1214 ヤベェ、知り合いが来ちまった
真上さんと飯綱ちゃんを、奈緒さんの元に届ける為。
嫌々ながらも、少しの間、鮫島さんと桜井さんの警備の交代してあげた倉津君だったのだが……
***
……鮫と国見のオッサンの甥っ子の仕事を、少しの間、変ってやる約束をしてから、約20分経過。
「はい、どうぞ。通って下さい。……あぁ、すみません。入館許可書の提示をお願いします」
っとまぁ、こんな風に、真面目に警備員の仕事をしてる訳なんだがな。
なぁ……なぁなぁ……なぁ。
なんでアイツ等、待てど暮らせど、いつまで経っても戻って来ないんだ?
それに、なんで俺は、いつまでも、こんな所で入館許可書の確認をしてるんだ?
これ、あまりにもおかしくねぇか?
いや、まぁ、そりゃあな。
確かに俺は家が家なだけに、偽造とは言え、ちゃんと警備員の資格は持ってるよ。
だから、此処で警備をしてても、特に問題がある訳じゃねぇんだけど。
……これって、なんか違わねぇか?
俺さぁ、此処には、奈緒さんに逢いに来ただけじゃなかったっけ?
訳わかんねぇ。
なんて愚痴を零しながらも、渋々業務を全うしていたら……
「あっ、浩ちゃん!!後輩さんが、あんな所に居るよ」
「うん?あぁ、本当だね。けど、向井さんのライブの日に、倉津君は、あんな所でなにをやってるんだろうね?」
「さぁ。椿、馬鹿だから解らないね」
「そうだね。この状況で解る訳ないよね。……じゃあ、直接、本人に聞いてみようか」
「うんうん。そうだね」
「倉津君?」
「こんにちわ、後輩さん」
ブッ!!
誰が声を掛けてきたのかと思ったら、嶋田さんと、椿さんじゃないッスか!!
しかしまぁ……これは不味い所を見られたなぁ。
つぅのもな。
なんでも、そうなんだけど、なにをするにも信用ってもんが大切じゃん。
特に警備員の仕事ってのは、お互いの信用関係が物を言う商売でもある訳じゃん。
だから、こう言う事って、本当は無断でやっちゃイケネェんだよなぁ。
まいったなぁ。
バレたら、アイツ等がクビになりかねないしなぁ。
どうしたもんだ?
「うん?あぁ、嶋田さんに、椿さんじゃないッスか。お疲れ様ッス」
「あぁ、うん。お疲れ様。……って言うか、それは良いんだけど。倉津君、こんな所でなにをやってるんだい?」
うぉ!!
なんのひねり無しに、イキナリ核心にのみ迫ってきた質問ッスね。
まさに、ボケもツッコミもなしの状態。
う~~~ん、これは困った。
話をしてる間に言い訳を考えようとしてたんだが、これじゃあ、考える間もないな。
だったら……
「あぁ、いや、あれッスよ。ウチの知り合いが、此処で警備のバイトをやってるんッスけどね。俺が来た時に、トイレを我慢してたみたいだったんで、ちょっとだけ替わってやってるんッスよ」
またしてもトイレをネタを言い訳にしてるな。
つぅか俺って、言い訳する時、必ずと言って良いほど最初に出て来るののがトイレネタなんだよな。
なんか発想が子供染みてて、悲しいな。
これじゃあ『ウンコ・チンコ・オッパイ』って喜んで言ってる小学生低学年と変わんねぇもんな。
コロコロコミックか、コミックボンボンのレベルだな。
「あぁ、そうなんだ。けど、そんな事を勝手にして良いのかい?」
「あぁ、大丈夫ッスよ。俺、こう見えても、一応、警備員の資格とか、ちゃんと所持してるんで。基本的な部分では、なんの問題もないッスよ」
「あぁ凄い、凄い!!後輩さん、警備員さんの資格持ってるんだぁ。椿にも見せて、見せて」
「別に良いッスよ」
ふふふ……実は、ちゃんと財布の中に入ってたりするんだよな。
だから此処は、資格書を財布から出しさえすれば、なんの問題はなしだ。
その辺の抜かり無しッスよ。
(↑ただ入れっ放しにしてるだけのクセに偉そうな俺)
但し、どこまで行っても偽造なので、見せるのは『証明部分』と『写真の部分』だけ。
名前や住所、生年月日なんかは、上手く隠しとかなきゃな、色々と不味い事に成りかねないからな。
(因みに、警備の仕事が出来るのは18歳からです(笑))
「はい、どうぞ」
「あぁ、本当だ!!後輩さん凄い、凄い!!立派な警備員さんだね。……でも、後輩さん、なんか凄く怖い顔で写真に写ってるね。椿、ちょっと怖い」
ちょっとバレないかドキドキしてたんだが、椿さんの目はそこに行ったんッスね(笑)
「あぁ、すんません。なんか写真撮られるのって、どうにも慣れないもんで、無駄に緊張するんッスよね。だから、いつも、こんな風に成っちゃうんッスよ」
「解るよ、解るよ。写真撮られるのって、いっぱい緊張するもんね。……でも、後輩さんのは特別怖いね」
うん……確かに仰る通りですな。
誰がどう見ても、ただの厳つくて怖い顔してますな。
つぅか多分、これを撮った時って。
眠たくて死にそうだった時に、親父に無理矢理写真を撮りに行かされて非常に不機嫌な状態だったから、特に人相が悪いんッスよね。
しかしまぁ、自分で見ても、犯罪者レベルの極悪な顔だな。
これじゃあ寧ろ、ポリボックスの横に指名手配犯と一緒に並んで張ってあっても、なんの違和感もねぇな。
「コラ、椿。失礼な事を言っちゃダメだろ」
「えっ?あぁ、後輩さん、ごめんなさい」
「あぁ良いんッス、良いんッス。なんも気にしてないッスから」
現実だからな。
「いや、ホント悪いね」
「あぁ、ホント気にしてないッスから」
迷う事無き、現実だからな。
しくしく。
現実とは言え。
そんなに写真の話で何度も丁寧に謝られたら、逆に凹んでしまうわ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
鮫ちゃんと桜井さん、まだ帰って来ないみたいですね。
高々、奈緒さんの元に連れて行ってるだけなのに、なにやってんでしょうね、あの2人は(笑)
しかも、その間に倉津君が、とうとう知り合いにあってしまう始末。
まぁ、強引な言い訳と、自身の資格書に写った写真で、なんとか誤魔化せたみたいですが。
それによりダメージを受けたので、倉津君にとっては踏んだり蹴ったり……もとい、踏まれたり蹴られたりですね。
さてさて、そんな中。
そうやって、なんとか誤魔化す事にだけは成功した倉津君なのですが。
この後も、少しの間、嶋田さんと椿さんとの会話が続くみたいなのですが、一体、何の話が飛び出すのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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