第3話 神官エルフ
「で、神官エルフってなんすか?」
ラルゴは興味津々に尋ねる。
アイマクは説明し始める。
「地球人は、ノーマル種とエルフ種がいるということになっているが、正式には三種類いる。
一つはノーマル種、
一つはエルフ種、
一つは神種。
エルフ種は、ノーマル種に比べて、生命力も体力もあらゆる面で優れているが、神種はさらにその上を行く能力を持っている」
神種は、ノーマルの社会ではほとんど、まったくと言っていい程、知られていない。
そして、アイマクも知らなかったことだが、一般的な里エルフたちにも知られておらず、都市エルフであるエリザベスも当然しるよしもなった。一部の長生きの里エルフが知っているだけのレア情報であった。アイマクは、文献や遺跡とかで調べてやっと知った貴重な事実である。
「それじゃあ、ノーマル種からエルフ種が生まれ、エルフ種の優秀な奴から、神種が生まれたってことなのか?」
「そういう俗説はあるけど、正確には、ノーマル種の一部が進化してエルフ種が生まれたという俗説だけどね。それは全くの嘘だね。そもそもエルフ種も、神種もノーマルの黄色人種の姿に似ている説明がつかないでしょ。偶然、ノーマル種からエルフが生まれたのなら、黒人風のエルフや白人風のエルフがいてもおかしくないのに、黄色人種風のエルフしかいない」
「へぇ。それじゃあ、どうして黄色人種風のエルフしかいないんだい?」
近くに居たオカマが聞いた。
「元々ノーマル種しかいなかったが、黄色人種のノーマル種の一部が、何らかの方法で神の体を手に入れて神になったんだよ。そして、そのあとに、しもべとして便利なエルフを作り出した。いろいろ文献を調べたり、遺跡とか調べるとそういう結論になる」
「なるほどね。兄ちゃん詳しいね」
オカマが言った。
「それで、神官エルフって言うのは、何者なんだい」
ラルゴが聞いた。
「神種は、元々は大勢いたんだけど、その神々の中で、エルフに対する接し方に対する考えが複数あったんだよ」
「どんな風な?」
「簡単に言うと、エルフに優しい神々とエルフに厳しい神々がいて、結果的に生き残った神が、エルフに優しい神だったから、今のエルフの繁栄があるわけだよ」
「それと、神官エルフとどういう関係があるんだい?」
ラルゴが聞く。
「神官エルフと言うのは、その神に直接仕えているエルフのことを言うんだよ。だから、里エルフとか都市エルフとか言うけど、そんな種類のエルフがいるわけじゃないだろ。住んでいる場所が違うだけで同じエルフだ。つまり、役職と言うか、お仕事というか、それで神官エルフと呼ばれているんだよ。生物学的、生理学的には普通のエルフと変わらないんじゃないかな。会ったことないから予測だけどね」
「なるほど」
「直接神に仕えているから、神代の時代の知識を持っている可能性が高いってわけだ。神には寿命がないからね。神に近いエルフでさえ、寿命はあるんだけど。神とエルフの境目はそのへんにあるのかもね」
「そうですか」
ラルゴは急に興奮が冷めたようだ。
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