1223 俺の優れてる面って……なんだ?

 ステラさんと話してる中。

彼女の著しい精神的な成長を耳にして、またしても自分だけが取り残された気分に成って凹む倉津君。


だが、そんな倉津君を見て、ステラさんは……


***


「間抜けですね」

「はい?なんでだよ?」

「心配しなくても、真琴は、なにも取り残されてなんて居ませんよ」

「へっ?」

「どちらかと言えば、私が、ポンコツに少し追い付いただけに過ぎませんから」

「はぁ?なんだそりゃあ?意味がわかんねぇぞ」


ステラは、一体なんの話をしてるんだ?


大体にして俺……コイツに勝てる要素なんて元々なんにも無いぞ。

そんな俺の何に追い付いたって言うんだ?



「まぁ、真琴は、当の本人ですので少々解り難いのかも知れませんが。元々真琴は、私なんかより、かなり先を行っていた人間だったんですよ」

「はぁ?どこがだよ?俺なんか、みんなに迷惑を掛けるか、世話に成るバッカの存在じゃんかよ。それのどこが先に行ってるって言うんだよ?」

「そうですね。確かに、その辺りについてはゴミクズ以下の精神ですが、それでもアナタの周りには人が集まってきた。……何故だと思いますか?」


んな事を言われてもだな。


こう言った事で思い付く点があるとすれば一点だけだな。

コイツ等に無くて、俺に有るものと言えば、これしかねぇもんな。



「アホで、面白い生き物だからか?」

「その通りですね。それで正解です。よく解りましたね」

「ブッ!!なんだそりゃあ?自分で言って置いてなんだが、それじゃあ、ただのダメ人間じゃんかよ」


なんだそりゃあ?


つぅか、ピエロか俺は!!

若しくは『笑い袋』成らぬ『笑われ袋』か、なんかの類かよ!!


まったくもって嫌な立ち位置だな。



「そうですね。確かに真琴は救い様の無いダメ人間ですね。ですが、ただのダメ人間じゃないからこそ、そんな真琴の周りには、人が興味を引いて集まって来たのも現実なんじゃないんですか?」

「いや……それってよぉ」

「そう言う事ですよ。真琴が当たり前の様に我々に接してくれたからこそ、私達は、真琴に好意を持った。故にポンコツには、精神的に助けられた人間は多い筈。これこそが、私達より、真琴が先を行っていると言わしめる要因ですね」


いや……だからよぉ。

前々から言おうと思ってたんだが、人が人に接する事って極当たり前の事なんじゃねぇの?


特に俺なんてよぉ。

生まれた時から『ヤクザの糞餓鬼』って言う欲しくもない無駄な肩書きがあるから、他人に嫌悪される事が多いじゃんか。


だから俺は敢えて、他人に、それをしないだけの事であって、そこに特別な感情はねぇんだけどな。


こんな些細な事が、そんなに貴重な事か?


訳わかんねぇな。



「ふ~~ん。そんな当たり前の事が、他人を助ける事も有るもんなんだな」

「本当に……無意識なんですか?」

「いや、無意識つぅか。普通に考えてもよぉ。みんなと仲良くやりてぇじゃん。だから俺としてはよぉ、話しかけてくれた人には、出来る限り、普通に接してるだけなんだがな。特に、その辺を意識した事はねぇな」

「驚くべき人ですね」

「なんでぇ?」

「いえ。普通、私の様な変わり者は、あまり好かない傾向にあるものなんじゃありませんか?関わりたくないと思いますが」


はぁ?なに言ってんだオマエ?


馬鹿じゃねぇの?



