それは不思議な出会い? ④
高校生が学校で魔法少女のコスプレなんて、知り合いに見られたら、もう登校できない!
あれ?
なんだか、視点がいつもより低くなった気がする。
「成功だ! 君の姿を確認すると良い」
クラシーの声がした方向を見たら、立ち鏡があった。
「ど、どういうこと?」
鏡に映っていたのは幼くなった私だった。
多分、小学校高学年くらい。
え?
ええ!?
どうして!!?
体を触って、現状を確認する。
私の身体は完全に子供の頃へ戻っていた。
「わけがわからないよ……本当に一体どういうことなの!!!」
私の叫び声は夜の学校の廊下に響いた。
「来るよ!」とクラシーが叫ぶ。
激変した自分自身に困惑している最中、コミュクスが襲い掛かって来る。
「もう全部、本当にありえない!」
コミュクスの攻撃を辛うじて躱す。
で、どうやって戦えばいいの!?
私の事情なんて関係無しにコミュクスは襲ってくる。
逃げる隙も考える暇もない。
そういえば、クラシーが白い球体を飛ばしていたっけ。
「そんな感じ!?」
前に手を出して、何かのアニメの波動攻撃みたいなイメージをする。
そうしたら、何かビームみたいなのが出て、コミュクスに直撃し、吹き飛んだ。
「やったの? ていうか、こんなことが出来るなんて、私、本当にどうなったっちゃうの?」
「危ない!」とクラシーがまた叫ぶ。
コミュクスを倒せてなかった。
一気に距離を詰められて、そして、殴られる。
味わったことのない衝撃と浮遊感、死んだと思った。
「ど、どういうこと?」
私の身体は吹き飛ばされ、コンクリートの壁を突き破り、中庭へ投げ出された。
それなのに生きている。
体は痛かったけど、それだけで大した怪我はしていない。
コンクリートの壁を突き破る衝撃なんて、普通なら体がバラバラになっていてもおかしくないはずなのに……。
「一旦逃げるよ。ジャンプするんだ!」
クラシーが指示をする。
ジャンプ?
そんなことで逃げられるわけが……って、またコミュクスが襲い掛かってきた!
もうどうにでもなれ!
私は思いっきり、ジャンプした。
「え?」
すると私の身体は四階建ての校舎より高く飛んだ。
そして、屋上に着地する。
身構えるけど、コミュクスがすぐに襲ってくることは無かった。
「一旦、落ち着こう。もう色々あり過ぎて、頭がパンクしそう…………」
「やぁ、初めての戦闘にしてはよく頑張ったね」
クラシーも合流する。
「あなた、どうやって屋上に? それに今更だけど、猫がしゃべるなんて……」
「猫がしゃべるなんて、君が体験している非日常に比べたら、些細なことだと思わないかい?」
そりゃそうかもしれないけど…………
「今の状況を簡潔に説明できたりする?」
「君は魔法少女になった。そして、今はコミュクスと交戦中だ」
クラシーは簡潔すぎる説明をしてくれた。
魔法少女はギリギリ分かる。
私が魔法少女になっているのはまったく理解できないけどね。
気になるのはもう一つの方……
「コミュクスって何?」
「負のエネルギーの具現化、とでも言うべきものだよ。コミュクスを作り出している奴らがいる。君の役割はコミュクスを消滅させることと作り出している奴らを止めることだ」
「勝手に話を進めないでくれるかな!? 私、そんなヤバそうな奴らと戦わないからね! そもそも、あなたが私にペンダントを渡さなければ…………!?」
会話の途中だったけど、校舎が揺れるのを感じて、屋上から下の様子を見る。
するとコミュクスが壁をよじ登ってきた。
「嘘でしょ……!?」
「ともかく、君には魔法少女として、コミュクスを倒すしか選択肢が無いんだ」
「だから勝手なことを言わないでよ!」
言い争っている内にコミュクスは屋上へ到着する。
私の意志はともかく、今はコミュクスを倒さないと駄目だ。
「今回だけだからね!」
私はまた両手を前に突き出し、魔法を使おうとした。
「待って」とクラシーが言う。
「戦え、って言ったり、待て、って言ったり、なにかな!?」
「ただの魔力の塊を放っても大した威力にはならない。武器をイメージするんだ」
「イメージ? 魔法のステッキとかのこと?」
「君がそれで戦えると思えるなら構わないさ」
ただでさえ、混乱しているのにこれ以上、情報を追加しないでほしい。
それに考える暇なんてなかった。
コミュクスが襲い掛かる。
「この……!」
結局、私はさっきと同じように白い球体を放つ。
でも、クラシーの言う通り、あまり効いているようには思えなかった。
「う…………!」
コミュクスの打撃が腹部に当たる。
その衝撃で今度はフェンスまで飛ばされた。
生身で喰らったら、絶対に内臓が破裂していたやつだ……。
それにこの身体だって、あんな攻撃を何発も喰らったら、無事じゃ済まない。
「分からないことばかりだよ! ――でも、殺さるくらいなら、やってやる!」
立ち上がり、戦える武器を思い浮かべる。
すると光が右手に集まり、物体を形成した。
「出来た…………」
私が思い浮かべた武器は中学三年生までやっていた射撃競技、ビームライフルの銃だった。
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