第10話 NiceなSummer vacartion
「あっぢー…。」
俺たちの学校は夏休みに入り、今は3日目だ。俺は今、ソファで寝っ転がりながらクーラーで涼んでいる。
「ちょっとお兄ちゃん。溶けてないでそこどいてよ。できれば部屋に行って。」
そう言ってきたのは千秋だ。千秋たちの中学校は今日から夏休みらしい。
「嫌だ。お前が行けよ。なんでわざわざこんなくそ暑い日にクーラーが無い部屋に行かなきゃならんのだ。」
「ふん!もういいもん。」
千秋はそう言うと、部屋から自分の椅子を持ってきて座った。
俺は千秋に違和感を抱いた。
「お前、髪切ったのか?」
「うん切ったよー。最近暑いじゃん。いつまでもポニテでいれないからねー。」
(女子って髪にこだわり持つけど、こいつそういうの無いんだよなぁ…。ていうか、顔良いやつは髪型も何しても似合うから腹立つな…。)
そう思っていると
「ていうかお兄ちゃん友達いるの?」
「いるに決まってるだろ。」
「ホントに?お兄ちゃんの妄想じゃなくて?」
「お前はどれだけ俺を信用してないんだ?」
「だって、去年はずっとボッチで年中一人飯で夏休みに遊びに誘ってくれるの、私かお母さんぐらいだったでしょ?」
「そうだけど、今年はちゃんとした友達だ。」
「ふーん。じゃあ遊ぶの?」
「あぁ。」
「いつ?」
「いつと言われると…。分からないけど夏祭りは行くぞ。」
「もしかして友達って部活の人?」
「あぁ。」
そう言うと千秋はなにか顔をにまっとさせると、
「私も行っていい?」
と言ってきた。
「だめに決まってんだろ。逆になんで行けると思ったんだ?」
「だって!お兄ちゃんの友達が本当かとか!騙されてないかとか!確認しないと!」
「お前も一応夏祭りは行くと思うけど、ついてくるなよ。」
「はーい…。」
口ではそう言っているのだが、顔は怪しげな笑みを浮かべていた。
ピコン
「ん?」
スマホを見てみると、ゲーム部のグループチャットに連絡が来ていた。
『明後日の夏祭り、全員で行きますよね?』
と煌雅から来ていた。それに吉藝先輩が
『あぁ。そうだと思うぞ。行く人言ってくれ。』
『私行くー!』
『私も行きます』
瀬奈先輩と巴が反応した。俺もスマホをポチポチと押し、
『俺も行きます。』
そこで俺は月からの連絡が入ってないことに気づいた。
『月さんは?』
『あの子今お仕事中らしいよ。13時には終わると思うって』
どうやら月は仕事中らしい。
『それじゃあ13時30分ごろに聞いてみます。』
『よろしくー』
俺はスマホの電源を切り、13時30分ぐらいまで時間があることを確認し、昼寝をすることにした。
13時30分ごろ、俺は月にチャットを送った。
『月さん、明後日の夏祭り行く?」
すぐに既読がつかない。まぁ当たり前だろうと思い、時間を置いてみた。10分後、まだ来ない。20分後、まだ来ない。30分後、まだ来ない。40分後、まだ来ない。
(…泣いていいかな?)
そう思った矢先に、スマホからピコンと通知音が鳴った。確認してみるとちゃんと月だった。
(これで他の誰かだったら泣いてたよ…。)
メッセージの内容を確認すると、
『ごめん!お仕事長引いちゃって全然見れなかった!夏祭り、当然行くよ!赤点も回避できたしね!あの約束、ちゃんと守ってよ!』
どうやら行けるらしい。
俺はポチポチとスマホを押すと
『大丈夫。ちゃんと守るよ。楽しみにしとくね』
と送った。すると玄関から
「諒ー!」
と俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
「なーにー、母さん。」
「あなたの洋服を買おうと思っててね。ほら、あなた最近、背また伸びてきたでしょ?今の服が入らなくなる前に買おうと思って。」
「今から?」
「そうよ。」
「分かった。着替えてくる。」
そう言って、俺は自分の部屋に行き着替えを始めた。
ピコン
その通知の送り主は月からだった。
『できれば、二人きりで…。』
その連絡があってすぐ、そのメッセージは取り消された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます