイツ滅茶苦茶強引だな。
まさにドナドナ状態だなオイ!!
つぅか!!誰か、この狂った女を止めてくれよ!!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
眞子の思惑は『倉津君の悩みを聞きながら』も『奈緒さんのライブに出場させる事』だったんですよ(笑)
無茶苦茶ですね。
……っとは言え、倉津君自身も、ある程度の演奏技術を持ってはいますので、全てがすべて無茶苦茶と言う訳ではないのですが。
流石に72000の観衆の前で演奏が出来るほどの腕前とは言えませんので……眞子は、そこをどうするつもりなんでしょうね?
そんな訳なんで、次回は、そこを書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます