旧ノワール
運び屋さん*
第1話
■雪稀(黒)だった頃の話(別の世界戦?)
●黒(のわーるnoir)
●師匠・氷(グラスglace)(グラス=ガーディアン)
私
「はぁはぁ…」
暗い森の中、ぼろ布を着た子供が一人よろめきながら歩いている。
私
(眠い…力が…もう殆どない。未だに歩いているのが、不思議なくらいだ…)
私
「ぁっ…」
躓く子供。
私
(しまった…もう限界なのか?……っ?)
私
「獣…それも多数…は、やく…逃げないと。ここも違う…私の居場所…じゃないっ」
衰弱仕切った体をなんとか起こし、また歩む。
獣は、狙いを定めたのか、一目散に子供を追いかける。
子供は、息を荒げながら、走る。
私
「はぁはぁっ!い、いやだ!死ぬのは!もう!」
__がぁうっ!!__
獣が子供の片足にかみつく。
その拍子に子供は倒れ込み、獣を足から引きはがそうと足掻く。
獣の口を両手でつかみ、片足で何度も腹を蹴飛ばした。
私
「はぁ…は…ぁ…」
私
(なんとか引きはがせたが、まずい。血を飲まれた!凶暴化してしまう…)
凶暴化した獣を筆頭に襲いかかってくる
私
「喰われる!」
瞬間子供の目の前をちらつくローブ。
__があっ!__
ローブを着た人間は、獣の首を片手でつかんでいた。
その獣を遠くの木へなぎ払うと、持っていた大きな杖を使い獣の群れに向かって魔法を放った
一瞬のことで動揺していた子供が、その人間が少し振り向く動作をしたとたん我に返る
私
(まずい…こいつはやばい!)
慌てて、後ろに後ずさり、衰弱し怪我を負った片足を引きずりながら逃げる子供。
人間(グラス)
「あ。きみ。」
子供がよろめく。暖かい体温が子供を包む
人間(グラス)
「おっと…危ない。」
私
「離せ!触るな!人は嫌いだ!いやだっ」
ローブ姿の人間はジタバタと暴れる子供をしっかり抱きしめ、子供の顔に手をかざす。
人間(グラス)
「ごめんね。大丈夫だから、少しお休み」
優しい声でそう言われ、意識が遠のく子供。
力が抜けた、その子を抱きかかえ、ローブの男は暗闇に姿を消す。
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暖かい部屋で目を覚ます子供。
柔らかい布団からかすかに香る優しい花の匂いが鼻をくすぐる。
朦朧とした意識の中、状況の整理をする。
私
(森…獣…。魔法…人間…。っ!そうだあいつ!逃げられなくて眠らされて…)
意識がはっきりした子供は、部屋の中のもう一人の気配に気づく
ソファーで眠る男は森で見たローブの人間。
子供は静かに体を起こす。ふと足に包帯が巻かれているのに気がつく。
私
(手当なんて無駄なことを…治癒の魔法が効かないから人間の薬でも使ったのかもしれないがそれも私には効果はない。眠らされたのは不本意だったが…よし、傷も治ってる。体力と力に関してはまだ物足りないが…寝ている人一人くらいは、殺せる)
子供は気配を完全に消し、男を起こさないようにそっと近づく
男の後ろに立つと、手元に小さいナイフを想像し男めがけて振り下ろす
瞬間ナイフに刺さったのはソファーで男はどこにもいない
後ろに気配を感じ斬りかかる
男はナイフを華麗によけ、少し苛立った子供が両手ナイフに持ち帰る
男(グラス)
「は~い。そこまで。」
ニコニコと笑いながら、容易に子供の両腕をつかみ持ち上げる
ぶら下がった状態の子供は、足で蹴ろうとするが届かず。力尽き、生成したナイフは消えてしまう
男(グラス)
「こらこら。そんな弱った体で無理しちゃだめだよ~?力や体力はおろか足だって怪我してるでしょ?何も酷いことしないから落ち着いて。」
男はゆっくりと子供を下ろす。残り少ない体力を出し切ったせいか床にへたり込む子供。
睨み付け、警戒する。
男(グラス)
