第8話 ゲーム部の憂鬱

 「はっ!思い出してしまった…あれの恐怖をぉぉ!」

 突然瀬奈が大声で発狂し始めた

 「瀬奈、うるさい。」

 「あれってなんですか?」

 「はっ、はははっ。あれとはね月くぅん…、期末テストのことだよぉ!」

 「その言葉は言わないでください瀬奈先輩!」

 月まで期末テスト拒否反応を示し始めた。

 「あぁ、そろそろテスト期間入るな。」

 「なんで吉藝はそんな余裕なのさ!」

 「お前…、1年からの付き合いなのに分からんのか…。まぁ俺は勉強しなくても席次載るし、少し復習する程度で充分だからな。」

 「吉藝、殺していいか?」

 「吉藝先輩…、それは勉強できない人への嫌味と捉えていいですか?」

 「おい、お前ら落ち着け。なにもテストにすぐ入るわけじゃないだろ?」

 うちの学校にはテスト準備期間があって、その期間のうちに範囲を復習しておこう、というのだ。

 「おはようございまーす。瀬奈先輩、大声で騒がないでくださいよ。今土曜の朝っすよ?」

 「おう、煌雅。お前、テストの準備はどれだけしてる?」

 「やだなぁ、準備なんてするわけないじゃないですか。赤点さえ取らなきゃいいんですから。」

 「煌雅、ちょっとあっち行こうか。」

 「そうですね、行きましょうか。」

 「え、なに⁉俺は何をされるの⁉やめて二人ともぉ~!」

 「おはようございます。…あれ何やってるんですか。」

 「煌雅が二人のストレスのはけ口にされてるところだ。結構面白いぞ。」

 「ぎゃっ!やめっ…、二人ともやめてっ!」

 そこに顔を向けてみると、煌雅と呼べる形のものはもう残っていなかった。

 「勝手に殺すな…。」

 生きていたようだ。

 「瀬奈は1年の頃から成績悪いのは知っているが…、月も悪いのか?」

 「言いたくありませんけど、はい。」

 「勉強は?」

 「嫌いです。」

 即答した。

 ガラガラガラ

 「おはようございます。…なにやってるんですか?」

 巴が来た。何か手に持っている。

 「おはよう。手に持っているものはなんだ?」

 「あ、これですか?お菓子です。家に余ってたから持ってこようと思って。」

 「あ。」

 俺の口から大きな声が出た。

 「どうした諒。」

 「いえ、巴さんに教えてもらえればいいんじゃないですか?確か入試首席でしたよね?」

 「そうだけど…、勉強の話?」

 「あ!もうどうせなら勉強会しよう!」

 「「「「「勉強会?」」」」」

 「そう勉強会!ここ一応机は引っぱり出せば結構あるから、やらない?」

 「…まぁ成績悪いやつが自主的にやろうとすることはいいことだな。」

 「吉藝、一言多い。」

 「じゃあ、いつやります?」

 「別に今日でもいいが、一回帰って持ってくるのは面倒だから…、明日にしよう。」

 「オッケー、じゃあ明日やろうね!」

 「じゃあ今日は普通に活動しましょうか。」

 「うん、そうだね。」

 ***

 「バイバーイ」

 「バイバーイ、また明日ね。」

 月と二人で歩き出す。

 「ていうか月さん勉強苦手なの?」

 「うん…。全部何言ってるかわからない…。呪文みたい…。諒くんは?」

 「俺は一応できはするけど上位ではないね。20位くらい。」

 「裏切者ー!ぜったいこっち側だと思ってたのにー!」

 「勝手に決めつけないでよー!もうー。」

 そして俺は思いついた。

 「ねぇ月さん。」

 「…なに?」

 「明日の勉強会、目標決めてそれを月さんが達成できたらなんか奢ってあげるよ。」

 「…ホントに?」

 「うん、ホント。」

 「…少しやる気出たかも。」

 「よし、じゃあ明日の勉強会頑張ろうね。」

 「うん、頑張る。」

 ……精神年齢下がってる月さん可愛い!

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