第2話 複数彼氏、複数彼女、多夫多妻制を認めるようになったいきさつ

 日本では年々結婚率が低下し、80パーセントの男性が生涯を独身で終えるようになっていた。女性については、70パーセントが独身のままで人生を終える。


 結婚率の低下につながったのは、赤の他人と生活するのを嫌がる男女の増加によるもの。国のデータによると、10人に9人は結婚するよりも独身のままでいたいと回答。結婚にネガティブな感情を持つ人間が大半を占めた。


 若者の減少に危機感をおぼえた国は、多夫多妻制を認める法案を国会で可決。結婚を増やすことで、若者減少にストップをかけようとしたのである。同時に、交際できる人数も撤廃した。多夫多妻制を認めているのに、交際人数を縛るのは完全に矛盾している。


 子供を育てるのが難しい場合、出生段階で国に預けられる法案も可決。出産ハードルを下げ、一人でも多くの子供を誕生させる環境を整えた。


 5人以上の子供を出産した女性は、3000万の報奨金に加え、税金免除等の特権を受けられる。手厚くすることで、出産を促す政策を実行した。


 法案施行から30年経過。出生率は0.2から、2.0に上昇。政府の子育て政策は少しずつではあるものの、効果を発揮するようになった。とはいっても、高齢化率は依然40パーセントを超えたまま。人口ピラミッドのバランスが整うまでには、かなりの期間を要すると思われる。


 

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