第三話 精霊と友に
あの赤ん坊の儀式から何年か経ち、僕はハイハイの状態から卒業し、歩けるようになっていた。
そして、いくつかあのような記憶の映像も時々流れるようになっていた。それは僕の夢の中でも登場する…
…
あの日から自分のことが少しずつ変だと感じている。
たくさん知っているようで、何も知らない。
なぜか思い出すもの多くて、でもその理由すら検討がつかない。
ただ分かるのは、あの変な夢のような世界からの記憶が年をとるにつれてヴィジョンを見るということだ。
自分が他の人とずれているのは気のせいだろか?
この前も他の子どもたちを見かけたら、僕を変な目見ていた。
この家にいる人達も僕にとって大事な人のはずだ。
そして、僕の父と母は、紛れもない、血縁だ。
いや、果たして本当にそう思っているだけで、実際は違うというのか。
だとしてもやはりおかしい、そう思うと、何か思い出さないといけない気がしても、一向に思いだすことが出来ない。
どういうわけなのか分からないが、俺はこの国の言語以外も知っている。
まるで、僕の中に別人が入っているのではないかと問うぐらいのレベルだ。
もしかして、僕の中に別の人の魂が僕の中に入っているというのか?
だったら、毎回見る記憶の中の俺は一体だれなんだ?
変な夢を思い出す方の僕なのか、それとも今此処に存在する僕なのか?
まるで分からなくなってきた。
家の中を少しだけ歩くと、ゼアドールさんが僕の目の前にいた。
「おはようございます、セイレン様。どうかなされましたか?」
「ゼアドールさん、二人の存在が一つの体にいることってあり得る話ですか?」
「うーん、難しいことを聞きますね。そうですね…一つはあり得ますが…というのはやっぱりまだ前世の夢を見るのですが?」
「はい。どうしても分からないのです。前世と言ってもまるで別の世界にでもいるような…そんな感じがするのです」
「ですが、二人の存在が一つの体にあること事態が稀なのです。でも、確かに気になりますね…でも物騒な話というわけでもなさそうです。では、私から何とかしてみせましょう。セイレン様」
「ありがとうございます。ゼアドールさん」
「勿体なきお言葉」
ゼアドールは僕に一礼をした。
まずはこの世界では二人の存在が一つの体に入るということは普通には有り得ないということになるが、僕の場合は全く別世界の夢や記憶を見たりしている。
___その内容とはこうだ。
それは2歳、3歳の頃に親戚と会う記憶だったり、見知らぬ父の友人や、あちらの飛行機という乗り物に乗って有名人に合ったりしている。後はひたすら人を眺めていて、こちらに手を振る人たち。
果たして、2歳の記憶が鮮明に残ってるのかは分からないが、断片的にその記憶が蘇るようだった。
そして、なりよりも覚えているのはその頃に出会った同い年の子だった。でも顔までは思い出せない。
これではなにが何だが分からなくなっている状態だ。極めてじっれたさを感じてしまうんだ。
4歳からは精神年齢が通常より高いというし、これが魔力が多い人としての特権なのだろうか?
