1220 そうか!!そう言う事か!!

 鮫島さんと桜井さんが帰って来ない中、続々と知り合いが訪れて来るのだが。

そんな中、ステラさんがやけに遅くやって来たので『なんでなんだ?』と尋ねてみたら。

遅くなった理由は「真菜ちゃんの服を買いに行ってた」と言う。


倉津君再び「はぁ?なんのこっちゃ?」


***


「はい?なんでオマエが、真菜の服を?」

「あぁ、いえ。これも大層な話ではないんですがね。この間、真菜が着ていた服装は、明らかに眞子がチョイスしたものだった様な気がして。……ただそれだけの事ですが」

「まぁ、そうだな。それは間違になく正解だな。けど、それが、なんでオマエが真菜の服を買ってやる理由になるんだ?」

「解りませんかポンコツ?」

「あぁ、全く解らんな」


解る?


わかんねぇよな。


……って言うかな。

似合う似合わないを肌で感じたぐらいで、普通は、誰かに服を買ってあげようって感覚に成るか?


普通ならならねぇよな?



「酷いボケですね」

「はぁ?だから、なんでだよ?」

「はぁ……本当に、なんの目星も付かないんですか?」

「あぁ、悪ぃが、皆目見当も付かんな」

「ハァ……良いですか真琴?本来なら、話すのも煩わしい話なんですが。あの現場で、真菜が着ていた服は、明らかに眞子のものです。それ=真菜が、普段着をあまり持っていないと言う証拠になるんじゃないんですか?違いますか?」

「まぁ、そうだな」

「それに付け加えてですね。あの服は、眞子が着る事を想定して買われているもの。真菜には、少々無理が有るんですよ」


うん?そうなんか?


そんな事はねぇだろ。

贔屓目で見なくても、アイツ、結構、似合ってたと思うんだがなぁ。


それとも同性同士だと、なにか些細な事でも感じる処でも有るんかいのぉ?


まぁ、仮にそうだとしてもだな。

やっぱり、そんなもんじゃあ、真菜の服を、オマエが買ってやる理由にはならなくねぇか?


未だに、なんかその辺に違和感を感じるな。



「だとしてもよぉ。オマエが買ってやる理由にはなんねぇだろ」

「相も変らず、脳味噌が散歩に行ったまま、帰って来られていないんですね」

「なんでだよ?これって、結構、至極まっとうな意見だと思うんだがな」

「はぁ……これだけ言っても、本当の、本当にまだ解らないんですか?」

「皆目わからん。さっぱりわ~や~」


解らんものは、なにを言われても解らん。

それが世の中の理と言うものだ。


……っで、結局の所、なんでなんだ?



「12月4日。明日は、真菜の誕生日なんじゃないんですか?それとも私が間違ってますか?」


うん?


うっ、うん?


あっ……あぁああぁぁぁあぁぁぁ~~~!!


そうか、そう言う事かぁ!!

そう言う事なら、ステラが真菜に服を買ってくれてる理由も正当なものに成るな。


いや寧ろ、なんてありがたい事なんだ。


けど、それだけに俺の無様さが浮き彫りに……



「あっ、あれ?……おっ、おっ、おぉ!!そうだな!!確かに、そう言われてみればそうだな」

「はぁ……今頃、自身の妹の誕生日に気付くなんて、本当に貴方は軽蔑すべき最低さですね」


……ですな。


受験勉強で忙しかったとは言え。

自分の妹の誕生日を忘れてたんじゃ、軽蔑されても、しょうがねぇわな。


完全にボケとりましたわ。



「まったく、どういう神経で生きていれば、そんな無様な真似が出来るんですか?親族の誕生日を忘れるなんて、ゴミ同然の神経ですね。それとも脳の記憶媒体である海馬をオークションにでも出品して、誰かに落札されたんですか?」

「まぁ、そうだな。そう言われても、此処も反論の余地もねぇな。……けどよぉ。なんでオマエが、真菜の誕生日を知ってるんだよ?」

「先日のカラオケの際に、眞子が言いふらしてましたが」


なるほど。

この真相には、そう言う隠された真実があった訳だな……


名探偵のオィちゃんも驚きの事実でしたぞ。


けどまぁ、如何にもアイツなら、平気でやりそうな案件だな。

眞子の奴、毎度毎度、馬鹿みたいに真菜を猫可愛がりしてるもんな。



「あぁっ、そッスか。それで漸く、全てが納得いきやしたよ」

「当然ですね。これで納得出来無ければ、アナタは正真正銘のクズですからね」

「まぁ、そう言ってくれるな。俺にも、真菜の誕生日を忘れる程の事情が色々あんだよ」


勿論、そうは言って見たものの。

受験勉強以外の言い訳なんぞ、なにもないんだがな。


要するに、オマエの言う通り俺は、単なるボケただけのクズな兄貴な訳だ。



「まぁ、事情と言っても、聞くにも及ばない様なゴミ同然な些細な事情でしょうけどね」

「言い得て妙だな。……しかしまぁ、まだ真菜との面識も浅いってのに、ワザワザプレゼントを買って来てくれてるなんて、なんか悪いな」

「脳味噌が酷く病んでる、哀れなポンコツが気にする事では有りませんよ。そんな無用な気遣いを私にする暇が有るんだったら、少しは真菜を喜ばせるぐらいの事はしてあげては、如何なもんですか?本当に情けない兄ですね」

「ですな。全く持って、その通りでございますな」


しかしまぁ、そうなると、どうしたもんだ?

ウチの妹である真菜が喜ぶ事って、一体、なんなんだろうな?


なにをすりゃあ、アイツは喜ぶんだ?


昏睡から生還を遂げてからと言うもの。

眞子との一件以外、アイツとは殆ど喋ってなかったから、その辺についてもなんもわからんからなぁ。


そう考えると、身内の喜ぶ事って、意外と難しいもんだな。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


賢明な読者の方なら、お気付きに成った方も多いとは思うのですが。

倉津君は気付く事なく、またしても「タイムリーエラー」のスキルを発動してしまいましたね(笑)

(タイムリエラ―:重大な場面に成れば成程、ポカをする技能(笑))


折角、自分で気付くチャンスを与える為に、ステラさんが何度も何度も遠回しに言ってくれたと言うのに、最後の最後まで気付かないと言う、この体たらく。


本当にこの男だけは……


まぁ言うて倉津君自身、あまりマルチタスクが得意な人間ではないので、これは仕方がない事なのかもしれませんがね。

人間には、得手不得手ってものがある事ですし。


さてさて、そんな中。

漸く、ステラさんが真菜ちゃんの服を買って来てくれた理由は解かったものの。

今度は、なにを真菜ちゃんにプレゼントしたら喜ぶかを悩み始めた倉津君。


果たして、その答えは出るのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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