第二章 エルフの医者

第1話 エルフのオカマ

 銀河帝国歴二八八八年

 地球の連邦国家の一つ、ニュージャパンのとある都市

 ショーパブの舞台でけたたましい音楽が終わると、オカマ達のダンスが終わる。お客たちは笑いながら拍手をする。

 一糸乱れない素晴らしい踊りであったが、踊っているのがみんなゴツイ体のオカマ達であり、そして、そのオカマ達全員が、ロリータファッションのドレスに、コーディネイトされたブーツに手袋を身にまとい、ばっちりメークアップしている。

 踊りを終えたオカマ達は、楽屋に戻ってきた。

「エリザベスの姐さん。エルフに詳しい男を連れてきたっすよ」

 ウエイターファッションの若い男が、もう一人男を連れて入ってきた。

「うっ」

 もう一人の男は、カジュアルな服装でメガネをかけたあまり冴えない感じの男だ。いかにも汚物を見るような表情をした。

「なんだよ。ラルゴ。この男。人を汚物を見るような目で見やがって」

 エリザベスが言った。

「姐さん達を、初めて見る奴はみんなこうなるっすよ」

 ラルゴはそう言うと、悪気なさそうに笑う。

「ほんと、お前は遠慮なく言うな」

 エリザベスは言った。

「そう言わずに、この人、頭良いし、物知りだから解決法を知っているかもしれませんよ」

 ラルゴが言った。

「俺はこう言う奴が嫌いだ」

「あら~。私はこういう子好きよ」

 近くに居たオカマダンサーが言った。

「お前何しに来たんだよ」

「ラルゴに、ただ酒奢ってもらえるって聞いたからついてきたんだけど」

 男はあっさり答える。

「酒は俺が奢るっすよ。エリザベスの悩みを聞いてくださいよ~」

 ラルゴが言った。

「僕はお悩み相談員じゃないんだけど」

 男は苦笑しながら言った。

「エリザベスさんは、エルフなのにオカマなんすよ」

「それは珍しいね」

 男は興味津々といった感じに答えた。

「ところで、こいつ何者なんだよ」

 エリザベスが言った。

 他のオカマ達も興味ある感じだ。

「この人は、アイマクさんだよ。エルフに詳しい人だよ」

「僕は歴史研究家だよ。人類史に詳しいだけだよ」

 アイマクは言った。

「エリザベスさんは、性転換手術を受けたいらしいんだけど、良い方法はないかな」

 ラルゴが言った。

「それを僕に相談する? 医者に相談しなよ」

「とっくにしたに決まっているだろ。でも、エルフだから性転換手術はできないって言われたんだよ」

 エリザベスが言った。

「ノーマルの医者に行ったのかい?」

「性転換手術をできるエルフの医者はいなかったからな」

 アイマクは唸る。

「性転換手術のことは詳しくないけど、胸にシリコンを埋めたり、大事なところを切ったりするんだろ。エルフにやっても意味ないだろ」

 さも当たり前と言った感じにアイマクは言った。

「医者にも同じように言われたよ。だからお前に聞いているんだ」

 エリザベスが切実な思いを伝えるように言った。

「相談するなら、エルフの医者に聞きなよ」

 しかしアイマクの回答はにべもない。

「どこにいるんだよ。そんな奴」

「どこかのエルフの里にコネとかないの?」

「ない」

 キッパリとエリザベスは言った。

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