そうだとして、僕は一体どうすればいいんだろうか?なにか重要なことを思い出さないといけない気がする…
それはともかく、基本的に言葉をちゃんと理解することも出来た。が、別に大人のように流暢に話せるわけではない。こればかりは多分話す相手があんまりいないのと、自信の問題でもあるのかもしれない。
あの襲撃の日から自分が出来ることについて出来るだけ知ろうとした。自分が感じたあの無力感…そしてあの時、薄々気づいていたのに、泣いている人たちや悲しみに浸る人たちのことを全然見ようともしなかった…
僕は都合の良いことばかりに目を向けて、他のことを忘れようとした…そんな自分を許容はできない。
もう二度とあんなことが起きないように願いたい。でももしまたこんなことが起きたら、ちゃんと逃げずに向き合わなければ僕は…いや、そんなことを今考えたってしょうがない。
僕は前よりもこの国を知ることができた。
両親から読み聞かせとかしてもらって、あとは、前に観たことある文字を照らし合わせてどのような意味なのかを考えるのをひたすら自分の頭に叩き込んだ。本棚から片っ端から読んでいるのだが、難しい本ばかりなので、所々しか理解することしか出来ずにいた。後、ルテラさんというメイドにもたくさんお世話になった。
ただ、やはり父からも学んだ通り、ここアルメラス王国は文化的な国であることを理解できた。
あとは哲学的な考えだったり、ストーリーがたくさんある。そのためほとんど読み直さないと理解できないものも多い。唯一基本レベルで理解出来たのはある少年が炎の剣を手に入れる話ぐらいだ。なんとなくしか理解出来なかったが、なぜかその話は僕に響いた。それ以外に魔法の本などもあったが、何が書いているのかさっぱりだった。やはりラノベのような展開にはならない。
今の段階ではここまでしか知ることが出来ずにいたので、外で探索をすることにした。
「今日も出かけてきますね父上、母上」
「もうすっかり大きくなってかわいいんだから♪。気を付けてね」
「存分に楽しめよ」
ちなみに、まともに動けなかった頃は自由にはさせて貰えなかった。だからほとんどの場合両親やラルフェットに同行という形で外出していた。でもやはり自分自身で行動が出来るのは僕にとっても良いことだ。
そして僕は頷いて家の外に出た。
…
外に出ると、自然がたくさんあり、家や建物もあったりする。
ここは都市には少しだけ離れているというのもあり、自然とこの国の文化両方を感じ取ることができる。赤ん坊だったころ、何もかもがはっきりとは見ることが出来なくて、今でもこの国の輝きを堪能できたことに感謝している。
どの道に行くかも気分次第で帰ることもできるのも楽しみの一つだ。
ちなみに、まともに動けなかった頃は自由にはさせて貰えなかった。だからほとんどの場合両親やラルフェットに同行という形で外出していた。今はそれが何気なく当たり前に歩けることが出来てほっとしている。
「ん?」
僕は今まで行ったことない道を発見した。その遠くでは大きな木があり、どのような場所なのかにとても興味がそそられた。
また視界がはっきりすると、そこには大樹があって、塔のような目印になっていた。
僕はその大樹を見て、自然への豊かさがゆえの畏敬の念を感じた。何千年という歴史の中で、その本のページの一文字ににしか過ぎないと思えるような存在だと感じた。
しばらく進むと、ある女の人が大樹らしきところで休んでいる。彼女の手には小鳥のような見た目をしているものがいた。そう彼女が小鳥を離すようにしていた時に、その小鳥の形をしたものが透明になっていった。でもそれは生き物が消えたというより、また影に戻ったというものに近い。
僕は興味のあまり、じっと見つめていた。
彼女は魔術師のような見た目をしていて、自然と一体化していた。彼女はどこか優しく、そして切なさを備えていた。彼女の髪はまるでシルクに染まっているぐらい透明感にあふれいていた。彼女は僕を純粋な気持ちにさせてくれる…
そしたら、彼女が僕のことに気づいた。
「あら、こんにちは」
「あ、あの今のは…」
「うん?何のこと?」
「あの小鳥はどこ行ったんですか?」
魔術師は何故かあの小鳥を指摘すると少し驚く、
「見えていたのね、今の。ほとんどの人に見えないはずなんだけど」
「そうなんですか?」
魔術師は軽く微笑んで、言った。
「君、名前は?」
「セイレンと申します」
「セイレンか……とても頼もしい名前」
彼女がそう言って僕を見たとき、彼女の鮮明な琥珀色の瞳が美しかった。
その何気ないほほ笑みに僕の心をくすぐらせた。
「そんな君に精霊のこと、少しだけ教えてあげよっか?」
彼女は僕がそのことについて求めているかのように語った。
___ちなみに、このような展開はショタとうふふなシーン、として勘違いされてしまうような言い方だった。皆の者、先に逝くぞ!
まただ。うふふとは一体どういうことだ?まあいい。
でもこの人を前にすると、かなり緊張する…
「お、お願いします」
「フフ、よろしい」
彼女は自分の手でお手本を見せながら教えてくれた。
「ちなみに、どこまで精霊のことを知ってる?」
「僕が知っているのは、精霊は魔法の力を授ける存在というぐらいです。そして、魔法の中にも精霊術が存在するとかなんとか…」
「そんな風に教えてるんだ…精霊はね、生き物みたいで、少し違うの。んで、精霊術は魔法とは関係ない…」
「え、それはどういうことですか?」
僕が聞いた話だと魔法は精霊によって授かっていると聞いているが、それは違う捉え方だというのか?
