1226 ステラとチビ太

 鮫島さんと桜井さんが職場放棄をかましてた件は、飯綱ちゃんによって解決。

そんな彼女を見たステラさんが、なにか興味ありげに……


***


「プッ!!オッサン、ポンコツって呼ばれとおる。まんまの渾名やね」

「やかましいわ!!そうやって人の渾名を笑うな」

「はぁ?渾名じゃありませんよ。それはアナタの固有名詞ですが」


酷ぇ。


けどなぁ。

俺の固有名詞は、倉津真琴ですぅ~~~!!

決してポンコツなんて固有名詞じゃありませ~~ん!!



「本名、倉津=ポンコツ=真琴って。ミドルネームが有るみたいやけど、このオッサンなに人なん?」

「それは人じゃありませんよ。見ての通りの産業廃棄物ですが」

「ははっ、なんやなんや?人とすら認識されてないんかいな」

「そうですよ。それに、どうやったら、この物体を、人として認識出来ると言うのですか?あまり無理を言わないで下さい」

「あぁ、ホンマやね。綺麗なお姉さんの言う通りやわ」

「早期の、ご承認感謝します」

「なんの、なんの」


オマエ等なぁ……なにを瞬時に意気投合してやがるんだよ!!


つぅかよぉ!!口が悪い者同士が、下手に意気投合すんじゃねぇよ!!

今以上に、俺が居た堪れない立場になるじゃねぇかよ!!


……最悪だよコイツ等。



「なぁなぁ、ポンコツのオッサン」

「こらこらチビ太。それはステラ専用の俺の渾名だ。気安く使うな」

「あぁ、この綺麗なお姉さん、ステラさん言うの?ウチは飯綱神楽ね。宜しゅうな」

「コチラこそ。私は、ステラ=ヴァイ。宜しく」

「ふざけんなよ!!俺の意見を無視すんな!!」

「……うん?いや、ちょっと待ちや。ステラって言うたら、全米3位のGUILDランカーちゃうのん?」


がっ!!

無視された事よりよぉ。

チビ太の奴、そんな事まで、よく知ってやがるな。


なんだコイツ?



「そうですね。……ですが飯綱さんも、何処かで名前に聴き覚えがあると思ったのですが。貴女は確か、シアトルで行なわれた3on3の大会で、眞子と共に優勝された方だと認識しているのですが。それで間違い有りませんか?」

「あぁ、昔、そんな事も有ったねぇ。そんなん、賞金以外はスッカリ忘れとったわ」


うへっ!!

チビ太のクセに、コイツって、そんなに凄い奴だったのか?


これも知らんかった。

俺としては、ただの口が悪いだけのチビだと思ってたんだが、どうやらそうではなく。

このミクロな身長なのに、大会で優勝する位バスケが上手いらしい。


スゲェな、ミクロウーマン!!



「飯綱さん。アナタ、中々良い感じですね」

「そうかぁ?」

「えぇ。過去に栄光に囚われない姿勢。とても好感が持てますよ」

「ホンマ?もしホンマやったら、ありがとうな。ウチも、そのランクを傘に着いひん、ステラ姉ちゃんの性格好きやで」

「そうですか」

「うん、そやで。そやからウチと友達になって。ウチなぁ、向上心の高い人、メッチャ好きやから。それに綺麗な人も好きやし」

「良いですよ。私も、アナタの様な性格の女性は嫌いじゃありませんから」

「ほな、今、この瞬間から友達な」

「了承しました」


なにこれ?なんの青春ドラマだよ?


此処には、仲を取り持つ様な熱血先生は居ねぇってのに……なんでこんな展開に?



「うん。ほんだら、ウチの事は呼び捨てでえぇよ。~さん付けは気持ち悪いから」

「そうですか。では、私の事も、お好きにお呼び下さい」

「うん。ほんだら、ステラ姉ちゃんのままでもえぇねんな」

「御自由に」

「ふふっ。また大物が釣れた。ほんま、眞子と、オッサンに出会ってから、えぇ感じやわ」

「飯綱。本音が、口から垂れ流しになってますよ」

「ふふっ、ホンマやね」


……ヤベェ。


仲が良いのは非常に良い事だが、この2人がつるむと言う事はだな。

口の悪さが相乗効果で、俺に対するダメージが通常の倍以上になるじゃんかよ。


その上、此処に、悪乗り大好き女王である奈緒さんが加わったら、完璧なまでの『最強の悪口集団』じゃねぇかよ。


被害が確実に拡大した上に、俺が尋常じゃない被害を被る事に成るからヤメレ。


真上さん助けちくり!!

(↑自分の彼女が含まれてるので、心のオアシス真上さんに助けを求める俺)



「まぁ、お互いの自己紹介も終わった事ですし。そろそろ奈緒のライブに行きましょうか」

「そやね。奈緒姉ちゃんの晴れ舞台。一緒に観よか」

「そうですね。それも悪くないですね」


あれ?なんで俺を、この場に放置して、2人で仲良く行っちゃう訳ですかいのぉ?


ちょ!!俺も仲間に入れちくり!!


***


 ……っとまぁ、なんとも納得いかない状況のまま。

2人の後を追いかけて、この後、奈緒さんの楽屋に行ったんだが、楽屋の中は、既に、著名人で、いっぱいに成っており。

奈緒さんとは一言も話す事が出来無いまま、トボトボと会場の方に向かって行く羽目に成った。


そんでステラと、チビ太は、何故か意気投合したまま、俺とは少し離れた場所で隣同士の席に座る事と相成った。


けど、此処で朗報が1つだ!!


チビ太が、ステラの横に座ったから。

なんと俺の横には、真上さんが座ってくれる予定になったんだよな。


これは、不幸続きの俺に与えてくれた『神の恩恵』ですかな?


それとも実は……誰かの思惑が入り混じった『悪魔の悪戯』なのかも知れないがな。



……それは神のみぞ知る世界だ。



***


 まぁまぁ、それは、それとしてもだな。

奈緒さんのライブ……いつ始まるんだろうな?


今回こそは始まると思ったのに、結局、始まらなかったからな。


ホント、いつ始まるんだろうな?


***



次回予告。


キョロ、キョロ。

どうやら、ティンダロスの猟犬事、眞子は居ねぇみたいだな。

……って事は、まずは今回、俺の単独視点完全制覇と言う訳だな。


よっしゃ、ヤリィ!!



そんな訳で次回は……


『⑤Well Come to Special-Live【Nao with GREED-LUMP②】』

「⑤ライブにようこそ【奈緒グリ編②】」


俺の単独視点で2回制覇してやんぜ!!


活目せよ!!


まぁ……そうは言っても、メインは奈緒さんの凱旋ライブなんだけどな。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>

これにて第一章・第七十三話【Nao with GREED-LUMP①(奈緒グリライブ本編①)】はお仕舞に成るのですが如何でしたでしょうか?


まぁ、奈緒さんのライブと銘打ってる割に、ほぼ今回の七十三話は、ライブ前の倉津君の状況をお伝えする事に成ったので「やや変な話だなぁ」っと思われたかもしれませんね(笑)


いやはやいやはや。


まぁでも、これもまたライブ前の交流と思って頂ければ有り難いですがね。


そしてその中で新しく芽生えた友人関係。


本来友人関係に成るには、少しお互いを知る為の時間と言うものが必要な場合が多いのですが。

洞察力の優れた人間達ならば、少し相手の言動を見ただけで、その辺の判断も出来てしまうので、ステラさんと飯綱ちゃんは即座に友人関係が結べたみたいです(笑)


……っと言うより。

倉津君に対する認識がよく似ていたからこそ、意気投合したのかもしれませんがね(笑)


さてさて、そんな中。

次回から始まる第一章・第七十四話『⑤Well Come to Special-Live【Nao with GREED-LUMP②(⑤ライブにようこそ【奈緒グリ編②】)

では、とうとう奈緒グリのライブが始まるのですが。


一体、どの様な内容が飛び出すのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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