1213 オイ……何故そうなる?

 職権乱用をかまし、倉津君から、真上さんや飯綱ちゃんとの関係を聞き出そうとする鮫島さん。

しかも彼が気に成っている相手は真上さんではなく、飯綱ちゃんの方だったので……倉津君「( ゚Д゚)ハァ?」


***


なんだコイツ?

ロリコンなのか?ペドフィリアの類の人間なのか?


・・・・・・


あぁいや……違う、そうじゃねぇわ。

奈緒さんの件を含めりゃあ解る事なんだが、鮫は『比較的、身長の低い子が好き』なんだな。


しかもチビ太も、見た目だけで言えば、かなりレベルが高いし。


しかしまぁ、人には色々好みがあるもんだな。

敢えて此処で、真上さんじゃなくて……チビ太とはな。



「そうです、そうです。アナタです」

「そうなん?えぇっと、ウチは飯綱神楽やけど」

「うぉ~~~っ、こんな可憐で可愛い子が、俺の問い掛けに応えてくれた!!つぅかメッチャ可愛い!!」

「はい?なっ、なっ、なに、なんなん、このオッサン?メッチャ気持ち悪いんやけど」


そう言ってやるな。

俺も、あまりの気持ち悪さに、今、世界一ドン引いてる所だからよぉ。


身長が低い子が好きなのは解かるが、流石にこりゃあねぇわ。



「小さくて口が悪いとわ……堪らんなぁ」

「うわ~~~っ、最悪や。気持ち悪い上にホンマ物のMや、ないわぁ」


ホントだな。

誰がどう見ても、ただの気持悪い生き物にしか写らねぇな。


厳ついオッサンのクセに、此処まで可愛い物好きじゃあ、あまりにも悲惨な光景だな。


実際、生で見たら、これはキツイな。



「まぁまぁ、飯綱さん。こんな寒い所に居らず、中の方に、ずずずいっと、どうぞ、どうぞ。わたくし鮫島が、奈緒ちゃんの控え室まで案内致しますので」

「そっ、そぉ……なんや気持ち悪いオッサンやけど。寒いのは、あんまり好きやないから、お願いするわ」

「お任せあれ。不肖鮫島。飯綱さんを、必ずや安全に、奈緒ちゃんの控え室まで案内させて貰います」

「あぁ……そぉ。そんな大層な話やないと思うけど」


ぷっぷっ……あの何事にも物怖じしないチビ太の奴が。

鮫島の、あまりにも気持ち悪さに、顔を引き攣らせてドン引いてやがる。


これはある意味、レアな表情が見れたもんだ。


おもしれ。



「あぁ、じゃあ俺も、真上ちゃんを控え室まで案内するっしょ。良いッスかね、隊長?」

「馬鹿野郎。オマエまで一緒に来たら、此処の警備は、誰がすんだよ」

「えぇ~~~っ、そりゃあないっしょ。此処の警備なら、そこに居る隊長の厳つい知り合いに任せておけば大丈夫っしょ」


はぁ?


……ってか。

オマエ等、なに気持ちの悪い男2人が雁首揃えて、俺の事を見てやがんだよ?


意味わかんねぇし。



「チッ……しょうがねぇなぁ」


オイオイ、なにがしょうがねぇんだ鮫島?

俺は寒いのとか苦手だから、こんな所で突っ立ってるのなんてお断りだぞ。


つぅか、それ以前に、なんで俺が、そんな真似をせにゃ成らんのだ?



「なぁ、アンタ。悪いけどな。俺と、桜井が、このお2人をお送りするまで、此処でちょっと待っててくれねぇか?」

「流石、隊長のツレ。ラッキー!!」


オイこら、ボンクラ!!ラッキーじゃねぇし!!

誰も『此処で待つ』『警備を変ってやる』なんて一言も言ってねぇだろうが!!


自分勝手に都合の良い方向に解釈すな!!


絶対にやんねぇからな!!



「馬鹿かオマエ等?なんで奈緒さんに逢いに来た俺が、そんな真似せにゃならんのだ?そんなもん嫌に決まってんだろ」

「……えぇっと君は、関係者専用の入館許可書を持ってるのか?もし無いなら、残念だが、此処を通す訳にはいかないぞ」


最悪だよコイツ。


職務放棄をした上に。

またしても職権乱用を駆使して、俺を脅してきやがったよ。


有り得ねぇな。



「オマエなぁ……」

「あぁ、だが、どうやら君は【奈緒グリ】の知り合いの様だから、無碍に扱う訳にはいかないなぁ。仕方が無いから、俺が中の人間に頼んで申請して来てやろう」

「あのなぁ……つぅか。じゃあ、その2人も許可書ねぇじゃんかよ」

「あぁ、だからだな。まずは俺と、桜井でだな。このお2人を控え室までお送りしてから、オマエが奈緒グリの知り合いかどうか、奈緒ちゃんに確認を取って来てやるって言ってんだよ」


コイツ……



「アホか?だったら俺も一緒に連れて行けば良いじゃんかよ」

「馬鹿言うな。3人も一辺に面倒を見れるか。故にレディファーストだ」

「がぁ」

「つぅか、頼からよぉ。ちょっとの間だけ待っててくれよ。この可愛い方を送ったら、直ぐに帰って来るからよぉ。頼む」


……ったくもぉ。


まぁつってもあれだよな。

鮫は、いつも奈緒さんの応援をしてくれてる大切な客だし、それに周辺のガードも固めてくれてる。


特に今回に関しては、本人もライブを観たい所を我慢してまで警備をしてくれてる。


故にだ。

偶には、個人的にも良い想いをさせてやっても良いのかもな。


だったら、不本意では有るが……まぁ良いか。


但し、後々問題に成っちゃ不味いから、最低限、オマエの制服の上着だけは貸しとけよ。

流石に私服のまま、警備してたら怪しまれるからな。



「ったくよぉ。1つ『大きな』貸しだからな」

「おぉ!!悪いな」

「ソッチの国見のオッサンとこの甥っ子も、1つ貸しだかんな」

「おぉ!!モチモチ。1つでも、2つでも、幾らでも借りとくっしょ」


あぁ、そうですかい。

はいはい、わかりやしたよ。


まぁ、そんな訳でこの後。

真上さんが、俺と『一緒に待つ』と何度も言ってくれたんだが……繊細な真上さんに風邪でも引かれちゃあ困るから、先に控え室に行ってて貰う事を渋々ながら了承して貰った。


矢張り、真上さんは優しい。


それに比べてチビ太の女郎は、さも当たり前の様な顔をしてサッサと行きやがって……


なにが『ほなバイバイなぁ、オッサン』だ!!

少しは真上さんを見習って、可愛い女の子を演出してみろってんだ!!


このクソチビだけは、絶対に憶えとけよ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


奈緒さんのライブを観に来ただけなのに、何故か警備の仕事をする事に成った倉津君。


人が好いと言うか、なんと言うか、ホントなにやってんでしょうね?(笑)


……っとは言え。

こう言う事を、本当はやっちゃいけないですし。

なにより警備員の仕事は18歳からしか出来ないので、違法も良い所なんですけどね。


ですがご安心ください。

ご都合主義ではなく、ちゃんとその辺も考えてありますので♪


さてさて、そんな中。

渋々ながらも、鮫ちゃんと桜井さんの為に代わりを買って出た倉津君なのですが。


この判断が、どういう結果を生むのか?

そして倉津君は、奈緒さんの控室に行く事が出来るのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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