「まあ、生き物みたいは、言い過ぎだけど、私たちが認識するような命はない。もっと抽象的な存在なんだよ」
「うーん?全く理解ができません」
「そうよね、でもこう説明すると分かりやすいかも…例えば、人が突然誰かのことを考えたり、その人が直接いないのにお祈りしたりとかってあるでしょ?」
「あるんですか?」
まあ確かに、そのような記憶を見たようなこともあるが…
「まあ、あるんだよっという話で行こう。精霊はそのような存在なんだよ。目には見えなくて、心で感じるものに近い感覚。それが精霊の存在」
「それがどう魔法とは違うのですか?」
「精霊は魔力による力を与えるわけではないの。ただ、魔力を用いることはできる」
ますます話が難しい…
多分、精霊は植物みたいなもので、水やりとかをすると、マナが備わるという感じだと思う。
「そもそも魔力とは何ですか?」
「良い質問だね、ちょっと具体性に欠けるけど、人の魂に元から存在するもの、かな。それがあることで魔力が使える。でも精霊術はそうではないの」
「ということは魔法はその、魔力がないと使えないけど、精霊術は違うという意味ですか」
「そう、よく理解したね。精霊術は魔力の応用には使えるし、魔法とは因果関係にはあるけど直接的な関係はない。見せた方が早いわね」
そして彼女は魔法を唱える
「囁きずる蒼の雫によって、沈黙されんとする者たちに新たな道を導かれること願いし、恵なる泉をそよ風と送ると共に、聖なる露の輝きが過ぎることを与えん。哀れな涙の雫がまたこぼれぬようにこの枯れた地に流れ多き潤いを授かりたまえ。ホワイトウィスパー」
すると彼女は本当に囁いているような魔法を繰り出す。
その魔法はとても美しく、戦いで見るような魔法ではなかった。
彼女が魔法を放つと同時に、周りから精霊のエネルギーが包み込んで、その魔法をより強力にするように感じだ。
僕はそれを見て、驚くことしかできなかった。
「とりあえず分かって貰えたかな?」
「はい、なんとなくですが。あの詠唱は?」
「ああ、まあある種歌みたいなものと思えば良いよ。
これはあまり気にしなくてもいいんだけどね」
「その詠唱は魔法を打ち出すためには必要なんですか?」
「簡単な答えは出せないけど、必要ないかもね。色々と賛否両論があるんだ」
「ではあなたは…」
と彼女を見ていると、答えを待つように見る。
そういえば名前は聞いてなかったな…でもそれは後回しにしよう。
「先生と呼んで良いよ」
「…先生は、どちらが良いと思いますか?」
「それは自分が求める答えによるんじゃないかな?私が一番しっくり来るのは詠唱がある方かな。そちらの方が、どんな風な魔法で、どういう時に使うのかというのがはっきりしているからね」
「なるほど…でも詠唱は何故か恥ずかしい気もしますが…」
自分の確かな記憶の中にその恥ずかしいの根幹となる言葉があったが、今は何故か言語化はできない。
「まあ、確かにね」
魔法使いの彼女はそれを納得していた。
詠唱の問題はともかく、こんなことを知ることが出来れば、僕はあの恐怖から乗り越えることができる。なら、お願いしてみるしかない。
「あの…どうか魔法の使い方をを僕に教えてください!」
「うーん、どうしようかなー。じゃあ、自力で魔法の基礎を学ぶことが出来たら、教えてあげても良いよ」
「自力って、何もお手本はなしということですか?」
「だって、お手本みせたよね?」
あの一瞬で見抜けというのか?あまりにも無理がある。まさか一瞬で学べると思っているのかこの人は…
「しょうがない。この魔法使いがもう一度ヒントをあげて差し上げよう」
「ぜひお願いします」
全力で集中しよう…
これをしっかりと見切らなければ、魔法を教えてくれないしな。
散々ゲームを攻略してきたわけだしな…
ゲーム、か…
