第2話 都市エルフ
「相談するなら、エルフの医者に聞きなよ」
しかしアイマクの回答はにべもない。
「どこにいるんだよ。そんな奴」
「どこかのエルフの里にコネとかないの?」
「ない」
キッパリとエリザベスは言った。
「都市エルフか……」
都市エルフと言う種類のエルフがいるわけではない。五、六十年前まで、ノーマルとエルフは別々に住み分けていた。そしてエルフが住んでいたエリアをエルフの里と言った。だからその里の反対という意味でノーマルが主に住んでいるエリアに住むエルフを都市エルフと言うようになっただけである。
エルフの多くは、いまだにエルフの里に住んでおり、都市エルフは多くない。そして、エルフの里に住むノーマルはほとんどいない。そんな状況である。
ちなみにノーマルとは、エルフを除く地球人の事を言う。大きく無理やり分類すると白人、黒人、黄色人に分けられる。エルフは黄色人と見た目は、ほとんど変わらない。
「どうにかならないっすかねぇ」
ラルゴが聞いた。
「エルフの里の医者に聞くのが、一番なんだけど、僕にはコネがないんだよ。エルフの里にコネがあったとしても、エルフの医者は少ないから、コネがあっても簡単には会えないけどね」
アイマクが言った。
「どうして、エルフの医者は少ないんすか? 医者が少なかったらエルフもこまるでしょうに」
ラルゴが言った。
「いや。全然困らない。ノーマルがかかる病気にはほとんどかからないし、ケガもほとんど自力で治せるからね」
「そうなんすか?」
ラルゴは、エリザベスに聞いた。
「まあ、困ったことはないなあ。性同一性障害以外では」
エリザベスはあまり考えずに言った。
そもそも都市エルフは、エルフの里を飛び出して来たエルフやその子供なので、エルフの里との関りが薄い者が多い。
「他に方法はないのか?」
エリザベスが聞いた。
「神官エルフとかの知り合いもいないよね?」
アイマクは考え込みながら尋ねた。
「なんだよ。神官エルフって。エルフの拝み屋か?」
「拝み屋って……」
アイマクは苦笑する。
「エルフで宗教やっている人って聞かないけど」
ラルゴが言った。
「エルフは、基本宗教やらないよ。神官エルフって言うのはね……」
そこでアイマクは言葉を詰まらせる。
「知らないのに、適当なこと言うな」
エリザベスが言った。
「知らないのはあんたでしょうが! 神官エルフを説明するには、人間とは、というところから説明しないとならないから話が長くなるよ」
「なら、良いや」
エリザベスはそっけない。
「俺は聞きたいっす」
ラルゴが言った。
アイマクは嫌そうな顔をする。
「これあげますから」
ラルゴがコップに酒を注ぐ。
「なんだよ。これ酒かい?」
「結構いけるっすよ」
アイマクは一口飲む。
「これは美味い」
「ラルゴスペシャルっていうカクテルっす」
「ラルゴが作ったのかい。すごいね」
「で、神官エルフってなんすか?」
アイマクは説明し始める。
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