1233 相談相手

 眞子に相談に乗って貰っている中。

倉津君と同じ悩みを、眞子も抱えてると言い出したのだが。

何故、順風満帆な人生を送っている様に見える眞子が、倉津君と同じ悩みを持っているのか?


***


「オマエがか?」

「うん。私が。って言うかね。寧ろ、私も、真琴ちゃんと同じ立場だからこそ、頑張ってるんだからさぁ。まぁ、まだまだ頑張りが足りてないんだけどね」

「はい?なんでだよ?オマエ、超頑張ってるじゃん」

「うぅん。それじゃあ、本当に足りないんだよ」

「なにがだよ?一体なにが、今のオマエに足りてないって言うんだよ?」

「なにが?って。そんなの簡単じゃない。私が崇秀さんの彼女だからこそ、なにもかにも足りないんだよ」

「あっ……そうか」

「そぉ。良い真琴ちゃん?崇秀さんの彼女で居続けるって言うのはね。本当に並大抵程度の努力じゃ、なんの意味もないの。だから、この程度の私の努力なんかじゃ、なにも足りていないとしか言い様がない。それにね。そこが自分で解る様だったら、崇秀さんの満足を得るには、相当足りてないと思うんだけど……どう思う?」


そうかぁ、そう言う事かぁ。


こういう言い方をされれば『眞子が、俺の悩みに共感できる』って言った意味も解らなくはないよな。


だってよぉ、こう言う言い方をしちゃなんなんだが。

確かに、あの崇秀って世界一奇妙奇天烈な生き物は、奈緒さん以上に理解不能な生き物な上に規格外の化物。


ハッキリ言っちまえば、その規格外っぷりは、奈緒さん処の騒ぎじゃねぇもんな。

そんな奴を満足させようと思えば、どうしても今の眞子の努力ですら霞んで見えるって事か。


妙に納得な意見だな。


しかしまぁ、なんだな。

お互い、とんでもねぇ相手を選んだもんだな。

それでも眞子は崇秀の事が好きで仕方が無いから、必至に喰らい付いて行こうとして頑張っていける。


コイツも、大概、強ぇ精神の持ち主だな。



「それって、惚れた弱みって奴か?」

「そぉそぉ、まさに惚れた弱味って奴。惚れちゃったら、恋愛は、最初から負けちゃってるんだよね。そんで、惚れちゃった方は、今の真琴ちゃんみたいに、あれやこれやと、こんがらがっちゃう訳さ」

「なんだそりゃあ?それって、元X-JAPANのhideが書いた【Beauty&Stupid】の歌詞じゃねぇのかよ」

「あぁ、バレちゃった」


ははっ、真顔で、なにを言うのかと思えば。

コイツって、本当に話の持って行き方が上手いよな。


普通、こんな場面で、そんな細かいネタを仕込んでくるか?


まいっちまうな。



「まぁな。hideは、地元が神奈川だからな。此処最近の若い奴なら、ある程度、曲ぐらいは知ってるだろ。けど、なんでオマエ歌詞まで、そんなに詳しく知ってる訳?」

「へっ?あぁ、それはね。崇秀さんが、よく聞くからね。その影響で、自然に憶えちゃったのかなぁ」

「あぁ、そう言やぁ、そうだな。なんかアイツ、hideの曲だけは昔から良く聞いてたな」

「でしょ。……実は、崇秀さんって、hideさんに憧れを持ってたって知ってた?」


はい?

あの馬鹿にも、人に憧れるなんて機能が付いてるのか?


それは初耳だな。

……って言うかな。

それ以前の問題としてアイツ、人に憧れるって意味を、ちゃんとわかって、それを言ってるのか?


どう考えても、傲慢極まりないアイツが、その意味を理解してるとは思えないんだが……



「はい?アイツがか?人に憧れる、だと?」

「そぉそぉ」

「ジミー=ヘンドリックスとか、エリック=クラプトンとか、スティーブ=ヴァイとか世界的に有名な奴じゃなくて、hideにか?」

「そぉだよ。崇秀さんは、hideさんの先進的な技術をドンドン取り入れていく姿勢が好きなんだってさ。それに地元だしね」


この眞子の話からして、どうやら本当に、アイツにも憧れるって機能がついてるみたいだな。


しかしまぁ、これは驚きの新事実だな。

アイツとは小学校一年からの付き合いだが、そんな片鱗すら見た事が無かったので、正直この話にはビビったわ。



「ほぉ、意外だな。因みにだけどよぉ。その他にも逸話とかあんのか?」

「あるよぉ。hideさん関連の話で言うなら、崇秀さんのギターの起源の話がね」

「ほぉ、して、それって、どんな話なんだ?」


なんか、こうやって眞子と無駄話をしてるだけで、奈緒さんに対する過度のプレッシャーがドンドンと納まって行ってるのが良く解る。


実際、廊下に出て来た直後に比べれば、大分、気が楽になってきた気がするしな。

恐らく此処は、同じ苦労をしてる奴が、目の前で楽しそうに話ながら、自分の努力すら楽しんでるからなのかも知れない。


まぁこの辺りについては、真上さんの様に真面目に受け答えしてくれるんじゃなくて、眞子みたいに気楽に話をしてくれるからこそ、こういう感じに成ってるのかもしれないがな。


だから、此処から言える事は『その場、その場に有った相談相手ってモノが、世の中には存在する』もんなんだと実感せざるを得ない。


あぁ但しだな。

真上さんが、相談相手としてダメだなんて事は微塵も思ってねぇぞ。

あの人の何事に対してでも真摯に受け止める気持ちには、俺は何度も救われてるからな。


ただ単に、今回は「眞子の方が相談相手としては向いてた」ってだけの話がしたいだけだからな。


此処だけは、絶対に履き違えちゃイカンぞ!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


自身が悩んでいる時には、的確な相手に相談する事が重要だったりするんですね。

この選別によって、例え、それが同じ回答を言ってくれていても、今の倉津君の様に自身の捉え方が全然違ってくるものなので。


……っで、今回は、真上さんより、眞子の方がよかった、ってだけの話です(笑)


さてさて、そんな中。

眞子と話すうちに、やや奈緒さんへのプレッシャーが収まってきた倉津君なのですが。

此処に来て「崇秀のギターの起源」なる怪しげなキーワードが出てきましたね。


果たして、これは、なんなのか?


次回はその辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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