_____またあの子の記憶が流れた。今回はゲームを遊んでいる様子だった。覚えているのはテレビに向かってただひたすらとゲームに打ち込んだ記憶だった。そして周りには見守っている男性と女性がいた。もしかすると、この世界の親という線が妥当だろう。その頃にやっていたのはあるアクションゲームだった。そのゲームを何度もやると、攻略にチャレンジする姿があった。
その子はゲームに出てくるボスをひたすらと倒す方法を試行錯誤していた。
「もういいじゃない?充分出来ているんだし」
とその女性が笑いながら。
「違う!ちゃんとやってみたいんだ!」
ステージ100%、と無傷でのクリアとを何十回も挑戦しては失敗するようなシーンでその子は熱心にそのゲームをやり込んでいた。何度も使う武器などを変え、どのタイミングで使い、どのタイミングで攻撃を避けなければいけないのかをひたすら試していた。
「もうちょっと!」
「もう一回!」
を言い続けるばかりだった。
その様子をみて、女性はその子どもの遊びを一生懸命に見守った。ゲームをしていなかったときはどうやって倒すのだろうと考えて、倒されることを承知で観察することもあった。
そして画面に向かってみてみると彼は何も攻撃とかせずに、ただボスの行動を長く観察していた。
彼はそれぐらい熱心だったんだ。そして、やがて彼は、
「よっしゃ!」
と大喜びをして倒した
そして見ていた両親もまた握手で迎えた
「やったじゃん!」
「倒したか!」
もの温かく、凄く良い記憶だな__________
ここで記憶が途絶える。
よし、あの子の記憶にもあったようにめげずにやって見せるんだ。
「では行くよ」
今回も詠唱でやるのかと思ったら、今度は詠唱せずにやってのけた。彼女の悪戯心のちょっかいが伺える。でもそれでいい。それでこそ自分のためにもなるはずだ。
まずは観察すること、しっかりと何が起きているのかを観る。そして自分なりに考える。分解しながらやるんだ。
すると魔法使いは今度魔法を早めに発動した。その発動があまりにも速すぎるがゆえに、普通の人なら到底追いつけない。
「はい、これでヒントおしまい」
彼女は僕の反応を見て、少し驚く。恐らく彼女は本当に教えたくないのか、本当に僕を試しているというのが少しだけ分かった。それでも、自分が知れる限りのことは知っておきたい。僕はそう思った。
その本の一瞬を捉えることは出来すにいたが。僕はその魔法を繰り出す癖を探していた。どんな優れた人物でも、ゲームでもパターンがある。その仕組みを理解してこそ一つ一つ想像の中で考えて、分析して見せるんだ。僕は1回目の魔法と、2回目の魔法を照らし合わせながら考えた。
そして気づいたことが一つ、唱えた時、唱えなかった時の癖が確かに一緒だった。一つめの癖が、魔法を打ち出す前に、呼吸しているということだ。これはどうでもいいことかもしれない…でもそんな癖でさえも理解しないと、魔法の仕組みを一つ逃す原因にだってなる。そしてその呼吸というのは恐らく集中するために打ち出すようなものだ。多分適当に打てるというわけではない。
でもこれだけではないというのが分かる。でもまずは試してみないとだめだ。
「じゃあ、やってみても良いですか?」
彼女は僕が真剣に魔法を知ろうとしていることに戸惑っている様子だった。
「あ…あ~。良いよもちろん」
僕は手を構えてやってみた。この前にも何回か自力で魔法を発動しようとしたが、上手くいかなかった。理由は根本的な糸口が原因でもあるが、多分詠唱のことについて本を読んでも理解が出来なかったのも一つの原因だ。でも詠唱なしでも彼女はやって見せた。
「行きますよ」
その魔法使いは見つめ直されたのか、僕を真剣見てみようとしていた。
じゃあ早速練習しよう、何回でも失敗しても良い。
まずは集中…体の中を一体感にするような形で…打つ!
