第3話 彼氏、彼女の人数の自慢合戦を繰り広げるクラスメイト

 教室内において、彼女の人数自慢合戦が繰り広げられている。学校では彼女の人数=己の価値観であるとみなすものが圧倒的。


 野蛮直男は彼女の人数を、クラス内で堂々と宣言する。


「俺は彼女25人だぜ。おまえたちは何人の女と交際しているんだ」


 3学年で女性の数は100人ほど。在学中の25パーセントの女と交際している計算になる。


 モヒカン頭の男(五味倍男)は腕を組んだ。 


「俺は33人だ。おまえより、8人も彼女がたくさんいるんだぜ。うらやましいだろ」


 学校の3人に1人は彼女。プレゼントを渡すだけで、お小遣いはすべて吹き飛びそうだ。


 耳、鼻にピアスをした男(下衆一直)が、彼女の人数をボソッとした声で話す。彼女の人数に負けていることに、劣等感をおぼえている。


「俺は24人だ。絶対におまえに追いつく」


 クラスの女たちも、同じようなことを話していた。


「あたしは彼氏が30人いるんだ。すごいでしょう」

 

「あたしは28人だよ。2人負けた・・・・・・」 


「あたしは33人だよ。あんたよりも、三人も上回っているわ」


 毎日のように繰り広げられる、彼女、彼氏の人数自慢合戦。耳にするだけで、うんざりさせられる。


 クラスメイトはおつきあいの人数を増やすため、交際していない異性に手当たり次第の告白をしていた。


「○○さん、おつきあいしよう」


「○○さん、おつきあいしたいです」


「○○さん、おつきあいをお願いします」


 比呂のところに、複数人の女の子がやってきた。


「比呂君、おつきあいしましょう」


「比呂君のことが大好きだよ。交際しましょう」


「比呂君、交際してください」


 三人の女の子に断りを入れると、毒を思いっきり吐かれた。


「彼女0の男なんか、こっちから願い下げだよ」


「そうだそうだ。卒業するまで、彼女0でいればいいんだ」


「彼女0なんて、人間失格レベルだわ」


 思い通りにならないだけで。態度を豹変させる女たち。告白を断ったことは、正解であると確信した。


 優子のところに、20人くらいの男が集まっていた。学校一の美人とあって、狙っている男は多い。


「優子さん、おつきあいをしましょう」


「僕が幸せにしますので。おつきあいしましょう」


「あなたがのことを一番に愛しています。交際していただけないでしょうか」


 優子は短い言葉で、男たちの告白を断った。


「ムリ・・・・・・」


 優子は女で唯一、誰ともおつきあいをしていない。200回くらい告白されるも、すべてに断りを入れている。


「交際をしないなんて、人生を半分損しているようなものだぜ。一度でいいから、おつきあいを始めてみないか」


「10000パーセントムリ」


 ガードはあまりにも固い。どんな手法を用いれば、交際できるのだろうか。


 男たちは彼女に呼ばれたのか、次々といなくなっていく。優子はだれもいなくなったあと、ゆっくりと席を立った。 

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