「大丈夫?ほらっ怖くな~い。おいで~」
目線を合わせるために男は床に座り込み、まるで威嚇している猫をあやすかの如く、子供にひょいひょいっと手を差し出す
今にも噛み付きたい欲求を抑え、子供は言う。
私
「もう…貴方に…被害は加えません。大人しく出て行くのでここから出してください…」
少し震えた声に、優しく微笑み男は言う。
男(グラス)
「大丈夫。本当に君に被害は加えないから、せめて体が回復するまでここに居てくれないかい?君の体は衰弱しすぎていて今にも死にそうじゃないか…足の怪我を治そうとしたときに、治癒の魔法を使ったのだけど、なぜか君には効果が無くてね。僕には傷薬を塗ってあげることしか出来なかった。と言うことは、おそらくポーションも効かないだろう。少し時間はかかってしまうが…元気になるまでは…お願いだからここに居てほしいんだ。勿論無理強いをするつもりは無いから。出て行きたいのなら構わない…だが!せめて食事と衣類を受け取ってほしい…」
私
(こいつは何を考えているのかわからない…人のくせに。)
私
「わかった。」
小さく頷く子供を見て。満面の笑みを浮かべる男
すると男は子供を抱きかかえて立ち上がる
男(グラス)
「よかった!じゃあ早速お風呂に入ろう!汚れたままだと傷も膿んでしまうかもしれないし、その服も着替えよう!あとは、暖かい食事だ!腕によりをかけて作るよ!!」
私
「あ…あの。抱えてもらわなくてもいい。歩ける。」
男(グラス)
「何を言ってるんだい!君は足を怪我して…て…あれ?傷が無い?嘘!あんなに酷くえぐれていたのに!?」
男は少し不思議そうな顔をする
男(グラス)
「ああ。でも体は弱ってるよね?へたり込んでたし。この屋敷結構広いから歩くと疲れるから、このままで。ね。」
今まで抵抗してもびくともしなかったことを思い出し子供は大人しくしたがった。
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男(グラス)
「はい。到着。ここがお風呂場。シャワーを浴びたら、ゆっくり湯に浸かるといいよ。タオルと替えの服はここに置いておくから。じゃあ、僕はご飯を作ってくるね。何かあったら呼んでね」
扉が閉まり、眩しい日差しが差し込むお風呂場。
私
(風呂…?ああ、人の言う湯浴みか。シャワーってなんだ?湯に浸かればいいだけじゃないのか?)
服を脱ぎながら考える子供。ふとホースのような物がかかってる辺りから微力な魔力を感じた。目をこらすと、魔法石がはめ込まれた物が有り子供はそれを指でちょいと突いてみた。
私
「わっ!なっなんだ!?これは…湯?…か?」
シャワーから突然出てきたお湯に驚き。尻餅をつく子供。
私
「これがシャワーか。で、この湯、薬湯か?この魔法石の裏に陣が掘ってあるみたいだな。使う対象の必要な条件の薬湯が流れてくるっと言ったところか…何もしなくても体が綺麗になっていくみたいだし、しばらく浴びてるか。」
私
「で?次は湯に浸かるのか…はぁ、人とは難儀だな。」
ハーブの入った、湯船に浸かり目を閉じる。そして考える。あの人間の企みを。
子供は未だに警戒していた。
私
「人とは…そうゆう者だろう…」
温かいお湯と、心が落ち着くハーブの香りで、眠気をそそられ。考えながら子供は眠ってしまった。
数時間浸かった頃男の声で目が覚める
男(グラス)
「ねぇ?だいぶ入ってるけど、大丈夫?のぼせた?もしかして倒れたりしてないよね?ねぇ?」
私
「ん。あぁ。大丈夫。今出る」
私
(しまった。考え事しながら寝てたのか)
タオルで体を拭き新しい服に手を伸ばす。
私
(このままだと髪で服が濡れるか…しょうが無い)
子供は髪を手で触ると、魔法によって髪が整えられる。
私
(これでいいか。さて服を…これはあいつの趣味か?)