「うわぁ!」
一度目では魔法は暴発して失敗したようだ。
魔法使いの彼女の様子は魔法を打ち出す時に集中したのもあって、見えなかったが彼女は何もなかったかのように振舞っていた。
「じゃあ、残念」
「いえ、まだです」
彼女はまた一瞬真剣な目をして、また笑みでそれを隠した。
「そう、じゃあまたやってみてよ」
「はい!」
最初は呼吸だけに集中していたから駄目だったかもしれない。多分、彼女の他の癖は目に見えない要素が含まれていると思う。彼女が一回目に唱えた時、どんな表情だった?どんな些細な動きをした?それを思い出すんだ…
彼女はきっと、没頭するように魔法を打ち出している。そして、そうすしている時に何かを考えているのだろうか?彼女が魔法を打つ前、何かのリズムに流されるかのように動いてるようにも思える。
それが彼女が微妙に杖を揺らす動作にしても、しっかりと唱えるにしてもそんな感じがする。
じゃあ一体何を意図して考えているのだろう?
とりあえずゲームみたいに自分を眺めて観るんだ。そして想像する…一つ一つの動きが流れるように、あの詠唱のように…
そして魔法の状態を見てみると確かに魔力が自分の手で集まっていた。
「!」
順調のようだ、でも気は抜けない。集中するんだ。
今度は魔法を前に打ち出すようにやってみた。
すると、少ない量ではあるが、魔法は出てきた。
「…」
彼女は思わず気が抜けるような声を出した。
「セイレンくん。これで、君の誠意が伝わったよ」
「いえ、まだです。もう一回で何か掴めそうなんです」
「え?」
そうだ。僕はまだ精霊をまだ呼び出してはいない…
このままではどんなに魔法が出来ても、精霊を理解しないと自分の本来の力が出せない。それに、精霊にだって命があるのならそれをないがしろにしてはいけないのだ。
そうか!この魔法使い、いや先生は命を生み出すということやっていたのか。
この人は頭の中で想像していたんだ。どういう魔法で、どんな精霊を呼び出して、そして二つのエネルギーを融合させる。魔法には物語、そして魔法本来の姿がある。それを表すには自分の体の中で体験するしかないんだ。
なら話は早い。また集中して、工程を思い出すんだ。
すると、また魔力が集まった。
ここまでは良い、次の段階が重要なんだ。
今度は精霊を呼び覚ますんだ。喋りかけるように、自分の中で眠っているかのように。
「!」
そして先生は僕の魔法と精霊が手に集まってくる様子に対して驚いている様子だった。
でもそんなことに気を取られてはいけない。
今度こそもっと強力になるはずだ。
「もう十分よ。セイレン君」
しかし、僕はその注意を聞けるほど器用ではなかった。構えようとした瞬間に先生は僕の手を真上に上げた。
上を見ると、先ほどの魔法とは格段に違うことに気づいた。今度は精霊の力も合わさって普通の魔法とは違う音をしていた。
「間に合った…」
先生は安心する
「魔法を出すの、本当に初めて?」
「前には練習したこともありますけど…今日で出ました…」
彼女は一旦頭を下げて、そして気を取り直すように上げた。
「分かった。じゃあしっかりと教えてあげる。私の期待を大っきく上回っているからね」
「はい!お願いします」
「でも今日は終わりだからね。多分この後疲れるだろうし」
「え?僕は全然大丈夫ですよ」
「その点に関しても教えてあげる」
「はい」
「じゃあ、家にでも帰ってね。セイレン君」
彼女は後ろ向かって進もうとした。
今から別れるような雰囲気だったので、彼女の名前を聞いてみないと思った。
「あの!」
そして彼女が振り返った
「あの、お名前を教えてもらえないでしょうか?」
風と葉っぱが彼女の周りで流れるかのように口にする
「ソフィ。私のソフィ名はだよ」
僕が彼女の名前を聞いた時、なぜか意外だと感じた。その見た目とその感じは違うのかと思う反面、とても彼女には似合うような名前だった。
…
僕は少し寄り道をして、その後には家に帰った。
彼女の言う通り、確かに疲れ気味になっていた。でも楽しいひと時だった。またあのような魔法使いに教えてもらえるなら歓迎だ。
こうして、魔法を本格的に教えられるようになった。
これで自分の人生が一歩進んでいるように感じることが出来た。
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