Cパート

※三人称視点。


――別世界、ミゼルローンの居城『ニビルブルク』


 フォレストは紫音との交戦を中断し、帰還した。


「委員長、何故ですか? あのまま戦えば、あの新米魔法少女を倒せていました」


 フォレストは少しだけ強い口調で主張する。


「…………」


 委員長、と呼ばれた魔法少女は玉座に座り、フォレストの報告を聞いていた。


「あなたって、頭、悪いのぉ?」


 馬鹿にしたような言い方をしたのは委員長と呼ばれた魔法少女ではない。


「エターティア……!」


 鎮座した委員長の両脇には三人の魔法少女が控えていた。

 フォレストはその内の一人の魔法少女を睨みつける。


「魔法少女はぁ、味方に引き入れるようにぃ、尽力するぅ。それがぁ、委員長の望みぃ。そのことはぁ、ちゃんと頭に入っていたのぉ?」


 エターティアは語尾を伸ばす独特の口調でしゃべる。


「だから、私は仲間に誘いました。その結果、断られたので、攻撃したまでです」


 フォレストの言葉に対し、エターティアは声を上げて、笑う。


 「そんなにおかしいですか?」


 フォレストは敵意の籠った視線をエターティアへ向ける。


「ごめんなさいぃ。あれで勧誘のつもりだったなんてぇ、やっぱり頭が悪いなぁ、と思ってぇ」


「なんですって……!」


 フォレストとエターティアは今にも喧嘩を始めそうだった。


「やめんか」


 言葉を発したのは委員長の足元いた黒猫だった。


 フォレストは黒猫のことを「ソーシャ」と呼び、さらに、

「あの魔法少女の件、私に任せてくれませんか?」

と続けた。


「ああ、構わん。だが、なるべくなら、仲間にしたい。あの魔法少女の才能は素晴らしい。まぁ、ワーストには勝てないだろうね」


 ソーシャは委員長を「ワースト」と呼び、視線を向けた。

 

「委員長もそれでよろしいですか?」


 フォレストが委員長ワーストに最終確認をすると、彼女は笑った。


「いいよいいよ。フォレストに任せちゃう。仲間に出来れば、良いし、駄目ならになってもらうだけだし。だけどさ、フォレスト……」


「!?」


 ワーストが玉座から立ち上がると瞬時に移動し、フォレストの肩をポン、と叩く。


 フォレストはまったく反応できなかった。


「もしももしも、醜態を晒したら、フォレストだって、平等側に行ってもらうからね?」


 ワーストに笑顔を向けられ、フォレストは寒気がした。


「わ、分かっています。必ずや、成果を挙げてみせます」


「うんうん、期待しているよ」


 ワーストはフォレストの肩をパンパン、と叩いた。


「さてさて、やっと面白くなってきたね」


 ワーストは無邪気に笑いながら言う。


 それに対し、エターティアだけが「そうですねぇ」と反応した。

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