道化師たち

 次のちんもくを破ったのは、あまの笑い声だった。

ふうって名前だっけ? キミもなかなか言うねぇ。こんなにコテンパンにされたおんはボク、初めて見るかも!」

 でもね、と続けるあまの表情はおもしろがっているようでいて、その実、ひとみは全く笑っていなかった。

「そろそろ許したげてしいかなぁ。おんはボクのモノなんだから、勝手に他人にさわらせたくないんだよ、わかる? おんだって、ボク以外なんかにいじられたくないって言ってたしね」

「それはメンテナンスの話であってだな、あまにぃ」

 毒気をかれて頭をかかえるおんを完全に無視して、あまはニヤニヤと口角だけを引き上げる。

「で、そこまで言うからには、ふうはこのあわれなおんためおんを助けるつもりでいるのかな?」

「ええ、もちろん

 かんぱつれずに答えるふうもまた、一見とてもさわやかな、けれどとてもえたものではないがおである。

ほう生体コンピューターなんて許されることではないわ、ちがうかしら?」

「して、その本音は?」

「こんなおもしろそうな話に乗らないなんて、有り得ないわ」

 すっと自然体で入ったみに、にこやかに言い切ってから、あら、とふう耀かぐかえった。

耀かぐお姉さま。ぜつみょうなタイミングで、そんな合いの手を入れてくるの、止めてくださらない?」

 耀かぐはこめかみをさえた。

「私はお前の姉ではないのだがな」

 めていた空気はゆるみ、かたんで事の成り行きを見守っていたせいは、再び画面に向かった。

「そっか、おもしろそうなら仕方ないね!」

 何にどうなっとくしたのか、あまはそれだけを言うと、せいのフォローを再開した。残されたおんは深く深く、たんそくする。そのかたを、ねぎらうようにたたいた。

ふうさんはああ言いますが、情報屋としてのうでゆうしゅうですから、多分役に立つでしょう。社長も、のんさんからお話をうかがって、おんさんがザイオンサーバーであることを承知の上で、かいにゅうすることを決めています。もしめいわくだと思うなら、その時点で断っていますよ」

の言うとおりだ。ごろからえんりょしかしないのんのたっての願いだったしな。たよれる間はたよってくれると、こちらとしてもとてもうれしい」

 おんは泣き笑いのような表情をかべた。

「まさか、表の人間がわざわざまれに来るとは思ってもみなかった」

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