派手では無いが、割とフリルのついてる白いワンピース。無いよりましだと大人しく着る子供
お風呂場の扉を開けると、心配顔の男がオドオドしながら立っていた。
男(グラス)
「ああ。やっと出てきた!大丈夫?のぼせ…てない?…おお、これは可愛らしい!髪!整えたんだね!前髪も!最初は髪で隠れて見えてなかったけどこんな顔してたんだ!うん!可愛い!やっぱり女の子だねその服も似合うよ」
私
「すまない。湯船で寝てしまって。とゆうか褒めてるとこ悪いが、私に性別は無いぞ?」
男(グラス)
「え?…ええええええ?!?!?!」
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大きく長いテーブルに並べられた温かい食事。
焼きたてのパンに黄色くてクリーム状のスープ。彩り豊かな野菜のサラダなど。他にも沢山並べられている。
男(グラス)
「さっきは取り乱してごめんね。まさか無性だったとは…髪長かったし声も高いし、それっぽい服を着ていたからてっきり…」
私
「容姿年齢姿は動物でも人でも自由になれる。だが最後に変身したのが人だった。元は大人くらいの身長があったが力が無くなっていくと同時に縮んだ。髪は手入れして無かったから伸びた。子供くらいの姿になれば誰でも声は高いだろ。着ていた服は捨ててあったのを着ただけだ。」
男(グラス)
「なるほどねぇ~。んまぁ、じゃぁ。君の色んな苦労話を聞きながら、食事としようか!胃がびっくりしないようにまずはスープからど~ぞ」
子供は食器の隣に並ぶスプーンを手に取る…かと思いきや。
料理を念入りに調べた。
子供は警戒していた。己には治癒する薬、魔法の一切は効かないが、死をもたらす薬や魔法は効くことを。
そして何度も……死んできたことを。
私
「毒も魔法も魔術もかかっていない…」
動揺する子供をみて驚く男。
男(グラス)
「当たり前じゃ無いか!そんなの入れたりかけたりもしないよ!?」
子供のあまりの警戒心ぶりを見て男は続ける
男(グラス)
「言っただろう。僕は君に被害を加えるつもりは無いって。」
私
「なぜだ?人とはそうゆう者だろう?脆弱で臆病で…そして欲深い…。私は知ってる何度も見てきた。血肉に植え、金に植え…何度も何度も…人間は!!!……私を…殺してきたじゃ無いか……。昨日森で見ただろう?私の血を飲んだ獣が凶暴化した姿を…今朝は、傷の治った足を見たな…治癒も何も効かなかったはずなのに」
子供は苦しそうに目に涙をため、堪えていた感情を男にぶつける。
私
「そうだよ!!私は死なない!!死の概念が無い!!人間や獣達にとってはかっこうの代物だろうよ!!始めは親切心だった…獣に襲われ身を隠すために入った村の一人の住人。末期の子供のために己の血で作った薬をやった。次は、私の力でで田畑を肥やしてほしいと言われた。よそ者の私を受け入れてくれたせめてもの恩返しとして力を使った。不慮の事故で腕を失い夢が叶わなくなった人間に自分の腕をあげたこともあったか…私の血肉は万能だ。薬にもなるし美貌だって与えられる。心臓を喰えば永遠の命。魔力を持つ者にとってはその力を強め高める。獣たちはいっそう強くなる……知ってたさ。人間には感情がある、獣には本能がある。気づかれたら、いずれまた死がやってくる…何度も痛い思いをした。まさに死を味わう痛みだ。嫌だった…怖かった…居場所がほしかった…他人には私を殺す事しか出来ない。存在そのものを消滅させられるのは己だけだ。だから…消えてしまえばよかったんだ…そうすれば楽になると思った…でも……怖かった……」
気づくと子供は涙をボロボロとこぼし泣いていた。
男は子供を強く抱きしめ、子供の頭をなでた。
私
