第2話 職業案内所
「しかたないなあ。ムカつくがあの凶悪女の所へ戻って相談……するだけ無駄か。とりあえず職業案内所に行くしかないか」
家を借りる前にアルバイトでも良いから就職して社宅を借りるのが早いと、サクラはアドバイスしていた。その際、エリザベスの学歴と職歴では希望の職業に就けないとエリザベスは言われる。それで、エリザベスは反発して職業案内所ではなく、不動産屋に来たのだ。
「ところで、職業案内所はどこにあるんだ」
エリザベスはそのことにやっと気がついた。
不動産屋は、病院もあるリング城の市内地図であっさり見つかった。それで、リング城にもどる事にした。
リング城とは、アルフヘイムの首都、リングの中央にある美しいお城のような建物だ。その建物の中には、役所と国会議事堂と役人や政治家の宿舎を兼ねた公共施設を集めた物であり、アルフヘイムの政治の中心地であった。
不動産屋を見つけた市内地図の場所に戻ってきた。
エリザベスは地図を端から端まで、じっくり見回す。しかしながら、職業案内所は見当たらない。
「チクショウ。どこにあるのか全然わからん」
横に簡易端末があり、それを使えば知りたい場所がわかる仕組みになっている事に気付く。職業案内所と記入し、検索ボタンを押すとリング城が示される。
「俺が知りたいのはリング城じゃねえ」
癇癪を起しながらエリザベスは装置を蹴り壊す。
「こんなところで何やってんの?」
突然現れたサクラがいた。実は不動産屋から病院へ連絡があり、エリザベスを捜しに来たのだ。
「職業案内所を探していただけだ」
エリザベスは不機嫌そうに言った。
「私には、公共施設を破壊しているようにしか見えないが」
「壊したんじゃない。故障していただけだ」
「装置はリング城を示していなかったのか?」
サクラは怪訝な顔をする。
「職業案内所を探しているのになんでリング城を示すんだよ」
「やっぱりリング城を指していたんだ」
サクラのセリフにエリザベスはギクリとする。
「さて、何のことかな」
「しらばっくれても、そこの監視カメラに記録されているからわかるけどね」
「うっ」
「やっぱり故障していなかったんだな。お仕置きだ」
サクラの腰が下がったかと思うと、右足に体重を乗せ、腰から回転した右フックがまっすぐエリザベスのみぞおちへ。
「コークスクリューブロー」
エリザベスは窓を突き破って、リング城の外まで殴り飛ばされた。そして、地面に体を強かに打ちつけられ、動けなくなった。
そこにサクラがやって来て、エリザベスを見下ろす。
「職業案内所は、リング城内にあるんだから市内地図で探したら、リング城を示すに決まっているでしょ」
呆れ切った顔でサクラが言った。
「そ、そうだったのか……」
無念そうに言うと、エリザベスは果てる。サクラはそれをみると、足首を掴むとズルズルと引き摺り始めた。そしてリング城の中へ入って行く。しかし、病院ではなく職業案内所へと連れて行った。躊躇することなく職業案内所の中へと入る。
するとサクラの姿を認めた職員がやってくる。
「サクラさん。こんなところに来るなんて珍しいですね」
男の職員が言った。
「このバカに仕事を紹介してやって欲しい」
そう言うと、愛想もなく立ち去る。
「相変わらず無愛想だなあ」
男の職員が苦笑する。
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