「いいや。俺は個人的にも、ステラみたいな奴は好きだぞ。だから、嫌う理由なんて微塵もねぇじゃんかよ。なに言ってんだオマエ?」

「そっ、そうですか」

「あぁ、そうだな。なんもねぇな」


ホント、訳わかんねぇな。


まぁつってもな。

流石に初対面の時の態度にはムカついたから、何度殴ろうかと思った事か、わかんねぇけどな。


それでもな。

今は、そこを我慢して、本当に良かったと思ってるぞ。


まぁ口が悪いから、どうしても、そうやって誤解される部分があるんだが。

それもステラの性格を理解してやる事が出来れば、単なるコミュニケーションの一環でしかなくなるし。

なによりそんな風に口が悪い事を前提に話が出来る分、お互いが言いたい事を好きなだけ言い合える仲にもなれる。


そんな異性なんてものは、極稀にしか存在しない貴重な人材。

しかもその上、美人で性格が良いと来たら……もぉ嫌う理由なんて、何処にもねぇじゃん。


故に俺は、オマエみたいな奴が好きだぞ。

寧ろ、一生仲良くしたい存在だと思ってるぐらいだ。


まぁ……この辺を、オマエがどう思ってるのかは知らねぇけどな。



「くすっ……本当に、アナタは変わり者ですね」

「アホか。オマエだけには言われたかねぇわ」


ホント、こうやって、俺みたいなダメ人間と遊んでくれるなんてよぉ。


オマエにだけは言われたくねぇわ。


変わり者はオマエの方だつぅの。



「クスッ……本当にそうですね。そうかも知れませんね」

「だろ」


なんか無垢な笑顔で、納得しやがったよ。


まぁ良いけどな。

こちら側も、こうやってステラと話しているだけで、さっきまでの劣等感が薄れて行ってる様な気がするし。


ホント、ステラとの会話はいつもいつも癒されるわ。


あぁ因みになんだけどな。

今もこうやってステラと話ながらだがな。

鮫島と、国見のオッサンの甥っ子の代役は、ちゃんと果たしてるんだぞ。


ただ、もぉ来場者がある程度ドームに入り切ってるし、顔見知りが多いからチェックする必要がねぇから暇なんだわ。


そんな中。



「……それはそうと真琴」

「うん?なんだよ?」

「前回お逢いした時に1つ疑問に思った事が有るのですが。その辺をお聞きして宜しいですか?」

「おぉ、構わねぇよ。なんだよ?なんでも聞いてくれ」


おっ……また、話の転換期だな。


今度は、なんの話だ?



「いえ、これは前々から気に成っていた事なのですが」

「おぅ」

「……眞子と、真琴は、本当に親戚なんですか?」


がっ……何を聞いてくるのかと思ったら、敢えて、今、そこの話かよ!!


これは少々厄介な話に突っ込まれたもんだな。


しかしまぁ、相も変わらず、鋭い洞察力をしてやがるし、良い勘してやがるな。

ステラの奴、一体、どこで、そう思いやがったんだ?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


倉津君はアホで、ポンコツで、妹の誕生日すら忘れる様なダメ人間な部分が沢山あるのですが。

それでもステラさんの言う通り、お人好しな部分が前面に押し出され。

ステラさんだけに留まらず、嶋田さんや、遠藤さん、それにfishの面々やクラスメイト達等々、多くの助けられた人が居るのも事実。


それを無意識の内にやっているのだから、ステラさんが「自分達より先に行ってる人間」だと称するのも、あながち間違いではないと思います。


まぁ、そうは言っても、自分の生い立ちを嘆いて荒れてた時期には散々悪事も働いましたので、完全に「先に行ってる人間」とは言い切れない所ではあるのですが。

それでも、それ等の悪事を差し引いても、此処最近の行動は称賛に価すると思いますので、そろそろその悪事分も清算出来てきてるのではないでしょうか。


そぉ……そして、これこそが「少しづつでも倉津君が更生してる証」


以前に書いた桜井さんの件でもそうなのですが。

どんなに酷い屑であっても、心の中に良心を持ってるものなので、それを引き出してあげる事が更生の切っ掛けに成る事もあるもんなんですよ。

それで、少しづつでも、その屑が変わっていければ、まだまだ更生は可能だと私は考えて、この物語を綴り続けさせて頂いておる次第でございます。


最初期の頃から『屑の更生には時間がかかる』っと言い続けてるのは、こういう意味でもあったんですね。


さてさて、そんな中。

次に出題された問題は『倉津君と眞子が似てる問題』


この問題を倉津君は、鋭いステラさん相手に、どう切り抜けて行くのでしょうか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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