「離せ!!触るな!!人間なんか嫌いだ!!あ…あぁ…あああ……」
男(グラス)
「ごめん。ごめんね。僕は…本当に無力だ…君の辛さを自分なりでしか理解してあげられない。同情なんて人間の僕にしてほしくないのもわかる。けど、ごめん。今まで辛かったね…僕は、人として恥ずかしい。大魔法使いなのに傷も心も癒やしてあげられない。本当に…無力だ…」
泣きじゃくる子供と男。その声だけが広い屋敷に響き渡る。
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食後の紅茶の香りが鼻をくすぐる夕時。
あの後、泣けるだけ泣け叫び、冷え切った料理を温め直し、食事を終える二人。
男(グラス)
「ずびっ…はい。どうぞ~」
目を赤く泣きはらした男は紅茶を用意した後、子供の隣に座る。
男は子供の方を向き改めて言う
男(グラス)
「僕は君に被害を加えたりしない。衰弱した体が回復したら自由にしていい。今すぐにって言うならそれでもいい。大丈夫。無理強いはしない。でもさ、君、居場所が欲しいって言ってたでしょ?ここじゃ、だめかな?ここには僕しか居ないし、部屋も沢山ある!欲しいものがあれば僕が町まで買いに行くし、美味しい料理も毎日出るよ~えへへ~」
子供は考える。
私
「退化は?貴方は何を私に望む?」
ぽかーん。とする男。一瞬時が止まる。
男(グラス)
「ん~。ん~?え~っとね…そうゆうのは、なし!!今までの君からしたら、驚くかもしれないけどね、僕は何かと交換条件で君と契約を結びたいわけじゃないの。見返りが欲しいから君にいてなんて言わないよwぶっちゃけね~この広さの屋敷でしょ?寂しい訳よ~だから誰かそばに居たらいいな~みたいな?」
私
「見返りは無くていい。条件なしでここに居ていい…」
静まりかえる部屋。
男(グラス)
「あっそうだ!じゃあさ、僕の弟子にならない?」
私
「弟子?」
男(グラス)
「そう!弟子!欲しかったんだよね~、そ~ゆうの。僕これでも結構凄い魔法使いでね。実力とかめちゃくちゃあるから、立候補とかは居たんだけど、んもっぜんっっっっっぜんだめでね。強すぎて相性が悪いみたいで誰も弟子にはなれなかったんだよね~。その点、君は結構強いよね?まだ回復してないけど、僕より魔力値高いよね?君、体弱ってたのにちょっとガチで死を感じたんだよね…今朝」
私
「軽々、避けてたくせに…」
グラス
「よし。決まり!今日から君は僕の弟子だ!えっと~、名前聞いてなかったね。僕の名前は、グラス。大魔法使いグラス=ガーディアンだよ」
私
「氷の守り人…グラス。……私に名前は無い。今まで通り君でいい。」
グラス
「え~。あ、じゃあ。僕がつけてあげる」
私
「好きにしろ」
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グラス
「ふぅ。今日は疲れたね。沢山泣いたもんね」
私
「そうだな」
二人は、暖炉のある寝室へ来た。
グラスが言うに寝る部屋はここだけらしい。
グラスはベッドに入ると、その隣をぽんぽんしながら、おいでと動作した。
私
「いや、いい。ベッドが一つしか無いのなら私はここで寝る。ここなら暖かいし問題ない」
と暖炉の前にまるまる。まるで猫のように。その反応にショックを受けながらもめげないのがグラス。
グラス
「だ~め。君は、今、体が弱ってるの!だからちゃんとベッドで寝ましょう!」
抱きかかえて連れて行くグラス。嫌々する子供。
私
「いいって!大丈夫。寝れば回復する体だから。どこで寝ても変わらない!」
グラス
「君がど~しても、暖炉の前で寝たいって言うなら、僕もそこで抱きついて寝るけどいいの?」
私
「……。」
グラス
