第24話
やがて亜希も学校から帰ってきた。その時を待っていたかのように玲が玄関へ走っていく。
「おかえり!ねぇ聞いて!明日お父さんが帰ってくるんだよ!!」
元気一杯に自分のもとへ走ってくる姿はいつも通りであったが、類が帰ってくるという言葉に亜希が驚きと疑問の二つが頭をよぎる。
「そうなんだ!玲くん、良かったね!」
玲の言葉には笑顔で返しつつ昨日の今日の展開で類が帰国するという要素も加わると、正直なところ胸騒ぎに近い感覚があった。
手を洗ってリビングに行くと、「おかえり」と真希が出迎える。
「ただいま」と亜希は返しつつ、類が帰国する旨を聞いたことを伝える。
「玲から聞いたの?」
「うん。玲くん、凄い嬉しそうだったわ。いつも楽しげだけど、今日は特に…」
「明日戻ってくるわ。亜希なら、何となく察しているんだろうけど」
すると、インターホンのチャイムが聞こえてきた。
玲は幼稚園で友だちとなった男の子の家に遊びに行くにあたり、その友だちの母親が車で迎えに来てくれた。
「うちの子を、よろしくお願いいたします」
そう伝えると、相手の母親はニコッと「うちの息子も楽しみにしていたんです」と答え頭を下げる。玲と友だちは、すでに楽しげに廊下を歩いていった。
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真希が玲を見送り、リビングへ戻ってくる。
亜希は心配そうに開口一番「そんなに状態が悪いの…?」と。類の帰国が引っ掛かり、単刀直入に真希へ問いかけた。
「今日ね、病院から検査入院の話をされたの。その結果次第なんだけどね…」
「お父さんが戻ってくるんでしょ?普通なら様子見とか薬の処方で終わるはずなのに」
確かに検査入院をしても大きな異常は見られずに経過観察し、そのまま快方へ向かうケースは存在する。しかし、何も考えず検査入院と医師が判断するとは思えず、真希の申告に対して何か懸念すべき点があったがゆえの入院。
「大丈夫…少し家を空けるけど、お父さんも戻ってくるから。また元気になったら、みんなで旅行に行こうね」
今、亜希に出来ることは、真希の「大丈夫」という言葉が形となり再び元通りの生活に戻ること。
「玲くんには、どう伝えよう…?」
入院で数日間家を空けるとなると、玲も家に戻らない母の存在に心配や不安を抱くだろう。
「改めて考えたけど、病院に行く事は正直に伝えても大丈夫じゃないかしら。「これからも元気に過ごすために体の中を調べる」って伝えておけば、玲も納得してくれるはず。亜希は心配しないで…」
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