1232 私は良いに決まってるじゃない、だって……
倉津君の悩みを聞いてくれていた真上さんだったが。
眞子に「時には、誰にも相談せずに一人で解決したい時もある」っと言われ。
ある程度は納得の上で、その場を後にしてくれた。
だが、その意見に反して眞子は、何故か、まだ倉津君の傍に居続けてくれているのだが……何故に?
***
「ホントだよな。……あんなお人好しな人、中々居ないよな」
「だね。本当に真上さんは、お人よしだよ」
この言い分からして。
恐らく眞子は、奈緒さんの件で凹んでいる俺にも、沢山の良い友達が居て、いつも助けてくれていると示唆したいのだろう。
俺が、決して1人じゃないって事を……
けどな。
そんな事ぐらいなら、もぉとっくの昔に解ってるつぅの。
まったく、大概、オマエのお節介な女だな。
「おぉ、眞子。それはそうと、俺の事なんかより、オマエ、ライブの方は良いのかよ?」
「うん。そこは、心配御無用」
「そうなんか?」
「うん。なんてったって、私の出番は後半戦のアンコール4曲だけにして貰ってるからね。まだまだ時間には余裕が有るよ」
「あぁ、そうなんだな。けどよぉ、真上さんには『お節介するな』って断言した割には、オマエが、俺に、お節介してて良いのかよ?」
「はい?なに言ってんの?私は良いに決まってるじゃない」
「なんでだよ?なんで、オマエだけ良いんだよ?」
「うん?だって、真琴ちゃんと、私は、元々1人の人間なんだからね。真琴ちゃんが、私と話をしてても独り言を言ってるのと同じなんじゃないの?だから、こう言った場合であっても、お互いに遠慮はイラナイ訳……解る?」
ははっ……そう来るか。
しかしまぁオマエさんは、相も変わらず、面白い発想をする奴だな。
今の俺と、オマエじゃあ、全くの別人格だって言っても過言じゃねぇってのによぉ。
現状でもオマエは、そう言う風に言ってくれるんだな。
まったくよぉ。
「ハァ……つくづく変な奴だな、オマエって」
「でしょ。……っで、真琴ちゃんは、奈緒ネェの、なにで悩んでる訳?ってか、この状況じゃあ、さっき言った『あれ』しかないか」
「まぁな。この現状じゃあ、悩む事なんて限られてるからな。それしかねぇわな」
結局、眞子に上手く乗せれられてベラベラと自身の悩みを打ち明けちまってるな。
これじゃあ、なんも1人じゃ解決出来てねぇ。
けど……なんでかな?
特別、気楽なんだよな、眞子は。
「だよね。じゃあ、答えは簡単だよ」
「どうせ『そんなもんは気にしなきゃ良い』って言うんだろ。幾ら俺が馬鹿でも、それぐらいは、もぉとっくの昔に解ってんだよ。問題は、そこじゃねぇんだよ」
「だよね。此処の答えが解って無い程、真琴ちゃんは間抜けじゃないもんね」
「まぁな。けど、オマエ、そこも解ってるんだな」
「当然でしょ。伊達に14年間も一緒に過ごしてないよ」
だな。
そこも言い得て妙だな。
あぁ、って言うか。
これこそが眞子を、特別気楽だと思う理由なのかもしれないな。
眞子は良くも悪くも、俺と14年間一緒に暮らして来た存在。
だからこそ俺が悩むポイントや、今、どうして欲しいかと言う部分を、よく理解してくれてると解っているからこそ、余計に気楽に感じるのかもしれない。
ブッチャケ、俺の全てを知ってくれてると言うアドバンテージもあるから。
話し始めたら、恥も外聞もなく話せるのかもしれねぇしな。
「かもな」
「っで、その質問の更なる答えが、ヤッパリ『気にしなくて良い』なんだけど。この意味の違い解る?」
「まぁ、解んなくもねぇ意見だけどな。なにも確証を得ていない以上、その意見は微妙だな」
「それって、奈緒ネェを疑ってるの?」
「まさかな。俺は、奈緒さんを疑う様な真似は、絶対にしねぇ。あの人も間違いなく『気にしなくて良い』って思ってるだろうしな。けど、だからこそ俺が言いたいのは、そうなった場合の奈緒さんの世間体の問題だ」
「そっか。やっぱ、そこかぁ。でも、結局は、そこの答えも『気にしなくて良い』だよ。奈緒ネェは、そんなもの、初めから、なにも気にしてないからね」
まぁな。
そこも重々承知してるんだけどな。
だからってよぉ。
いつまでも、その奈緒さんの気持ちに甘えてばかり居るって訳にもいかねぇだろうに。
故に、無い頭を悩ませてる訳だ。
まぁ……この程度の事なら、言わずともコイツの事だから解ってると思うけどな。
「知ってる。けど、だからこそ悩んでるんじゃねぇかよ。そんな奈緒さんに迷惑掛ける訳にもイカネェだろ」
「そうだね。……でもね。真琴ちゃんと別れるのが、奈緒ネェにとっては一番の不幸だよ。そこだけは、絶対に履き違えちゃダメだよ」
「だな。けどなぁ。俺と、今の奈緒さんじゃあ、今現在、釣り合ってねぇのも現実だろ。……こりゃあ、どうしたもんかなって話だ」
「そうだね。だったら、そこは、今の自分を目一杯追い込んででも、必至に喰らい付くしかないんじゃないかな。それしか明確な道はないよ」
「まぁなぁ。ホント、そうなんだけどな」
「けどね。私も、真琴ちゃんの、その納得出来てない気持ちも解んなくもないよ」
うん?
そんな風に順風満帆な人生を送ってるオマエが。
なんで俺の、こんなチッポケな悩みに共感出来るんだよ?
寧ろ、誰もが羨む様な人生を歩んでるんだから、そんな事で悩む部分なんてねぇ筈なんだがな……
流石に姉弟とは言え、この意見だけは訳がわかんねぇな。
なんでそうなる?
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
倉津君と眞子は、元々が一緒の人間だから『悩みを聞いても独り言を言ってるに過ぎない』っと言う無茶苦茶な理論の元、倉津君の悩みを聞きながらも、慰めてくれてる訳なのですが。
本編でも言いました様に、眞子は、誰よりも倉津君の事を知り尽くしているからこそ。
倉津君も、この眞子の無茶苦茶な理論も自然に受け入れられるのかもしれませんね(笑)
さてさて、そんな中。
眞子が言い放った『倉津君と私は同じ悩みを持ってる』っと言うのは、一体、どういう意味なんでしょうね?
まぁまぁ、此処はある程度なら予測出来る所だとは思うのですが。
次回は、その辺の理由を書いて行こうと思いますので。
良かったら、またお付き合い下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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