第53話

昨日に雫との再会という部分を除けば特段変わった事もない日常。いつものように身支度をし、学校へ向かう玲。


「そういえば、今日はエレンと放課後にどこか行くという話があった…」


揺れるバスの中、昨日の連絡を思い出す。


学校へ着き、上靴へ履き替え教室へ。


席に座り鞄から教科書などを取り出していると、エレンがやって来た。


「玲、おはよう!」

「おはよう。そういえば、今日はどこへ行く予定なの?」

「それは後で言うよ」

「もったいぶるね…?」


どこかへ行くことしか知らされない玲にとって、些か心がもやもやするものがあるが、奇妙な場所や危険な場所には連れて行かれないだろうとは思っていたので、余計な心配はしていなかった。


---


放課後、一人また一人と教室から生徒の姿が消えていく。その流れに乗じて玲とエレンも教室を後にする。


多分行く先は答えてはくれないだろうと、朝に訊いて以来その件については触れず、今はバスの中だ。


20分ほどバスに乗り続けていると、「ここだよ」とエレンが言ったのでバスを降りた。


見知らぬ街。玲にとって初めて訪れる場所だった。


「ここには来たことないかな」

「この辺り、時々友だちと来たりするんだ」


エレンにとっては馴染みある場所らしい。


「初めて来るけど、この辺りも色々あるんだね」


バス停からしばらく歩いていると、とある店に辿り着いた。そこは筆記用具が売られているが、普段見かけるような筆記用具とは違いデザインなどオリジナリティに富んだものばかり。


すると、玲がハッとした。


「このボールペンって、もしかして……?」

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