「よ~し。いい子ですね~。始めからこうしてればよかったんですよ~」
無理矢理、ベッドに子供を寝かせつけ、その隣を嬉しそうに陣取るグラス。
諦めて、ベッドでまるまる子供。
グラス
「顔出さないと、息苦しくない?」
私
「平気」
子供の淡泊な反応にやりすぎたか?と思うも秒で聞こえ来た静かな寝息に安心する。
グラス
「おやすみ、愛し子。悪い夢から僕が守ってあげるからね」
そう言うと。子供の顔に手をかざし魔法を使う。
子供の眉間によっていた皺がゆるみ、苦しそうな顔が穏やかに変わる。
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目が覚める。優しい日差しが子供に降り注ぐ。
私
(あいつはもう起きてるのか…)
体の調子を確認する子供。屈伸したり、飛んだり、中回転してみたり。
私
(うん。だいぶよくなってきたか。力も…小さい動物くらいには、なれそうだな)
子供は猫になる。
私
(あぁ~懐かしい目線。やっぱ猫はいいな。動きやすいし、小回り効くし、牙あるし…)
猫の姿で喜んでいると、外の方でグラスらしき声とバサバサとなる音が聞こえた。
窓際に行き様子を見てみる。すると箒をブンブン振り回して、カラスと格闘するグラスの姿がそこにあった。
私
(何やってんだ?あいつ…戯れ…じゃないよな。カラス達めっちゃグラスを馬鹿にしてるし…たくっ)
子供は猫の姿で窓をヒョイヒョイ飛び降りて、グラスの元へ駆け寄った
__シャアアア__
子供の殺意を持った猫の威嚇は半端なく怖い。
グラス
「わあっびっくりした!心臓止まるかと思った…あ、カラスどっか行った。……猫ちゃん!!ありがとう!!畑の物荒らされて困ってたんだよね~!!」
猫を抱きかかえ、お腹にスリスリもふもふするグラス。
私
「ちょっ!おいっ!やめろ!!離せ~、スリスリしてくんな!」
子供は、人の姿に戻る。抱きかかえていた猫がいきなり子供の姿になり驚くグラス。
グラス
「えっ?君!どうして猫の姿に!?」
私
「言っただろ。年齢性別問わず動物にもなれるって。猫は何かと生きやすい姿だったんだよ…まぁ人とかのでかい奴らには蹴られたり、石ぶつけられたりするから、村では人の姿だったけど……てか。早く下ろせ。」
グラス
「ふ~ん、そうなんだ。あの威嚇を聞けば誰でも離れていく気がするけど…世の中甘くないね…」
子供をゆっくり下ろすグラス。
グラス
「さ~て、朝の水やりも終わったことだし。朝ご飯にしようか。ノワール」
私
「うん。……?なんだそれ。その、ノワールってやつ」
グラス
「ん?ああ。君の名前。ノワール!黒っていみだよ」
ノワール
「単純」
グラス
「え?だめ?ノワール。かっこよくない?黒い髪だしさっきの変身も黒猫だったし~!!」
ノワール
「安直」
グラス
「む~。そうゆう言う子には~お仕置きしちゃうぞ~けけけっ」
ノワール
「人に戻る前に顔でも引っ掻いておけばよかった…」
グラス
「あっひどい!そんなことしたら、めっ。だからね!イケメンの顔によく爪を立てようなんて思えるね…非道だよ。しくしく。」
ノワール
「イケメンとか自分で言うのか…ひくわ。イケメン度より、魔法使い度あげた方がいいんじゃ無いのか?大魔法使いなのにカラスに罵倒されてるなんて…」
グラス
「う、うるさいな///しょうがないだろ。奴らとは昔から相性が悪いんだよ~」
畑に差し込む日差しを反射してキラキラと光る水滴。
隣を歩くグラスがふとノワールを見る。
グラス
「おはよう。ノワール」
ノワール
「お、おはよう。グラス」
旧ノワール 運び屋さん* @hakobiya_san
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