第4話 夕焼け小焼けはどこに行く
「準備はできた~?」
「できたー。」「OKだよー!」「大丈夫です。」「はい。」
「それじゃあチーム発表!赤コーナー!我らがゲーム部創部者、煌雅&吉藝~!青コーナー!新入部員、諒&月~!果たして勝つのは一体どちらか!GAMEスタート!」
こうして始まった親睦会。やるゲームはFPSのシューティングゲームだ。2対2ではすぐに終わってしまうので、6体のMobを含めてやる。
「よーし。煌雅。雑魚は頼んだ。」
「お任せあれ!」
二人は別れてやる作戦のようだ。一方こちらは、
「敵と会ったら即攻撃でいい?」
「いいわ。」
少し気まずい空気が流れる。
「お。月と会ったぞー。」
「お。早速ですか。」
「OK、潰すわ。」
「え゛。」
「え。」
今すごい声出さなかったか、こいつ。とっさに振り向いてしまった。
「ふーん、月さんのHN、tsukiか…。君結構俺とやってボコされてるよね?」
へぇ…、そうなのか。
「またいつもみたいにボコしてあげるよ。」
「あ~…。吉藝先輩のドS癖が出たよ。あの人ああ見えて結構えぐいからね。と言ってる間に俺も諒と会ったな~。」
「うぉ。」
俺も変な声が出てしまった。
「え⁉お前Ryoなの⁉うっわー…。俺結構お前にボコされてるんだよなー。」
それは以外だ。
「まぁリベンジマッチ、これまでの雪辱を果たすと思って行っきます!」
ドドドドドドン。
「くそう…、あんな簡単に負けるなんて…。」
「こんなこと言ったら絶対勝負引かれると思ったから言ってないんだけど…、俺このゲームのランキングTOP5に入るんだよ。」
「え゛⁉まじか…。そんな人ならボコされるのも当たり前だな…。」
「いや、でも結構危なかったところあったから上手いは上手いよ。」
「それ以上言わないで…。俺がみじめになるから…。ハハハ…。」
「にゃああああああ!」
隣からすごい声が聞こえてきた。
「そこから打ってくるな!ぎゃっ!やめてっ!」
どうやら吉藝先輩にボコされているそうだ。
「んふふふふ。やっぱり若くて可愛い声の悲鳴はいいね。もっといこうか。」
そこにいる全員がドン引きしていた。
「ううう…。最初にめっちゃ削られて、そっからこっちも結構削れたんだけど、回復アイテム使われて、ごり押しで負けた…。」
「だから言ったでしょ。吉藝先輩はドSだって。」
「じゃあ今回の親睦会は1対1で引き分け!じゃあ今日はこれで終わろうか。」
「「「はーい。」」」
***
「じゃあ俺たちこっちだからバイバーイ。」
「うん。また明日。」
「ううう…。」
月はまだ落ち込んでいるようだ。
「えっと…、そんなに落ち込まなくていいんじゃない?」
「落ち込むよ、あんな負け方したら…。」
「ふーん…。ていうか。」
「ん?」
「喋り方いつもと違うじゃん。」
「あー。こっちが素。いつもあれだと疲れちゃうからさ。」
「ふーん。」
「私、自分で言うのもなんだけど結構人気あるじゃん。だからみんなの中で結構美化されすぎちゃって。あんなふうにしてないとがっかりされちゃうと思ってあれで自己防衛してるんだ。」
「そうなんだ…。大変だね。」
「もう慣れたよ。」
なんかもやもやしたものが心に残る。
「見て見て!夕焼けすごいきれいだよ!」
(…まぁ、楽しそうならいっか。)
「そうだね。」
「お!偶然か分かんないけど、夕焼け小焼けが流れてる!」
この時の夕焼けと彼女の笑顔は俺の脳裏に深く刻み込まれた。ふと草むらを見てみると、四つ葉のクローバーが二つ並んでいた。
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